試練の始まり
真実を知った日から、シジュとミホの日常は大きく変わり始めていた。
放課後、二人は人気のない河川敷で、シジュの異能力の制御に励んでいる。
「ミホ、こうやって的を作ってくれると助かるよ」
シジュはミホに優しく語りかける。
「うん、的当ては私に任せて。シジュは炎の精度を上げることに集中して」
ミホが石を積み上げ、的を作る。
シジュは深呼吸をし、炎を生み出す。
だが、まだ制御は難しいようで、炎は的を大きく外れてしまう。
「くっ……なかなかうまくいかない」
シジュがため息をつく。
「大丈夫、慣れだから。シジュなら絶対にできるようになるよ」
ミホは励ますように笑いかけた。
その笑顔に、シジュは心強さを感じずにはいられなかった。
そんな平和な日々も、ある日突然終わりを告げた。
街の中心部で、爆発事件が発生したのだ。
「ねえ見て、これ……」
ミホがスマートフォンの画面を見せる。そこには、炎に包まれるビルの映像が映っていた。
「これって……まさか」
シジュは息を呑んだ。映像の隅に、黒い影が映り込んでいたのだ。
それは、異能力者の姿に違いなかった。
シジュとミホが現場に駆けつけると、そこには信じがたい光景が広がっていた。
黒い衣装に身を包んだ集団が、炎や風、水などの異能力を駆使し、辺りを破壊している。
「な、なんだあいつら……!?」
ミホが震える声で言う。
「わからない……でも、あいつらを止めなきゃ!」
シジュは拳を握りしめた。
シジュは炎を操り、敵の攻撃を防ぐ。
だが、まだ力の制御は不完全だ。思うように炎をコントロールできない。
「くそっ、なんでだ……!」
そんなシジュを見て、ミホは胸が痛んだ。
シジュのために、自分にできることはないだろうか。
そう思わずにはいられなかった。
そんな二人の前に、アキラが立ちはだかる。
「シジュ、ミホ。あなたたちの力では、まだ足りない」
「アキラさん……どういうこと?」
アキラは静かに目を閉じ、語り始める。
「あの集団は、異能力者狩りを行っている。力を手に入れた者を襲い、その力を奪おうとしているの」
「そんな……!じゃあ、俺たちも……」
シジュの言葉に、アキラはゆっくりと頷いた。
「そう。だから、今はここを離れて。私が時間を稼ぐ」
そう告げると、アキラは水を操り、敵に立ち向かっていく。
「くそっ……俺たちは、こんなことしかできないのか……!」
シジュは地面を強く蹴った。
「シジュ……」
ミホは、シジュの奮闘を悔しく思う。
今の自分には、シジュの助けになることができない。
その無力感が、ミホの心を蝕んでいた。
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