88.我が家の元愛犬は逃げる事を許さない
すみません……。
今回、作者都合により8000文字なので、かなり長いです……。
突然の息子と娘の登場にラッセルが固まっていると、二人を連れて来たクリストファーが状況を説明する。
「実は二週間前から、お二人にはラッセル卿に王族の暗殺容疑が掛かっている事を話し、帰国をお願いしておりました。ですが、なかなか信じて頂けず……。一週間程前に確認の為という事で、やっと帰国をご了承頂きました」
その話にラッセルが静かな怒りを放ちながら、クリストファーを見据える。だが、その視線を遮るようにユーベルが二人の間に立つ。
「初めはそのような話……とてもではありませんが、信じられませんでした……。ですが、時間が経つほど真相が気になり、自身でも留学先のグランフロイデ視点から調べたのです。その結果、我が国のマークレン伯爵家が、旧グランフロイデ王家派の伯爵家や子爵家と何やら怪しい動きをしている事が分かり、その事を妹の学友であるグランフロイデの第三王女殿下に相談したところ、すぐに国王陛下に進言してくださいまして……。その結果、グランフロイデ内の旧王家派だった一部の貴族達が、我が国の王太子殿下と第二王子殿下の暗殺を長きに渡り、企てていた事が発覚いたしました」
そこまで語ったユーベルだが、何故かそこで急に言葉を詰まらせるような仕草を見せる。
「ですが……まさか彼らの後ろに身内の影があっただなんて……。父上! 何故です!? 何故このような愚かな行いを……っ! 父上はリオレス陛下とこの国に尽くしてきた人ではありませんか! それなのに……何故この国に害をなすような真似をなさったのですか!?」
そう父親に食って掛かったユーベルの瞳は、今にも泣き出しそうな程の涙が溜まっていた。対して後ろで控えていた妹のライリアは、すでに嗚咽するようにボロボロと泣き出している……。そんなライリアに隣にいたクリストファーが、憐憫の眼差しを向けながらハンカチを差し出す。
だが息子に責められ、娘に泣かれてもラッセルは自身の主張を曲げなかった。
「ユーベル……。お前は前国王陛下が統治されていた時代の惨状を知らないから、そんな事が言えるのだ……。長きにわたりリートフラム王家が続けてきたこの王位継承方法では、再び前国王陛下のような方が第一子として誕生された場合、また同じ悲劇を繰り返す……。たとえ王家が貴重な精霊の加護を受けているとしても、必ずしも王としての器を持った人間が誕生するわけでない……。その事が前国王陛下の存在で証明された。それが分からないのか?」
「父上こそ……何も分かっていないではありませんか……」
吐き捨てるようにそう呟いたユーベルは、怪訝な顔を向けてきた父親を射貫くように睨みつける。
「父上は……現在、私達が歴史学を学ぶ際に使っている教材の中身をご覧になられた事はございますか?」
「歴史学の教材……? いや……だが、それが何だというのだ?」
「現在私達が使っている歴史学の教材には、前王オルスト陛下の統治時代の事が、事細かに書かれております。政治に関しては全て家臣に丸投げをし、国民に重税を掛け、その血税の殆どを自身の豪遊に使っていた事。自身の母である先々代王妃殿下の毒殺と、妻であった先代王妃殿下をバルコニーより突き落とし殺害……。前国王陛下による冤罪で家を取り潰され、処刑されてしまった貴族達、そして……」
そこでユーベルは、不快感をあらわにするように眉間に皺を刻んだ。
「多くの女性達に対して行った非道な強姦行為についても……」
その瞬間、ラッセルが驚くように目を開く。
「何……だと? そのような事が子供の手にする教材に書かれているのか!?」
「いいえ。書かれているのは、王立アカデミーに入学してから使う教材です。ですが、それらの教材で前国王陛下の非道な行いを知った私達は、かなり衝撃的を受けました……。同時に王家に対する不信感や嫌悪感などを抱く者も少なくはなかったです……」
