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我が家に子犬がやって来た!  作者: もも野はち助
【我が家の元愛犬】

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49/90

49.我が家の元愛犬は乗馬も得意

 フィリアナ達をじっと見つめている黒猫を目にした瞬間、アルスが駆け寄る。


「いた! パルマンの黒猫!」


 しかし、大声を出しながら急に駆け寄ってきたアルスに驚いたのか、黒猫はビクリと体を強張らせた後、逃げるように籠から脱出し、「シャー!」と威嚇しながらアルスと対峙しする。その黒猫の態度にアルスが不機嫌そうに片眉をあげた。


「こいつ……可愛くない」


 そう呟いたアルスにロアルドが呆れる。


「今のはどう見てもアルスの接し方が悪かったと思うぞ? ただでさえリオレス陛下の聖魔獣に睨まれてビクビクしていたのに……。今度は動きがダイナミックな少年にいきなり離距離を詰められたら、怯えてしまうのも当然だろう?」

「いいや。こいつは、かなり臆病な性格をしている! そもそも逃げたのは強面のマルコムが近くにいたからじゃないのか? おい、マルコム。お前、いつまで俺達に引っ付いているつもりだ。早く自分の職務に戻れ!」


 アルスがリオレスと同じ様な理由で、黒猫に避けられた原因をマルコムに責任転嫁すると、マルコムの方も演技がかった言い回しで抗議して来た。


「7年ぶりに健やかで小生意気にご成長された殿下のお姿に感涙する勢いで喜んでいた私に対し、なんと心無いお言葉……。殿下! 見損ないましたぞ!」

「お前、そう言って仕事をサボりたいだけだろう……?」

「更に私の職務怠慢を疑われるとは……何と嘆かわしい!」

「いいから、さっさと仕事をしろ!」


 アルスに一喝されるもマルコムはニコニコしながら「はいはい。では私は、これにて失礼致しますね」と部屋を出て行った。その二人のやり取りから、マルコムがアルスの帰還をとても喜んでいる事が窺える。恐らく以前から二人は、このようなやりとりでコミュニケーションを取っていたのだろう。

 そんな事を感じながらフィリアナがほっこりしていると、マルコムと入れ違いでシークがレイを連れて入室してきた。


「殿下、レイをお連れしました」

「遅いぞ、シーク」

「連れてきて貰っておいて、それは無いと思います」

「お前、しばらくレイと遊んでいただろう?」

「バレました? レイはどっかの俺様犬と違って人懐っこくて可愛いので、つい……」


 全く悪びれる様子もなくシークがそう告げると、再びアルスが不機嫌そうに片眉をあげる。対して連れてこられたレイは、主人達との再会に喜んでいるのか、三人の間を行ったり来たりしてピョンピョンと飛び跳ねていた。


「レイ、後で遊んでやるから、今は俺達の頼みを聞いてくれないか?」

「キャウ?」


 アルスに前足を引っ掛け、遊んで欲しそうなレイが不思議そうに首を傾げる。すると、アルスが目線を合わせるようにしゃがみ込み、レイの視線を黒猫の方に誘導した。


「あいつに契約主の居場所まで俺達を案内するよう説得して欲しい」

「キャウ!」


 聖魔獣契約をしているからか、アルスの言葉の意味を理解出来るレイが、黒猫に近づく。しかし、黒猫は更に警戒心をむき出しにし、毛を逆立て始めた。威嚇というよりも怯えから、そのような行動をしているようだ。


 そんな反応をされたレイが戸惑いから黒猫の周りをグルグルし始める。その状況を見かねたフィリアナがゆっくりと黒猫に近づき、宥めるようにレイを撫でながら目の前にしゃがみ込んだ。


「こんにちは、黒猫ちゃん。大丈夫、誰もあなたを虐めたりしないから、ちょっと落ち着こうね?」


 その瞬間、何故かアルスがロアルドの腕を思いっきり引っ張った。


「痛っ! 何だよ! アルス!」

「フィーが……フィーが猫に話しかけている……。しかも『黒猫ちゃん』って言った!」

「だから何だよ! それが僕の腕を強く引っ張る事と、どう関係しているんだ!」

「フィーの可愛さの破壊力が凄過ぎて、荒ぶる感情を抑えられなかった……」

「お前、絶対に犬だった頃の方が、まともだったと思うぞ?」

「ロア。残念だが殿下は犬になる前から、こんな感じだ」

「シーク様……。そんな身も蓋もない言い方を……」

「でも事実だ」

「お前達、うるさいぞ! フィーと黒猫ちゃんの会話が聞こえないだろう!?」

「「黒猫ちゃん……」」


 急に黒猫を気持ちの悪い呼び方でし始めたアルスにロアルドとシークが白い目を向ける。その後ろでは、フィリックスも盛大に呆れ返っていた。

 そんな中でフィリアナは真面目にレイと共にパルマンの居場所を教えてもらう為、黒猫を宥めだす。


「あのね。今からこの子が、ある頼み事を伝えるから協力して欲しいの。さぁ、レイ」


 そう言ってフィリアナがレイを前に出すが、怯え切っている黒猫は再び「シャー!」とフィリアナ達を威嚇する。その状況から、まずはレイが安全だという事と証明しようとフィリアナは考えた。


