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ロリユーカイ(prototype)  作者: 冬時宇井好
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003-8 彼女達



エレベーターが到着の音を鳴らす。


その音にゴールドを抱っこしていた晩乃悠クレノハルが乗り込もうと歩き出すが、箱内に見知らぬ女性の姿が2つあり、足を止めた。


ひとりは、ボタン操作していたのか扉の近くに立ち、赤い髪をひとつに纏めた標準的な体型をした、人懐っこく、気配りできそうな女性。


ひとりは、エレベーターの奥にいて、お団子に纏めた黒髪に、ビジネススーツに豊満な胸を抑え込んだ、眼鏡を掛けたキャリアウーマン風の女性。


向こうも、こちらも、互いに面識なく。


動くことができずにいるとエレベーターの扉が閉まっていく。


「NO,NO,NO,NO」


そんな扉に赤髪の女性は “ハッ” として閉まりかけの扉の安全装置を手で押し開けた。


強引に止められ派手な音をたてる扉。


「 Where are you going to take the child? 」


「え、え、なんて言った?」


「その子を、どこへ連れて行く気だ?と聞いた」


赤髪の女性がなんと言ったか理解出来わからず困惑していると、黒髪の女性が睨みながら日本語で答えてくれた。


ここで冷静に対処できていればよかったのだが、


「彼女をーー(自室に)ーー連れて行く」


と、戸惑いながら致命的な返答をしてしまう。


そう答えたあとの彼女達の行動は早かった。


「ーーー キュア 」


黒髪の女性が指示するように名を呼ぶと、赤髪の女性がエレベーターから飛び出し、あっという間に抱っこしていたゴールドを自分から引き剥がし、箱内の黒髪の女性へと渡す。


突然のことで反応が遅れた!


「ちょっと、ゴールーーーどわ⁉︎」


気がつき反射的に取り返そうとエレベーターへと手を伸ばすが、赤髪女性が殴りかかってきて阻まれる。


口にした日本語に怪訝な顔をするが、鋭い殺気を放ちながら赤髪女性があいだに立つ。


そして、繰りだされる攻撃。


「ちょ、ちょっと、落ち着こう。ね、ね!」


「 what? This kidnapper! 」


なだめようと口にした言葉も相手に伝わらなければ意味がない。


相手が何を言っているかも理解できないし、こちらを無力化しようと攻撃が繰り出されるので落ち着いて対応することもできない。


動きから素人ではないことが窺えたが、カッパーほどではなく、フェイントもなく悠の急所を狙ってくるので先読みしやすく、なんとかよけることができた。


だがーーーそれがいけなかったのだろう。


悠を素人ではないと勘違いした二人の警戒レベルが上がった気がする。


黒髪女性は日本を理解していたみたいなので話しかけたいのだが、赤髪女性のラッシュをよけるのに必死で無理だった。


(もう、やだ。この子恐いわぁ〜)


当たらないとはいえ風切り音は響き、すべての攻撃から当たれば終わりだという圧を感じる。


このままだとジリ貧だが……突破口はあった。


寝ていたとはいえ、あんな扱いをされたのだ。ゴールドも目を覚ましてくれるだろう。


(体力的にも辛いから、早く起きて!)


と祈るように考えていると、


「ん……ん、 ハル?……ハル⁉︎」


エレベーター内で黒髪女性に抱えられていたゴールドが目を覚まし、最初は寝ぼけ眼だったが、悠と赤髪女性がバトルしている状況に声をあげた。


(あぁ、これで誤解が解け―――)


問題解決だと “ホッ” としたのがいけなかった。


「―――がっ、は!」


油断した悠のボディに赤髪女性の拳が沈みこんでいく。それだけでは終わらず、拳の勢いそのままに上へと振り抜かれる。


下から上へのアッパーが綺麗に決まり、悠の身体が宙に浮いた。



     ★



それは、まるで格闘ゲームのワンシーンだった。


シルバーとカッパーが用事を済ませて戻ってきたら、開いたエレベーターの扉の先でキュアーー赤髪の女性ーーが綺麗なアッパーを決め、ハルの身体が回転しながら飛び、数回バウンドしたのちに倒れ込む姿を目撃する。


「「 ????? 」」


状況が理解できずにいると、何処からかお嬢様が悠へと駆け寄った。


「ハル!ハル!」


名前を叫び、起こそうとするが、悠は気を失っているようで反応がない。


理解が及ばず呆然としているとエレベーターの扉が閉まりかけ、カッパーが慌てて閉まる扉を手で止めた。


「ちょっと、ちょっと、これは一体どういう状況なんすか?」


そして、エレベーターから出てきながらお嬢様やキュアに訊く。


彼女を追うようにシルバーもエレベーターから降りると状況を確認しようと周囲を見回しーーー隣のエレベーターから出てきた人物を見て固まる。


「状況を知りたいのは……私もよ」


その声を聞き、カッパーも固まった。


キュアだけなら、まだ誤魔化しようもあった。


けれど、彼女相手ではどうだろうか?


カッパーが錆びたブリキ人形のように “ギギギッ” と声の方向へ顔を向ける。


「三人とも、説明してくれるのよね?」


そこには “ゴゴゴッ” と魔王のように腕組みして、ジットリとした視線を向けてくるノーレッジーー黒髪女性ーーの姿があった。



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