隠された力
事件から数日後、シジュとミホは再び特訓に励んでいた。
「はぁっ……!」
シジュは炎を生み出し、目の前の岩に打ち付ける。
だが、炎は岩を砕くまでには至らず、力尽きて消えていく。
「くっ……まだまだだ……!」
シジュは悔しさに拳を握りしめる。
「大丈夫、シジュ。焦らないで」
ミホは優しく微笑み、シジュに声をかける。
「そうだな……。でも、このままじゃ……」
「一緒に乗り越えていこう。私たちなら、きっとできる」
ミホの言葉に、シジュは力強く頷いた。
そんな折、アキラが二人に近づいてくる。
「シジュ、ミホ。ちょっといいかしら」
「アキラさん?どうしたんですか?」
「実は、私の知人で、水を操る異能力者がいるの。二人の特訓に付き合ってくれるそうよ」
「本当ですか!?」
シジュとミホは顔を見合わせ、喜びに胸を躍らせた。
次の日、二人はアキラに連れられ、とある場所を訪れる。
そこで彼らを出迎えたのは、シジュやミホと同年代の少女だった。
「は、はじめまして……私は澪です……」
澪は緊張した様子で、ぎこちなく頭を下げる。
「澪は水を自在に操れる異能力者なの。君たちの助けになるはずよ」
アキラの言葉に、シジュとミホは期待に胸を膨らませた。
こうして、シジュとミホの新たな特訓が始まった。
澪の指導の下、二人は日々水と炎の制御に励む。
「そう、その調子。水の流れを感じて……」
「炎をイメージするんだ。まるで自分の手足のように……」
シジュとミホは、必死に力の制御を試みる。
だが、思うような成果は上がらない。
「なかなか、うまくいかないな……」
シジュがため息をつく。
「そうね……。でも、諦めちゃダメ。私たちならできるはず」
ミホは懸命にシジュを励ました。だが、その言葉とは裏腹に、ミホの心は揺れていた。
そんな中、再び街に異能力者による脅威が忍び寄る。
「シジュ、ミホ!大変よ!」
アキラが慌てた様子で駆けつけてくる。
「街が、異能力者に攻撃されているの!」
「なんだって……!?」
シジュとミホは顔を見合わせ、急ぎ現場に向かった。
現場に到着すると、そこはすでに戦場と化していた。
「うわぁっ……!」
「み、みんな逃げて!」
シジュは炎を操り、ミホは懸命に人々を避難させる。
だが、敵の異能力者は強力だ。
シジュとミホは、次第に追い詰められていく。
「く……この程度の力じゃ……!」
「シジュ……!」
絶体絶命のピンチ。
その時、ミホの脳裏に、あることが閃いた。
(……今しかない!)
ミホは覚悟を決め、シジュに向き直る。
「シジュ!私も……戦う!」
「え……?ミホ、何を……」
その言葉の意味を理解する間もなく、ミホは敵に向かって水を放った。
「ミホ……?」
シジュは驚愕する。
ミホの放った水が、敵の炎を消し去っていくのだ。
ミホは申し訳なさそうに、シジュを見つめる。
「どうして……」
「今はそれどころじゃない!二人で力を合わせましょう!」
ミホの言葉に、シジュは我に返る。
「……わかった!行こう、ミホ!」
こうして、二人の力が一つになった時、戦局は一変する。
炎と水の連携は、敵を圧倒していく。
「すごい……私たちの力が……!」
力の解放と共に、ミホの心の枷が外れていく。
こうして、事件は幕を閉じた。
だが、ミホの告白は、シジュの心に大きな衝撃を与えたのだった。
「ミホ……なんで、教えてくれなかったの……?」
「ごめんなさい、シジュ……色々と、複雑な事情があって……」
ミホは言葉を詰まらせる。
シジュを守りたい。でも、そのためには、力をつけなければ。
そして、いつかシジュに、自分の秘密を打ち明けなければ。
ミホはそう心に誓うのだった。
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