「大丈夫。この子はとても優しい子だから怖くないよ? ほら!」


 それを証明するようにフィリアナは、勢いよくレイに抱きついた。

 すると、ロアルドの隣のアルスが、まるで潰されたカエルのような声を上げる。


「アルス?」

「あれは俺の特権だったのに……レイの奴!」

「自分の聖魔獣に嫉妬するなよ……。言っておくが、この先フィーとレイのああいうやり取りは、頻繁に目撃する事になるからな?」

「やはりモフモフか!? モフモフじゃないとダメなのか!?」

「アルスー。とりあえず、少し落ち着こうなー」


 嫉妬心を剥き出しにし始めたアルスをロアルドが宥める。その間、フィリアナは黒猫の警戒心を緩ませる事に専念していた。


「ね? レイは大人しくていい子でしょ? だから大丈夫」


 そう言って黒猫にそっと手を伸ばすが、再び怯えられてしまったので少し落ち着くまで待とうと、一度手を引っ込める。


「大丈夫だよ。大丈夫だから……」


 そして更に言い聞かせながら、再びフィリアナがゆっくりと手を差し出す。すると少し落ち着いたのか、黒猫が自らその手に顔を擦りつけてきた。そんな黒猫をフィリアナは、にっこりしながら優しく撫でてやる。


「いい子ねー。それじゃ、今度はレイとも仲良くしてくれる?」

「なぁー」


 気持ちよさそうに撫でられている黒猫が、独特な鳴き声で返事をしてくれたのでレイを促す。するとレイがゆっくりと黒猫に近づき、そのまま自分の額を黒猫に押し当てた。どうやら、これが聖魔獣同士で意思疎通をする方法のようだ。レイの銀色の毛が黒猫の真っ黒な毛の中に埋もれる。


 そんな二匹の背をフィリアナが同時に撫でていると、レイがスッと額を離す。すると黒猫がフィリアナの方に向かって「なぁー」と鳴いた。


「もしかして……パルマン様のところまで案内してくれるの?」

「なぁー」


 承諾するように一声鳴いた黒猫は、今度はフィリアナの足に甘えるように額をこすり付けてきた。その光景を目にしたアルスが、再び嫉妬心を燃やしかけたが……くるりと振り返ったフィリアナの笑顔を見た途端、すぐに機嫌が直る。


「アルス! 黒猫ちゃん、パルマン様のところまで案内してくれるって!」

「そ、そうか……。流石フィーだ。動物の扱いが上手いな」

「ふふっ! だって私、7年間も犬だったアルスをお世話していたからね! 動物を宥めるコツは心得ているの!」


 両手を腰に当てながら、得意げな表情を見せるフィリアナに自然とアルスの口元が緩む。だが空気を読まない黒猫は、これ見よがしにゴロゴロと喉を鳴らしてフィリアナに甘えだす。その状況に思わずアルスが黒猫を引き離しに掛かろうした。だが、すぐにそれを察したロアルドに阻止される。


「ほら、アルス。折角フィーが黒猫を手なずけてくれたのだから、早くパルマン殿を探さないと!」


 犬だった頃から自分以外の動物をフィリアナが可愛がる事に対するアルスの嫉妬心に対応慣れしているロアルドは、その両肩を背後からガッチリ掴んで押しだすように退室を促す。

