001-5 こうして私は誘拐されました!
そして、冒頭にーーー。
悠は生きてて良かったと安堵し、落ち着きを取り戻そうとしながら、改めて誘拐犯である彼女達に視線を向けた。
絵画から出てきたような金髪幼女の、ゴールド。
美麗3Dで出来たような銀髪色白の、シルバー。
グラマラスさと筋肉美を兼ね備えた、カッパー。
彼女達とは誘拐された日以外に面識はない。
溜め息一つ。気持ちを切り替える。
どうせ椅子に拘束されている現状では逃げられないと諦め、少しでも情報収集する方針へと切り替えることにした。
「俺は、誘拐・・・・・・されたのか?」
「YES!」
あっさりと肯定される。
楽しそうに笑うゴールドの姿に、後に控えたシルバーとカッパーへと視線を向けると二人は肯定するように頷いた。
その事実に天を仰ぐーーように天井を見る。
誘拐されたにしては高級そうな天井の造り。彼女達を見る際に確認した周囲の雰囲気は、高級そうな応接室の様だった。
「誘拐の目的は・・・・・・身代金ですか?」
「?????」
「お嬢様、ゴニョゴニョ」
「あぁ、お金ーー違う、違う、お金じゃないよ」
シルバーに耳打ちされたゴールドは不明点が理解出来たようで、笑いながら否定する。
「私、お金には困ってないもん!」
部屋の様子から『でしょうね!』と思う悠だが、そうすると理由が理解出来ない。
「なら、なにが目的で俺は誘拐されたのかな?」
「誘拐の目的は貴方!貴方自身!」
「?????」
今度はコッチが?マークを浮かべる番だった。
お金が目的の誘拐ならわかる。
だが、お金以外に誰が好き好んでオッサンを誘拐しようとするだろうか?
「あ、もしかして俺に恨みを抱いてます?」
「恨みなんて持ってないよ!」
「お金でも、恨みでもないなら、俺に誘拐する程の価値なんてないと思うけどなぁ」
その言い方が気に入らなかったのか、
「そんなことない!」
とゴールドが怒ったように叫び、床を蹴った。
「ーーー私には価値があるの!
ーーーだから誘拐したの!」
泣き出してしまいそうな彼女の声に、悠は相手が少女ということを忘れ圧倒される。
それでも、彼女にそこまで熱望されるイメージがどうしても湧かなかった。
「別の人と間違えてはーーー」
「いないから!」
納得しない悠に、ゴールドは涙を浮かべながら理解してくれないことへの苛立ちを隠すことなく睨みつけてくる。
これ以上、変なことを言うとゴールドが泣いてしまいそうだったので、ひとまず受け入れた。
「わかった、わかった、わかったから」
だからといって質問を辞めるわけにはいかない。結果、肉体的制裁をくわえられようとも可能な限り情報は仕入れる必要があった。
「俺が目的とした場合。ちょうど長期休暇に入ったところなので2週間程度なら付き合ってあげられるけれど。それ以上となるとーーー」
大事になる。という目で訴える。
正直、旅行へ行けなくなるのは残念で仕方ない。けれど、長期休暇をゴールドの我儘に付き合っても良いとは思えた。
「かいほうなんてしないから!」
意固地になったように、ゴールドは言い放つ。
「そうは言っても、ねぇ」
「かいほうしない!かいほうしない!
私は悠と居たいの!
私には悠が必要なの!
だから AMERICA まで連れてきたんだから!」
ヒステリックに叫び、地団駄を踏むゴールド。
そんな彼女を落ち着かせるように、カッパーは後ろから優しく抱き締める。
それが効いたのか、彼女は少し落ち着きを取り戻し、そこでシルバーは瞳に溜まった涙を拭った。
彼女の様子に、いまは何を言っても逆効果だと考え、悠は誘拐を一度許容することにする。
「OK、OK、ひとまずは了解しまーーー」
と、ここで気づく。
「あれ、いまアメリカって言った?」




