敵の影
事件から数日後、街は平穏を取り戻したかに見えた。
しかし、その平穏は長くは続かなかった。
「ねえ、これ見て」
ミホがスマートフォンの画面を見せる。
そこには、ある建物が炎に包まれている映像が映し出されていた。
「これって……」
「そう、異能力者の仕業よ」
アキラが真剣な表情で告げる。
「どうして、こんなことが起きるの……?」
ミホの問いかけに、アキラは曖昧な返事をするばかりだ。
事件現場に駆けつけたシジュとミホ。
そこで彼らが目にしたのは、信じがたい光景だった。
「こんな……ひどい……」
ミホが言葉を失う。
建物は見る影もなくなり、周囲は焼け焦げていた。
「一体、何があったんだ……?」
シジュが呟く。
そこへ、一人の男が近づいてくる。
「君たちは……?」
男は警戒するような目でシジュたちを見つめた。
「あなたは、この事件について何か知っているんですか?」
ミホが尋ねると、男は小さくため息をついた。
「私は、この建物の管理人をしていた者です。実は、この建物では研究が行われていたんです」
「研究……?」
「ええ。異能力者に関する研究が」
その言葉に、シジュとミホは息を呑んだ。
その後、シジュとミホは情報を集めるため、街を調査することにした。
「ねえ、シジュ。あの建物で異能力者の研究が行われていたなんて……」
「ああ、俺たちの知らないところで、色んなことが起きているんだな」
シジュは複雑な表情を浮かべる。
一方、ミホの脳裏には、アキラの言動が引っかかっていた。
(アキラさん、何か知っているような素振りだったわ……)
だが、その疑問を口にする前に、再び異変が起きる。
「きゃあっ!」
「な、なんだ!?」
街の中心部が、突如として炎に包まれたのだ。
「ミホ、行くぞ!」
「うん!」
二人は異能の力を解放し、現場に急行した。
現場に到着すると、そこには見覚えのある姿があった。
「あれは……!」
黒い衣装に身を包んだ集団――。
先日、シジュとミホを襲った異能力者集団だ。
「やはり、あいつらの仕業か……!」
シジュの怒りの炎が、周囲の温度を上昇させる。
「ミホ、行くよ!」
「わかった!」
炎と水の連携で、敵に立ち向かうシジュとミホ。
だが、敵もすぐに反撃してくる。
「くっ……!」
「シジュ!」
激しい攻防が続く中、ミホは不安を覚えていた。
(どうして、アキラさんは来ないの……? まさか、この事件に関わっているなんて……)
ミホは信じたくなかった。
だが、その疑念は拭えない。
「ぐっ……くそっ!」
押され気味のシジュたち。絶体絶命のピンチ。その時、風が吹き荒れた。
「お前たちを、始末させてもらう」
冷たい声と共に、一人の少年が立ちはだかる。
「風を操る異能力者……まさか」
シジュは目を見開いた。
「お前、空也か!」
ミホが驚愕の声を上げる。
あの転校生、空也が異能力を持っていたのだ。
「お前も、あいつらの仲間なのか!?」
シジュが怒りの視線を向ける。
しかし空也は、ただ冷たく微笑むだけだった。
「さあ、どうだろうね」
その言葉を残し、空也は風とともに姿を消した。
異能力者集団を撃退し、事件は収束した。
だが、シジュとミホの心には疑問が残る。
「一体、何が起きているんだ……?」
「空也くんも、この事件に関わっているの……?」
真相は、まだ謎に包まれたままだ。
そんな中、アキラがシジュとミホに近づいてくる。
「お疲れ様。二人とも無事だったみたいね」
「アキラさん、一体どういうことなの?
どうしてアキラさんは現場に来なかったの?」
ミホが問いかけると、アキラは言葉を濁した。
「ごめんなさい、私にも事情があるの。でも、信じて。私はあなたたちの味方よ」
そう言い残し、アキラは立ち去っていく。
「アキラさん……」
ミホは複雑な表情を浮かべた。
事件の背後には、まだ見えない敵の影があるのか。
空也の真意は?そしてアキラの秘密とは?
疑問は尽きない。
だが、シジュとミホは前を向く。
「ミホ、俺たちはこれからも戦い続けるしかない」
「うん、私はシジュと一緒にいる。だから、必ず真実を見つけ出してみせる」
固い決意を胸に、二人は次なる戦いに身を投じるのだった。
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