ぷちエロ小噺 お馬さん
「ちょっと乗ってみろよ」
夫に言われて彼女は戸惑った。
「え、そ、そんなぁ……」
腕を引っ張られるようにして、しかし、いやいやながらも彼女は跨る。
「なんか、ちょっと。……恥ずかしい」
足を大きく開いたあられもない格好に、彼女は羞恥で身体を固くする。
「いくよ」
夫の声と共に、彼女の身体はゆっくりと突き上げられる。
「あっ……ん」
緊張していた彼女の身体は、穏やかな動きに合わせて次第にほぐれていく。
「これって……いい……かも。気持ちいいわ……」
やがて彼女は少し大胆な気分になってきた。
「ねぇ、もう少し強く……して」
幽かに上気した頬の彼女を見て夫は嬉しそうに笑う。
「よし! じゃあ、これでどうだ?」
動きが大きくなった。
「っあ、そんな、急に……強くしないでぇ」
急に大きくグラインドされ、思わず彼女はのけぞった。激しい動き翻弄されていたが、徐々に動きに身体を合わせていく。
腰をくねらせ、身体をはずませ、彼女の額に汗が滲む。
「ああぁ……ん。あ、暑いわ。そろそろ……ねぇ」
懇願するように夫を見たが、夫は悪戯っ子のような表情で彼女を見た。
「もうちょっと乗ってろよ。久しぶりだろ?」
そしてまた動きが少し大きくなり、彼女の動きも更に激しくなる。髪が乱れ、汗ばんだ額に張り付く。
「も、もうもう駄目ぇ、駄目なの! あぁ~っ、お願い、何とかしてぇぇぇっっ……!!」
ようやく動きが止まった。彼女はぐったりとしていたが、よろめくようにソレから下りた。
「…もう、やりすぎよ。腰がガクガクだわ」
「いい運動になったろ?最近運動不足なんだし、いいじゃないか」
夫は楽しそうにニヤニヤ笑っている。彼女はふくれながら、今さっきまで自分が乗っていたフィットネス機器を見た。
『乗馬フィットネス機器
ジョーバ(ナショナル)』
「買わないわよ、こんなの。どうせ三日坊主よ。それに……そんなモン買わなくたって、アナタが乗せてくれたらいいじゃない」
「嫌だよ、普段からお前の尻に敷かれてるのにさ。夜まで俺の上になりたいのか?」
夫婦は密やかに笑いながらフィットネス機器売り場を後にした。
了
ナショナルさん、すみません……。でもいまだに家電売り場でコレを見かけると笑ってしまいます。