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1-1

スマホのアラームのけたたましい音がその日も

アパートの一室で鳴りつづけていた。

『まだ6時か、、』




少年キリヤは、二度寝をこころみる。

アラームを止めて、再度布団に入るも、

今度は玄関のチャイムが鳴った。




『キリヤくーん、朝だよ!朝ご飯も作ってきたから食べよ!』





キリヤはため息をつき、玄関をあけた。




イチカと呼ばれる黒髪ロングの少女が

その瞬間、キリヤの自宅に入ってきた。


イチカは地味だが、目はすこしパンダ目で

いつも微笑みをたやさないクラスでも割と人気のある女生徒だ。





両親のいないキリヤの朝、昼ご飯の世話をしてくれる献身的な少女。世の男子ならそんな女子が近くにいれば、毎日が甘酸っぱい日々となるが




だが、人を寄せ付けたがらないキリヤにとって、

煩わしく感じる。





『キリヤくん、そういえばハンティングワールドって言うゲーム知ってる?』



ハンティングワールド。





いわゆる位置情報と連動し、実際の街中で

モンスターとエンカウントしたらバトル開始という拡張現実の技術を利用した、スマホRPGゲーム

である。


『これ、今流行っているんだよ!キリヤくんも

やろうよ!楽しいんだよ!』


今日のイチカは食い気味だ。




あまり人を何かに誘うというキャラクターでもなく、控えめなキャラクターなのだが、意中のキリヤと話題を作りたいのだろうか。




『だるいー』


キリヤはその一言でイチカの思いを一蹴した。




朝食もそこそこにし、ブレザーにそでを通して、

家を出た。







『キリヤくん、みんなで思い出を作ろうよ。今年で卒業なんだし、、キリヤくん、さびしいよ。』


つぶやくようにイチカは言った







ハンティングワールドは

リアルの知り合いと一緒に町に出て、拡張現実の中でモンスター探しが出来る。





その為、キリヤのクラスでは特段、ほとんどの生徒が誰かしらと学校帰りや休日に町に繰り出し遊ぶ姿が見られる。





当然共通の話題にもなるし、ゲームきっかけで

クラス内の交流も深まった。





そんな中でゲームに入らないキリヤが

少し浮いてしまうのは当然の流れである








『キリヤくん、永遠なんてないんだよ。たかがゲームだけど、そういった思い出が未来を支えてくれることもあるんだよ、、』


キリヤにイチカの言葉が届くことは

この先も決してない。交わることのない思い。





それだけは確定された未来とも知らず





イチカは思いを届けようと最後の時まであきらめることはなかった。

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