 その間、フィリアナは黒猫を抱き上げ、そのほわほわの毛に頬ずりをしていた。


「黒猫ちゃん、ほわほわだね~」

「フィー……」

「ほらほら。涙目にならない! この後パルマン殿を探しに行くつもりなら、さっさと準備する!」

「ロア……お前はたまに無情過ぎる時があるぞ?」

「今のアルスでは、もうモフモフ対決では絶対に勝てないんだから諦めろよ」

「俺はまたフィーに頬ずりされたい……」


 そんなアルスの嘆きを聞いてしまったロアルドが盛大に呆れ、レイはアルスを慰めるようと擦り寄る。すると、その様子を見て苦笑していたシークがアルスに声を掛けてきた。


「殿下、いかがなさいますか? すぐにでもパルマン殿の捜索に向かわれるのであれば、馬車の手配を致しますが……」

「馬車だと時間が掛かる……。それよりも現在駿馬はいるか……? いたら二頭用意してくれ……」

「そんなしょんぼりした様子で指示を出されると、こちらのやる気も失せます。もう少しシャキッとして頂けませんか?」

「俺は今、傷心なんだ……。いいから、さっさと馬の手配をしろ……」

「はいはい」


 アルスから馬の手配を指示されたシークが、苦笑しながら一足早く馬小屋の方へと向かう。そんな二人の会話を聞いていたロアルドが怪訝そうな表情を浮かべる。


「アルス……。お前、乗馬なんて出来るのか?」

「ああ。一応、犬にされる前から王子教育で乗馬は嗜んでいた」

「ちょっと待て。それってお前が、まだ7歳くらいの頃の話だよな!?」

「リートフラム王家では、男児は3歳くらいから王族としての英才教育が始まる。だから7歳くらいには、基本的な貴族マナーや教養が身についている事が多い」

「なるほど。だが、何で馬は二頭なんだ? フィーもいるのに……」


 すると、アルスが黒猫を愛でる事に夢中になっているフィリアナにチラリと視線を向ける。


「確かにフィーは乗馬を学んでいたが……あまり得意ではないだろう? だからフィーは俺と相乗りするから馬は必要ない」

「いや、だからって何でアルスとなんだ! 婚約者でもない男と相乗りだなんて体裁が良くないだろう!?」

「だったら、俺を護衛魔導士という設定にすればいい。大体、ロアは子供の頃からフィーと相乗りしていたのだから、今回は俺にその権利を譲るべきだ!」


 どうやらアルスは犬だった頃、フィリアナと馬に相乗りしていたロアルドの事を羨んでいたらしい……。今回はその積年の願いを叶えたいが為に馬車ではなく、馬で移動する事に決めたのだろう。ロアルドから見ても7年間犬の姿を強いられ、ずっと歯がゆい思いを多々してきたアルスの気持ちは分からなくもないが……。兄として、妹の安全面と体裁に問題がありそうな状況は見過ごせない。


「だからって7年ぶりに乗馬をするのに相乗りだなんて大丈夫なのか?」

「舐めるな! 俺は4歳でロバを乗りこなし、5歳で当時暴れ馬として有名だったマルコムの愛馬を乗りまわしていた男だぞ!」

「お前、それ絶対に怒られてたやつだよな?」

「とにかく、俺はどんな暴れ馬でも制する!」

「分かった……。そこまで自信があるのならば、フィーが承諾すれば相乗りは許す。フィー! 馬での移動になるけれどアルスと相乗りでいいか?」


 すると、黒猫を撫でつけていたフィリアナが一瞬、固まる。その反応をアルスは見逃さなかった。


「もしかしてフィーは……俺と相乗りするのは……嫌なのか?」


 不安げに瞳を揺らしながら、顔を覗き込んできたアルスに慌ててフィリアナが否定する。


「ち、違うの! その……私、兄様とお父様以外の人と馬で相乗りするのは初めてだから……。そもそもアルスが馬に乗るのは7歳の頃以来だよね? 大丈夫なの?」

「問題ない。むしろフィーと一緒なら、今までで一番馬を乗りこなせる気がする」

「そ、そうなんだ……。なら私は、アルスと一緒で構わないよ」

「よし! そうと決まれば父上達に報告だ! フィリックス!」

「かしこまりました。ですが……殿下もご一緒に来て頂きます」

「何故だ」

「殿下の場合、外出許可をご自身で陛下から得て頂かないと城内から出られませんよ?」

「何故だ!」

「何故って……護衛の為の影の手配もしなければなりませんし、何よりも殿下が無茶な計画を立てられていないか、陛下がしっかりと把握されたいそうです」


 そのフィリックスの返しにアルスがガックリと肩を落とす。


「外出許可を取るのは面倒なのだが……」

「その昔、無断で城を抜け出して城下の悪童達と遊んでいた方が、何を言っておられるのですか……。そもそも、当時はご自身の命を狙われているという自覚はなかったのですか?」

「7歳前後の子供が、そんな深刻な状況に自分が置かれているなんて普通は気が付かない。それに襲われても俺は自力で撃退出来たから、犬にされるまでそこまで危機感を持っていなかった」

