明かされる真実
中央公園でのアキラとの出会いから一夜が明けた。シジュとミホは登校する途中、いつもと違う緊張感を感じていた。
「ねえ、シジュ。アキラさんの言ってた『異能力者の使命』って、一体何だと思う?」とミホが不安げに尋ねる。
「わからない……でも、俺たちには関係ないことじゃないみたいだな」
シジュは昨夜のことを思い出し、胸の内で呟いた。
教室に着くと、シジュとミホの視線は一斉に空也に向かった。
その時、空也がゆっくりとこちらを振り返る。
「シジュ、ミホ。放課後、中庭の倉庫に来てくれ。話がある」
低い声で告げると、空也は静かに立ち去った。
シジュとミホは思わず顔を見合わせる。
空也の態度は、いつもより硬く、まるで別人のようだった。
放課後。
シジュとミホが倉庫に辿り着くと、空也はすでに待っていた。
「遅かったな」
「話って、何?」
シジュが警戒しながら尋ねる。
「君は、自分の力のことをどれだけ理解しているんだ?」
空也はシジュを鋭く見据えた。
「俺は……力を思うように制御できない。これが、どういう力なのか、まだよくわかってないんだ」
シジュは正直に告白した。
「……やっぱりな」
空也は小さくため息をついた。
「君の力は、ある特殊な源から発生している。俺たち異能力者は、その力を与えられた存在なんだ」
「力の……源?」
シジュは怪訝な表情を浮かべる。
「ああ。それは、この世界のどこかに存在する、『力の泉』と呼ばれているものらしい」
「力の泉……?」
シジュは聞き慣れない言葉に首を傾げた。
「泉から力を授かった者だけが、異能力を扱えるんだと……かつて、その力をめぐって、異能力者の間で壮絶な戦いが繰り広げられたという……」
空也の言葉は、シジュの脳裏に衝撃として突き刺さった。
「待って、戦いって……異能力者同士で?」
ミホが震える声で問う。
「そう。泉の力を我が物にしようとする者と、それを阻止しようとする者に分かれてな」
空也は感情を押し殺すように言葉を紡ぐ。
「そして、今もその戦いは続いている。水面下で、ひっそりとな」
シジュとミホは愕然とした。
異能力者の世界は、想像以上に複雑で、残酷なものだったのだ。
「じゃあ、シジュもその戦いに巻き込まれる……?」
ミホは空也を見つめ、恐る恐る尋ねた。
「……わからない。だが、覚悟はしておいたほうがいい」
空也は曖昧な言葉を残し、背を向けた。
「君は、自分の力を知るべきだ。そして、その力をどう使うのかを決めるべきだ」
そう言い残し、空也は立ち去っていった。
力の泉、異能力者の戦い……シジュの頭の中は、情報で溢れかえっていた。
「シジュ……大丈夫?」
ミホが心配そうにシジュの顔を覗き込む。
「ああ、なんとかな。心配かけて悪い」
シジュは精一杯の笑顔を作った。
空也から明かされた真実。
それは、シジュを戸惑わせると同時に、覚悟を決める後押しともなった。
彼は力を使う意味を見つけなければならない。
そして、いつか訪れるかもしれない戦いに備え、力を鍛えなくてはならない。
「ミホ、これからは気を付けよう。何が起こるかわからないから」
「うん、わかった。私、シジュの味方だからね。何があっても、一緒に乗り越えよう」
ミホの言葉に、シジュは心強さを覚えた。
たとえ一人では戦えなくとも、仲間がいる。
大切な人がいる。
異能の力を携え、真実を追い求めながら――。
シジュの戦いは、今、始まったばかりなのだ。
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