「何故……そのような国民の愛国心や忠誠心が下がるような事を……」
ラッセルが唖然とした表情で国王リオレスを見るが、リオレスはその視線を避けるように目を逸らした。そんな国王に代わり、ユーベルがその質問に答える。
「現リートフラム王家は、前国王陛下の統治時代の出来事を教訓として、敢えて次世代に伝えるような教育方法を選択されたのです。すなわち……」
そこでユーベルは、真っ直ぐに父ラッセルの目を見る。
「『暴君オルスト』として前国王陛下の事がリートフラム史で語り継がれる限り、この国に暴君は誕生しない……。もう二度と同じ悲劇を未来で起こさせない為にリオレス陛下は、敢えて王家の恥でもある前国王陛下の統治時代について、赤裸々に歴史学の教材に載せたのです!」
そう言い切ったユーベルが、再び父親を睨みつける。
「父上は陛下の補佐をされている間……一体、何を見ていらしたのですか? 陛下が即位した際、バッセムお爺様が国を立て直す事にどれだけ奔走されていたと思っているのです!? 私は……その時は、まだこの世に生をうけていませんでしたが……。よくお爺様からそのお話を聞かされました。その時のお爺様は、本当に誇らしげにリオレス陛下と王弟クレオス閣下の事を話されておりました! 同時に……宰相の職を引き継がれ、陛下を支えている父上の事も……とても嬉しそうに話されていました!」
すると、ユーベルの瞳にジワリと涙が溜まり出す。
「バッセムお爺様は、混沌の時代と呼ばれているオルスト陛下の時代を耐えるように支え、それを打破しようと奮闘されたリオレス陛下の為に尽力され、国内では現リートフラム王家を確立させた影の立役者と言われております。私は……そんなお爺様のような宰相になりたかった……。そしてそんなお爺様に認められた父上のような宰相になりたかったのに……」
悲痛な様子で声を絞り出して訴えてきたユーベルは、ついに片手で目頭を押さえながら俯いてしまう。そんな兄を後方でボロボロと涙を零していた妹のライリアが、肩を抱くように支えた。
「ユーベルお兄様……」
妹に力ない笑みを返したユーベルは袖口で涙を拭い、再び父親を射貫くように見据える。
「先程の父上の話では、再びこの国に暴君と呼ばれるような王族の即位を懸念され、王家の方々の暗殺を画策したとの事でしたが……。本当はもっと別の理由で、この凶行に及んだのでは? 例えば……私に王権を移行させる事で、アーストン侯爵家の名を歴代の王族として残したかったのではありませんか?」
その息子からの指摘にラッセルが、ビクリと肩を震わせる。
「父上は、私以上にバッセムお爺様を敬愛されておりましたよね……。ですが、二週間前にクリストファー様より伺ったレイリアお婆様に起こった悲劇から考えると、父上はそんなお爺様の血を次世代に繋げる事が出来なかった事に責任を感じておられたのではないのですか……?」
「………………」
「だからせめて……お爺様の継がれたアーストン侯爵家の名が歴史上で埋もれる事がないように、私を王位に就かせ、家名をこの国の歴史に刻みたかった……。違いますか?」
そのユーベルの推察にラッセルが、唇を噛むように俯く。
「そんな事、バッセムお爺様が望むとお思いですか!? お爺様は以前、リオレス陛下の事を自身の息子の一人のような存在だと口にされておりました。そしてそんな陛下を父上が支え、共にこの国を盛り上げて欲しいとも話されておりました! それなのに……父上は、そんなお爺様の思いを踏みにじったのです!」
祖父と父に憧れ、同じように優秀な宰相になる事を望んでいたユーベルが、激しくラッセルを非難する。するとラッセルが俯いたまま何かを小さく呟いた。
「……る……い」
