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4丁目の公園

作者: 命野糸水

 この村にはとある言い伝えがある。雨が降り終わった日の夜23時に4丁目の公園で水たまりを見ると、その水たまりに体を吸い取られてしまうという。


 この言い伝えは昔この村に住んでいた女子(おなご)が雨上がりの夜に行方不明になり、翌々日に死体として発見された出来事から来ている。その子が見つかった場所が現在の4丁目の公園にあたる。この村ではこの言い伝えを信じ、雨の降った日の夜はたとえ4丁目の公園に行かなくても出かけないようにしていた。


 ある日、この村に若い女子(おなご)が引っ越してきた。その女子は長老からこの言い伝えを聞かされたがバカにした。そんなはずないと、それはただの嘘だと。


 長老は何度も何度も言い伝えを聞かせたが、女子はまるで聞かなかった。


 ある日、朝から降っていた雨が夕方になり止んだ。女子はそれを見て夕食後に出かけることにした。長老の言葉が嘘であることを突き止めるためだった。

 夕食を食べた後、女子は長老の家に向かった。


「長老、あなたの言葉、村の言い伝えが嘘であることを確かめてきます」


「やめなさい、あの言い伝えは本物だ。あんたが死んでしまうぞ」


長老の言葉に女子は何も言わず4丁目の公園に向かってしまった。


 次の日の昼間、女子は長老に姿を見せた。あの言い伝えはやはり嘘であると、その証拠が今ここに私がいることだと見せつけた。長老は何も言わなかった。嘘であることを謝罪しなかったし、嘘ではないと否定もしなかった。女子は嘘つき嘘つきと長老を罵倒しながら長老の家を後にした。


 それから何日かたった日、女子はまた長老の家にいた。前回と打って変わって静かな表情を見せていた。


「長老、本当にこんなことしていいのですか、いくら村の言い伝えだからといって何もこんなことを」


「村の言い伝えは守られなければならない。この村の長老として正しいことをしたまでだ。さて、巡査どもよ、こやつを祭儀場まで運んでおくれ」


箱に入れられた女子は巡査たちに運ばれ祭儀場で焼かれた。


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