「そんな心構えであったから兄上を庇った挙句、7年間も犬の姿を強いられたのですよ?」

「「えっ……?」」


 フィリックスのその話にロアルドとフィリアナが同時に反応する。

 だが、二人の反応に気付かなかったアルスは不貞腐れた表情をしながら、部屋の出口へと向かった。


「…………もういい。今から父上への報告と外出許可を取りに行く。ロア、フィー。すまないが先に厩舎(きゅうしゃ)の方に行って待っていてくれ」

「あ、ああ……。分かった」


 そしてフィリックスを伴い、部屋を出て行った。

 残されたフィリアナとロアルドも二匹の動物を連れて、馬の厩舎へと向かい出す。

 すると、先程のフィリックスの話をフィリアナが蒸し返した。


「兄様……。アルスってセルクレイス殿下を庇って犬になってしまう呪いを受けたのかな……」

「さっきの父上の話だと、そうみたいだな」

「そっか……」


 何やらモヤモヤしている妹の様子に気付いたロアルドが、怪訝そうな顔を浮かべる。


「どうした、フィー。お前、さっきから変だぞ? アルスと相乗りするのが嫌なら兄様の馬に乗るか?」

「そ、そうじゃないよ! そうじゃないのだけれど……」

「何だよ……。言いたい事があるなら、はっきり言え! 『困った時は、すぐ兄様に』だろう?」


 ロアルドのその言葉にフィリアナが驚くような表情を向ける。


「何で兄様……私が困っていると思ったの?」

「何年お前の兄様をやっていると思っているんだ……。お前、アルスが人の姿に戻ってから距離の詰め方で戸惑っているだろう?」

「うっ……。な、何で分かったの!?」

「見ていたら分かる。それに自分がアルスと一緒に行動する事にも不安も抱いているよな?」

「…………」


 現在の心情を見事に言い当てられたフィリアナが押し黙る。


「まずアルスとお前が一緒に行動する事についてだが……これは一番、理にかなった防衛方法だ」

「ええ!? 何で!?」

「現状アルスよりもお前の方がターゲットにされやすいからだ。恐らくアルスは護衛として考えたら最高の人材だ。だが、そのアルスの弱点がお前なんだよ……。だからお前を抑えれば、相手はアルスをどうにでも出来る」

「で、でも! 一緒にいる時に襲撃されて、またアルスが私を庇うかもしれないでしょ!?」

「それもないな。アルスは一般常識的な部分ではバカだなーと思う事はあるけれど、学習能力は物凄く高いだろう? 特に今は本来の姿に戻って魔力量も制限されていないらしいから、もう同じ失敗はしないと思うぞ? そんなアルスが窮地に追い込まれる状況が僕は想像出来ない。もしその可能性があるとすれば、それはフィーを人質にとられた時だ」


 その兄の考えを聞いたフィリアナは、怯えるような表情を浮かべた。


「そもそも、何故お前は人の姿に戻ったアルスに戸惑っているんだ? アルスは犬だった頃と中身は大して変わっていないだろう?」

「だって……だって! 今まで全力で可愛がっていた愛犬が、実は自分と同じくらいの男の子で、しかも王子様だったんだよ!? そんな状況で今までと同じように接するなんて無理だよ!!」

「確かに……。でもあからさまに避けるような態度をすると、アルスは深く傷つくぞ?」


 ロアルドの容赦のない意見にフィリアナが、ビクリと体を強張らせる。


「あいつは一度、信頼していた人間から裏切られている……。だが、そんな人間不信になりかけていたアルスを救ったのがフィーなんだ。そのフィーに避けられるような素振りをされてみろ。ショックで城を全壊させるかもしれないぞ?」

「兄様……。それ冗談に聞こえない……」


 ボソリとこぼされたフィリアナの言葉にロアルドが苦笑する。


「多分、お前の戸惑いは今だけだと思うぞ? それに……」


 そこでロアルドは一度言葉を溜める。


「アルスはフィーの気持ちを無視して、自分本位な欲求を押し通す事は絶対にしない」


 何故かその部分だけは力強く断言した兄にフィリアナが不思議そうな表情を浮かべる。そんな妹の反応が面白かったロアルドが苦笑しながら、更に補足もする。


「だけどフィー以外の人間に対しては、かなりの俺様王子だけど……」


 その被害に一番遭っている兄の言葉にフィリアナがプッと吹き出す。

 そんな妹の反応にロアルドが、ホッとした様な顔を浮かべる。


「大丈夫だよ。見た目はかなり変わってしまったけれど、中身は以前のアルスのままなのだから。時間が経てば、犬だった頃のアルスと同じ部分が多い事がフィーにも見えてくるはずだ。だからそんなにアルスに対して身構えるなよ」

「うん……」

「まぁ、フィーは女の子だから、色々戸惑う気持ちも分かるけれど」

「兄様、ありがとう……。でも凄いね、そこまで私の事を分かるなんて……」

「僕はお前が生まれた頃から兄様をやっているんだぞ? フィーの扱いに関しては熟練者だ」

「ふふっ! そうだね!」


 そんな会話をしていたら、いつの間にか厩舎に到着していた。

 シークが屈強そうな足の黒毛と栗毛の馬を二頭手配してくれている様子も目に入る。


 だがこの時のフィリアナは、兄に言い当てられたアルスへの戸惑いがこの後、自身の窮地を招く事になるとは思ってもみなかった。

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