「えっ……?」
「うるさい! 平穏な時代に生まれてきたお前に何が分かる!? 母は父と挙式間近に……成人する直前にあの暴君に襲われ、望んでもいない私を身籠ったのだぞ!? その上、私を出産したせいで子供の産めない体になってしまった……。そのせいで父は自身の子種を次世代に残せなくなった……。これが平民や爵位の低い男爵家の話なら、そこまで問題視されなかっただろう……。だが、侯爵位で、その家の血が一切入っていない子供を跡継ぎになど出来ない! 幸い、父の弟の叔父が娘を……お前達の母であるユリアを生んでくれていたから、辛うじてアーストン侯爵家の血は繋がった……。だが、その血族には父の存在は刻まれていない! 私が……母からそれを奪ってしまったから……」
「父上……」
「だが、そんな私を母だけでなく、父も実の子のように愛情を注いで育ててくれた。私は、自身の出生を明かされるまで、父の息子である事に誇りを持っていたのだ! だが、その元凶である暴君は、裁きを受ける前にどこの馬の骨とも分からぬ者にあっさりと殺されてしまった……。父と母を絶望の淵に叩き落としたあの暴君は、犯した膨大な罪の責任も取らず、あっさりと死んだのだ!」
まるで心の底から訴えるように叫んだラッセルは悲痛な面持ちで、その訴えに耳を傾けていたリオレスを睨みつける。
「リオレス陛下。あなたは、当時お父上を殺した犯人捜しを早々に打ち切られておられましたが、それは一体、どういう意図で打ち切られたのです? もしや……犯人をご存知で擁護なさっていたのでは? もしそうだった場合、私はその犯人が許せません……。多くの人間が、あの暴君を殺してやりたいと思っている中で唯一復讐を達成し、その憎しみから一早く解放されたその犯人を!」
そう訴えたラッセルは、まるで力尽きるようにガクリと肩を落とし、項垂れてしまった。そんなラッセルに憐憫の眼差しを向けながら、リオレスが騎士団長のマルコムにある指示を出す。
「マルコム……。今から王家にとって重大な内容をラッセルに話す……。すまないが、第一騎士団の面々と共に席を外してくれないか? あとパルマンもだ」
「陛下! それでは陛下の護衛が!」
「心配ない。ここにはアルスとクリス、そしてユーベルにライリア嬢と高魔力保持者の王族が私も含め、5人もいる。それに一応、ラテール親子にも残って貰うから心配はない」
「し、しかし……」
「頼む……。この事だけは、どうしてもラッセルに話さなければならない……」
「…………かしこまりました」
こうしてマルコム達を一度退室させたリオレスは、重苦しい様子で深く息を吐く。そんなリオレスをラッセルは、憎悪の念を込めるように睨みつけた。すると、リオレスが重くなった口を開く。
「この場にいる全員に告ぐ。今から私が語る事は、けして口外する事は許さん。これは命令だ。もし約束を違えた場合は、それなりの処罰を覚悟して貰う。もし自信のない者がいれば、早々にこの部屋を出て行ってくれ」
リオレスが出した条件に全員が頷き、その場に留まる。すると、先程から自分を睨みつけてくるラッセルにリオレスが視線を向ける。
「ラッセル……。確かにお前の言う通り、私はあの愚父を殺した人間を知っている……。もっと言うと、父が幽閉されていた塔にその犯人を手引きした人物も……」
そのリオレスの話にラッセルが、怒りを滲ませた目を大きく見開く。
「やはり前王殺しを隠蔽なさっていたのですか!? 誰なのです!? その人物は!?」
「知りたいか? だが、知ればお前は絶対に後悔するぞ?」
「構いません! むしろ知らない方が後悔しかない!」
「分かった。それでは話そう……。まず、父を殺した人間だが……。この人物に関しては、手引きした人物から決して名を口外しないよう誓いを立てさせられたので、詳しくは教えられない。だが、すでに社交界からは引退された高貴な身分のご婦人だ……。そしてそのご婦人を父のもとへ手引きした人物が……」
