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0.新しい仕事

 足立透あだちとおるは熊田という名前の男性の後に続いて地下への階段を下りていた。


 足立はこの熊田によって前の職場から引き抜かれた。怪しい仕事内容ではあったが、報酬と待遇の良さに心が動き、引き受けることにした。

 そして現在に至る――。


 階段の下に行き着き、分厚い鉄製の扉の前へと行き当たる。

 熊田は扉に設けられた端末にカードキーを差し込み暗証番号を打ち込んでロックを外す。

 そして扉を開ける。

「入れ」

 熊田は地下室へと入っていく。

 足立も熊田に続いて地下室へと足を進めた。



 部屋の中は様々な機械で溢れ返っていた。まだ整理されていないのか、機械は乱雑に置かれ、それぞれ別の方向を向いている。床には縦横無尽にケーブルが走り足の踏み場が無い程だ。その間には細かな機材が散乱しパイロットランプを激しく明滅させていた。


 そんな部屋の一番奥には機械仕掛けの大きなベッドが置かれていた。人ひとりがすっぽり収まるような人の形のくぼみがある特殊なベッドだ。

 そのくぼみの中には一人の女性が寝かされていた。

 熊田はその女性を手で示して言う。

「紹介しよう。機体番号MJ0013、呼称名アリス。戦闘用に開発されたアンドロイドだ。君には今後こいつの面倒を見てもらう」


 足立はアリスと呼ばれた女性を見る。

 美しく整った顔立ち、すらりとした体、腕や足の付け根部分にこそパーツの継ぎ目が見て取れるが、それ以外の部分はまるで見えない。本当にごく普通の生きた人間の女性のようにさえ見える。

 そのアリスは、瞼を半開きにした虚ろな眼差しでジッと天井を見詰めていた。


 足立はそんなアリスを見て思う。


 なんだか、とても悲しそうな顔をしているな――と。


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