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カナデというその女子高生は、
キリヤに加勢し始めた。
『ワタシ、強いんだから。キミを助けてあげる。』
モンスターの猛攻をことごとく防ぎ切る。
キリヤは茫然としている。
『このゲーム、乱入機能があって
他のプレイヤーと一緒に戦えるんだよ。』
『あ、ありがとう。』
『少し落ちついたかしら。キミ、目が血ばしって
ヤバかったよ。』
カナデは口元に笑みを浮かべ、そう言った。
カナデが戦ってくれる間、
キリヤは回復を行う。
『たかが、ゲームよ。もっと楽しくやればいいのにね。』
キリヤは黙る。
この世にいないはずのイチカからのメール。
恐ろしかった。イチカの怨念が自分を
許してくれないから、ゲームを必死にやった。
イチカに許しを請うように、、
モンスターの体力ゲージが後少しだ。
キリヤが体力ゲージを視認したその刹那。
チャット機能に一つのメッセージが届く。
『キリヤくん、キリヤくん痛いよ。
やめてよ、そこの女は誰よ。私を、痛めつけて。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。』
キリヤは目を見開いた。
カナデも目を見開く。
『あ、あ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!』
『キミ、落ちついて!そんな、こんな仕様ないはずなのに。何が、何が起きてるの!?』
カナデはキリヤに声をかけるが、
キリヤは地面に膝をつき空を見上げながら
叫び続けている。
『まずい、白目剥いてる。
さっさとこのモンスター倒さないと。』
相変わらずチャットには、
メッセージが届く。
『痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!』
『恨む恨む恨む恨む恨む恨む恨む恨む恨む!』
カナデは冷や汗が止まらない。
『たかが、ゲームで何この阿鼻叫喚な場面。』
思考は冷静だ。
後一撃。
チャットはさらに続く。
『助けてよ、キリヤくんキリヤくんキリヤくん』
『これでトドメよ!』
次の瞬間、モンスターは消失した。