そこでリオレスは、口にする事を憚るように一度言葉を溜める。
「私がこの世でもっとも世話になり、ラッセル……お前が最も敬愛している人物……」
その瞬間、ラッセルだけでなく、ユーベルとライリアが驚きの表情を浮かべ、勢いよくリオレスを見る。
「前王オルストの殺害手引きをしたのは、暴君の圧政から国民を救う為に尽力し、国王である私が最も信頼を寄せていた……前宰相バッセム・アーストンだ」
「なっ……!」
「お、お爺様が!?」
「そ、そんなぁ……」
リオレスの話にアーストン侯爵一家が一斉に衝撃を受け、茫然としてしまう。
「バッセムは、愚父が殺害された翌日、私のもとへ自らその件を報告しに来た。実行犯は教えられないが、愚父が幽閉されている塔に自分が犯人を招き入れたと。そんな人間には国王を補佐する資格などないから、宰相職を辞したいと……。だが、私は王位を継いだばかりで国を再建するには、どうしてもバッセムの存在が必要不可欠だった……。だから、この件については早々に捜査を打ち切り、深掘りする事を敢えて禁じた……」
そこまでリオレスが語り尽くすと、ショックを受けながらもラッセルが再度確認する。
「ち、父が……あの真面目で実直な父が本当にそのような事をなさったのですか!?」
「ああ……。人格者と名高いバッセムだったが……。そんなバッセムですら、許す事が出来ない事を私の愚父は行った……。実の息子の私でさえ、バッセムからその報告を受けた際、思わず胸につかえていた嫌な物が、ストンと抜け落ちたような晴れやかな気持ちになってしまった……」
そう口にしたリオレスは、どこか自己嫌悪に陥っているような皮肉めいた笑みを控え目に浮かべる。だが、その表情はすぐに厳しいものに変わった。
「だが、私はその事をどうしてもお前には話せなかった……。バッセムからも口留めをされていた事もあるが……まるで聖人のように父親を敬愛しているお前には、どうしても……。だが、お前はずっとバッセムを不幸にしてしまった存在だと、自身を責め続けていたのだな……」
そのリオレスの言葉にラッセルが、グッと喉を押し殺しながら俯く。
「あの時、私が無理矢理にでもバッセムが愚父を酷く恨んでいる本当の理由を聞き出し、そしてお前にその事を話していれば……。お前はこのような重罪など犯さなかったはずだ……」
絞り出すようにリオレスが口にした後悔の念にラッセルが、悲しそうな笑みを浮かべて返す。
「いいえ。たとえ陛下からその事について教えて頂いても私は信じず、今回と同じ過ちを犯していたと思います……。それだけ父バッセムは、私にとって完璧で理想の塊のような人だったのです……」
そう語ったラッセルは、何故か拘束されているはずの状態でゆっくりと立ち上がる。
すると、何かがカシャンと音を立てて落下した。その落下物に全員が気を取られていると、何故か後ろ手で拘束されていたはずのラッセルの左手が、魔法封じの首輪に伸びて行く。その瞬間、リオレスとユーベルが同時に叫び、ラッセルの方へと駆け出そうとした。
「ラッセル!!」
「父上ぇぇぇー!!」
しかし、そんな慌てふためく二人をあざ笑うかのようにラッセルは儚げな笑みを浮かべまま、首元の魔封じの首輪を自分ごと凍らせ始めた。その行動から、今まさに目の前でラッセルが自身の氷属性魔法で自害を始めた事に室内の全員が気付く。
「ラッセル! やめろぉぉぉぉぉぉー!!」
すでに首から下の胸部まで凍りつきかけているラッセルに、リオレスは即座に火属性魔法を放とうとした。だが、次の瞬間――――。
隣にいたはずのアルスが、いつの間にか盛大にテーブルを踏み台にし、ラッセルに突っ込んでいった。そんなアルスはラッセルの右脇腹辺りを狙い、空中から鞘がついたままの剣を全力で叩き込む。
