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ロリユーカイ(prototype)  作者: 冬時宇井好
11/31

002-4 そして始まる、誘拐生活



「ほら、いい加減諦めるすっよ」



ほのかに暗い部屋、カッパーが耳元で囁くと広いベッドへとハルの背中を押した。



     ★



食事も終わり、お風呂をいただいたあとーーー


ゴールドとの共寝を回避するため空室にでも逃げ込もうとしたが、脱衣所前で待っていたカッパーに捕まり、再び手錠をされると金髪幼女の部屋へと連行された。


ゴールドの部屋。


パジャマに着替えたゴールドが、ワイドキングサイズのベッドで横になり、布団を持ち上げながら誘ってくる。


「ほら、ハル。ほら、ほら!」


ポンポンとベッドに入るように促されるが、金髪幼女と一緒に寝るなんて悠には出来ない。


ここはーーー米国アメリカ


なにか間違いを犯すつもりはないが、もしも “ 何か ” があれば、悠は鉄格子。現状とは別の理由で日本に帰れなくなってしまう。


逃げようにも、カッパーが許してくれない。


「ほら、ほら、ほらっす」


こちらを揶揄からかうように背中を押してくる。


悠の心境を察しているだろうが、彼女は主人と一緒になって楽しんでいた。


強引に逃げようとも考えるが、自宅で拘束されたことを考えると不可能だしーーこんな手錠をつけていては外にも出られない。


「ほら、はやく〜」

「ほら、はやく〜」


ハモるように言う、二人。


なんとか現状を打開しようと考えるが、良い案なんてでてくる筈もなく、すこしでも時間を稼ごうとするのが精一杯だった。


そしてーーー冒頭のカッパーの台詞。


押し方が上手いのか、悠はバランスを崩してベッドにいるゴールドの横に倒れ込む。


主人にぶつからないように配慮する従者の鏡。


そこから、カッパーは倒れ込んだ悠の身体とベッドの間に手を差し入れたかと思うと、まるで重さを感じていないような動きでひっくり返し、主人の横に添える。


添えられた悠の姿に笑ったゴールドは、頬にキスをして布団を掛けると、腕に抱きつき、寝る体勢をとった。


「それでは、おやすみなさいっす」


2人の体勢が整ったのを確認すると、カッパーは部屋を出ていこうとする。


「あ、エッチなことしちゃ駄目っすよ!」


「しないよ〜」


悠の声色に笑うカッパーは「 lights out 」と言って間接照明以外の電気を消し、部屋を出ていった。


薄暗くなった部屋。


ゴールドが抱きしめる力を少し強めながら呼ぶ。


「ねぇ、悠」


「なに?」


「むふふ」


「なに?」


「いや、本当に悠がいるんだな〜。って」


彼女は、嬉しそうに、嬉しそうに口にする。


「君達が連れてきたんじゃないか」


「そうなんだけどね……ふふふ」


こんなに嬉しそうだと、怒るに怒れない。


けれど、訊かなくてはいけないことがあった。


「ねぇ、ゴールド」


「ん〜」


「君は、なぜ俺を誘拐したの?」


その言葉に流れる沈黙……というか反応がない。


「ゴールド?」


気になり視線を向けると、そこにはスヤスヤと寝息をたてているゴールドの姿があった。


はしゃぎ疲れたのだろうか?


眠る少女は温もりを求めるように、腕を抱きしめる力を更に強め、身体を密着させてくる。


その際に “ フニッ ” という感触が腕を襲う。


(俺は抱き枕、俺は抱き枕、俺は抱き枕ーー)


カッパー程の大きさではないが、小さいながらに主張してくる存在に、悠は平静を装うために呪文のように自分へと言い聞かせた。


「ンンッ」


彼女が身じろぎしたせいで再び感触が襲い、なかなか心の平穏が訪れてくれない。


ーーーーもしかして、こんな生活が続くのか?


と思うと、悠は我慢出来る自信を失いそうになる。


(あぁ、本当にどうにかしなくては……)


彼女の体温を感じつつ、悠は瞳を閉じた。




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