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リープ彼女 ~死神になった少女~  作者: 現世
第三章 終わらないタイムリープ
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封印の解除


「メダカちゃん、どういうことなの?」


 今回の純くんの死に、メダカちゃんが関わっているということなの? それとも……。


「わだぢ、わたぢ、じづは、不思議な力を持っでいて……」


「不思議な力……?」


 ということは、今回だけじゃない?


「はい……。じわ先輩が死んじゃうのは、きっとわだぢのこの力のせいでず! さっき、そのぢからが抑えきれなくなっで。きっと、志和先輩は今ごろ……」


 そういう言い方をするってことは、純くんの今の状況を知らないってことだよね。


「ねえ、メダカちゃん。日野原くんと月田くんから何か連絡があった?」


「いえ、何も。やっぱり志和ぜんぱいは死んじゃったんですね……。私のせいだ……わだぢのぜいだ……うぇ……ひっく……」


 日野原くんも月田くんもメダカちゃんに連絡をしていない。それなのに純くんに何かがあったとわかっていた。それが事実なら……電話じゃだめだ。

 霊的な力なのかどうかはわからないけど、その不思議な力というのが原因なら、先輩たちにも聞いてもらったほうがいいだろうし。


「詳しく聞きたいから、今から会って話せないかな?」


「はい、煮るなり焼ぐなり好きにしでぐださい。ごべんなさい、ごべんなさい……」


 これだけ泣きながら謝っているということは、故意にその不思議な力というのを使ったわけではないの? それとも何か理由があって演技をしている? わからない。詳しく話を聞いてから判断するべきだ。


「今はどこにいるの?」


「家にいまず。ごべんなさい、ごべんなざい……」


 純くんを殺し続けた犯人かもしれない人物と話しているというのに、私の頭の中は妙に冷静に物事を考えることができていた。


「わかった、今から行くね。それと、私はどちらにせよ過去に戻るからメダカちゃんに危害を加えたりしないって約束する。だから待っている間に落ち着いて話せるようにしてて。近くに着いたら電話するから」


 まずはきちんと話を聞いてみる必要がある。考えるのはそれからだ。


「わがりまぢた。ごべんなざい、ごべんなさい……」


 通話を切ると、すぐに東堂先輩が問いかけてきた。


「優奈、もしかして……」


 通話の内容が聞こえていたかどうかはわからないけど、聞こえてないとしても勘のいい東堂先輩のことだ。私の言葉だけで内容を察しているのだろう。


「はい。メダカちゃんは何か不思議な力を持っているみたいで、純くんが死ぬのはその不思議な力が原因かもしれません。少なくとも今回に関しては、その可能性が高いです」


「メダカちゃんってのは昨日、志和たちが一緒に連れてきてたツインテールのちっちゃいやつだよな?」


「ええ、そうよ」


 古海先輩は考え込むように視線を落とす。


「そうか……。何かしらの呪術の可能性があるな。だったら私たちも気を引き締めてかからないとだな」


「えっ、どうしてですか?」


 メダカちゃんからは悪意をまったく感じなかったけど……。それともやっぱりあれは演技だったんだろうか?


「呪術ってのは本来、時間をかけて徐々に相手を蝕んでいくもんでな。普通だったらその間、呪われてるやつには黒いモヤとかがまとわり憑いてるもんなんだよ。だが昨日、志和にそんなものは憑いてなかった」


「メダカちゃんから呪いの力を感じることもなかったわ。つまり、昨日の時点で呪いは発動していなかったということ。もしくはその不思議な力というは、呪術以外の超常的な力ということになるわね」


 先輩たちの話を聞く限り、呪術という可能性はないように思える。


「ふーん、もし呪術だとするなら、一瞬で呪いを爆発させるタイプの術者か。そいつは危険だね。あんたたちの手には負えないかもしれない。万が一のことを考えると、あたしの封印を解いてから行ったほうがいいだろうね」


 あー、そういうことか……。呪術にもいろいろあるわけね。


「叔母さん! やっと復帰してくれる気になったか!」


「いや、退魔師に戻るつもりはないよ。どっちにしろ封印を解かないと、過去に戻ることはできないだろう?」


 そう言うと瀬名さんは先ほど警棒を取り出した棚に向かい、腰の高さにある引き出しを開くと、その中からごそごそと何かを探し始めた。


「えーと、たしかこの辺にしまったと思うんだけど……。あっ、あった! これだ」


 引き出しから取り出したのは、一枚の紙きれだった。


「その紙に封印を解く方法が書いてあるのか?」


「ああ、そうさ。封印を解くための呪文が書いてある。えーと、アストラル……ヴィンクラトゥス……ルシダ、リベラート……? あっ、解けた」


 呪文を読み上げたあとに、ボソッとつぶやいた瀬名さんに東堂先輩が詰め寄る。


「えっ!? たったそれだけで、もう封印が解けたの!? もっとこう、風がバーっと吹いたり、光がパァーって感じになったりしないのっ!?」


「梨々花……あんたはちょっと、漫画の読み過ぎなんじゃないかい?」


 そう言い放ち、顔を赤くする東堂先輩に冷ややかな視線を向けながらソファへと移動し、勢いよく腰を下ろ。そして隣にある見えない何かを両手でそっと持ち上げるような仕草をしたかと思うと、頭上の何もない空間をじっと見つめた。


「ひさしぶりだね、ワンころ。ずっと構ってやれなくてわるかったね」


 あー、なるほど。ワンちゃんの霊を持ち上げたわけか。それにしても、霊能力があれば幽霊にも触れるんだ……。まあ、考えてみれば当たり前か。触れることができないなら、悪霊と戦うこともできないもんね。


「よし、叔母さんの霊力も元に戻ったみたいだし、メダカちゃんのとこに向かうとするか」


 全員が頷き、各々が瀬名さんの家を出る支度を始めた。そんな中、私は古海先輩にお願いをする。


「あの、その前にやっぱり、純くんのところに向かってもらえませんか?」


「それはべつに構わないが、急にどうしたんだ? さっきは志和のところには行かないって言ってただろ」


「はい。先輩たちの霊力を借りることができるならですけど、私のヒーリングの力があれば、もしかしたら今回で純くんを助けることができるんじゃ……と思って」


「なるほど、そういうことか。叔母さん、できると思──」


 古海先輩がそう言いかけたとき、私のスマホから黒電話の着信音が鳴り響いた。


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