「かはっ……!」
するとラッセルが、一瞬だけせ酸欠状態に陥る。だが、そんなラッセルの状態に一切頓着しないアルスは、いつの間にか外していた自身の首のタイを素早く丸め、舌を噛み切られないように無理矢理ラッセルの口の中にねじ込んだ。その反動と脇腹の痛みで、ラッセルが床に転がる。
そのあまりにも素早く容赦のない息子の攻撃にリオレスですら、唖然としたまま固まってしまう。そんな口に布製品をねじ込まれ、涙目になって床に転がっているラッセルをアルスが仁王立ちをしながら、見下ろした。
「肋骨を4本程へし折ってやった。お前みたいな典型的な魔導士タイプは、腹に力が入らなければ魔力など練り上げられないだろう?」
そう言いながらアルスは、ゆっくりとラッセルの傍らにしゃがみ込み、前髪を乱暴に掴んでラッセルの顔を無理やり上げさせる。そして瞳孔が開いた状態の瞳でラッセルを睨め付けた。
「何を勝手に死のうとしている? 俺はこの世に生を受けてから14年間、お前のせいで自由を奪われ、常に死と隣り合わせの状態を強いられても、必死で生に執着してきたのだぞ? それなのに……お前だけが自分のやりたい事をやり尽くしたからと言って、簡単に自身の命を絶つのか?」
何の感情もない瞳のアルスが、穴が開きそうなくらいにラッセルの顔を凝視する。
「そんなお前が罪も償わずに簡単に死ねるわけがないだろう? お前はこれから罪を償う為、その身が尽きるまで一生、俺達リートフラム王家に隷属させられ、生きている事を後悔したくなる程、命が擦り切れるまで使い潰してやる……。だからお前が自ら命を絶って逃げるなど、絶対にさせない……。俺はお前を……絶対に許さない!!」
激怒するように叫んだアルスがラッセルの前髪から手を離し、乱暴に床へと放つ。すると、肋骨が折られた痛みからか、ラッセルはそのまま意識を失ってしまった。そんなラッセルを一瞥したアルスは、父リオレスに視線を向ける。
「父上! さっさとこの不快な存在を俺の視界から排除してください! 内臓も損傷しているようなので、早めに手当てをしないと本当に死ぬかもしれませんよ!?」
「アル……。お前、やり過ぎだ!!」
「俺はこいつのせいで何度も死にかけたのに……。その報復を肋骨数本程度に留めた俺は、むしろ慈悲深い方だと思います!」
しれっと反論したアルスは、忌々しげにラッセルを視界から外す。すると、リオレスがユーベル達に話しかけた。
「すまない……。息子はかなり粗暴者ゆえ、君達の目の前で父であるラッセルを傷付けてしまって……」
「いえ……。むしろこの程度で済ませてくださったアルフレイス殿下には、感謝しかございません」
「そうか……。だがユーベル、父ラッセルが長きに渡り暗躍していた事は、確実に反逆罪に該当する……。それなりの重い処罰が下る事は、覚悟して欲しい」
「はい……」
そう返答したユーベルの表情は、暗い雰囲気の中に少しだけ安堵感を見せた。
すると、リオレスが今度はフィリックスに声を掛ける。
「フィリックス! ラッセルを拘束する為、マルコム達を呼んできてくれ!」
「かしこまりました!」
こうして15年以上に渡る王太子ならびに第二王子の暗殺未遂の首謀者と、現リートフラム王家の転覆を謀ろうとした前国王派の貴族数名は全員捕縛され、罪状が確定するまで最長一カ月以上はかかる刑の執行までの間、罪人たちは貴族牢ではなく、一般的な犯罪者用の地下牢に投獄された。
その瞬間、14年間も命を狙われ続けていた第二王子が、生命の危機的状況からやっと解放される。
だが今回、あまりにも処罰対象者の数が多かった為、その後の後始末で王家は奮闘しなければならなかった……。
そんな多忙な日々の中で少しだけ自由な時間を手に入れたアルスは、犯人が全員捕縛された一週間後、ある場所へと足を運んでいた。




