揺れる心
事件から数日後、シジュとミホは空也との再会を果たした。
しかし、その再会は衝撃的な事実を伴っていた。
「お前、本当に敵の一員だったのか……?」
シジュは怒りに震える声で問いかける。
「ああ、その通りだ」
空也は平然とした表情で答えた。
「どうして……?私たちを騙していたっていうの?」
ミホの問いに、空也は冷たく笑う。
「騙していたわけじゃない。俺は最初から、組織の一員だったんだ」
その言葉に、シジュとミホは絶句した。
「じゃあ、俺たちに近づいたのは……」
「そう。君たちを監視するためさ」
空也の告白に、シジュは拳を握りしめる。
裏切られた痛み。それは、言葉にできないほど深い。
「私たちは……空也くんを信じていたのに……」
ミホの瞳には、悲しみの色が浮かんでいた。
「でも、なぜ?空也くんには、仲間想いな一面もあったはず……」
ミホの問いかけに、空也は一瞬、表情を曇らせる。
「……俺には、守らなければならないものがあるんだ」
その言葉には、何かを胸に秘めた重みがあった。
「守らなければならないもの……?」
シジュは空也の言葉に、疑問を感じずにはいられない。
「君たちには、理解できないだろう。
俺はこの力を、ある目的のために使わなければならないんだ」
空也の瞳に、強い決意の色が宿る。
「空也……お前、一体何を……?」
シジュが問いかけた時だった。
突如、激しい爆発音が辺りを襲う。
「な、なんだ!?」
「これは……異能力者の攻撃!?」
ミホの叫ぶ方向には、見覚えのある集団の姿があった。
「くっ……また奴らか!」
シジュは炎を纏い、敵に立ち向かう。
ミホも水の力で、シジュをサポートする。
「シジュ、気を付けて!」
「ああ、任せろ!」
二人の息の合った連携で、敵を次々と撃破していく。
だが、敵の数は多い。
「はぁっ……!」
「くっ……!」
次第に、二人は疲労の色を見せ始める。
「シジュ、ミホ、下がれ!」
そんな二人の前に、空也が立ちはだかった。
「空也……?」
「ここは俺に任せろ。君たちは逃げろ」
そう言うと、空也は風を操り、敵に向かっていく。
その姿は、まるで二人を守るように。
「どうして……空也くん……」
ミホが呟くと、空也は振り返り、微笑んだ。
「俺はな……君たちを、仲間だと思っていたんだ」
その言葉に、シジュとミホは息を呑む。
空也の風が、敵を次々と吹き飛ばしていく。
「信じろ。俺にも、守るべきものがあるんだ」
そう告げると、空也は戦場に戻っていった。
空也の活躍で、事態は収束した。
だが、彼の言葉は、シジュの心に深く刻まれていた。
「空也……お前は、一体何を守ろうとしているんだ……?」
組織の一員でありながら、自分たちを助ける空也。
その矛盾した行動の裏には、何かがあるはずだ。
「シジュ、空也くんを信じよう」
ミホの言葉に、シジュは頷く。
「ああ。空也は、きっと何か理由があるはずだ」
二人は空也の想いに思いを馳せるのだった。
一方、その頃。
「計画は、順調に進んでいるようだな」
闇に包まれた部屋の中で、男の声が響く。
「ええ。シジュたちも、徐々に真実に近づいています」
もう一人の声。それは、アキラの声だった。
「フフフ……もうすぐだ。全ての異能力者が、
我々の手中に収まるのも」
不気味な笑い声が、部屋に木霊する。
真相は、まだ闇の中。
だが、空也の胸に秘めた想い。
そして、アキラの裏に隠された事実。
物語は、新たな局面を迎えようとしていた。
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