↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パーン・パーン・パーン! ー飛空艇事故の真実と真相ー  作者: 鈴本恭一
リタリーニャ空港地上衝突事故
PR
30/77

リタリーニャ空港地上衝突事故②:ワイバーンと飛空騎手

○アレッサンドロ=エルミ(王立ワイバーン訓練校 上級教官)


 あの日のリタリーニャ空港には、多くのワイバーンと訓練生がいました。

 3段階ある卒業試験のうち、最初の試験が行われていたからです。

 王都の訓練校だけでなく、あちこちの訓練校から教官と生徒がやってきていました。


 幼馴染みのフランチェスコ=ガルコにも、そこで会いました。


『フラー! 久方ぶりだな』

『アレックスじゃないか、君も来てたのか!』


 私達はワイバーン繁殖場のある街で育ったので、小さな頃から飛空騎手に憧れて育ちました。

 私達が飛空騎手になった頃には、多くの飛空騎手が飛空艇への仕事に就いていました。私達も誘われたのですが、ワイバーンにしがみつく仕事を捨てる気にはなれませんでした。


『君も試験の監督かい』

『ああ。その言い方だとフラー、君もか』

『まあね。けど実を言うと、この空港は初めて来たんだ。ワイバーンポートからの飛空計画を出してる。ポートがすぐ見つかるといいんだけど』


 その言葉に、私は驚きました。


『おいおいフラー、リタリーニャのワイバーンポートは使えないぜ? 知らなかったのか?』

『なんだって?』

『ここのワイバーンポートはずっと前から閉鎖されてる。ポートにヨロイドオオスギが生えたからな』

『え、あの空港のポスターに映ってるやつかい? 空港の中に生えてる?』

『そうだ。今じゃ名物さ。だから試験で使えるのは、滑走路22だけだ』

『そんな馬鹿な。だって試験のための飛空計画はずっと前に提出したし、承認もされた』

『Aプランだろ? ワイバーンポートを使うやつ。滑走路を使うBプランも提出しろって言われなかったか?』

『言われた』

『だろう? そっちも承認されたはずだ』

『けど空港からは何も………』


 と彼が言ったとき、フランチェスコは空港管制から呼び出されました。

 それに応じ、戻ってきた彼は苦笑して、


『ポートは使えないから、試験はBプランで実施してくれってさ』


 私は笑いながら彼の肩を励ましてやりました。飛空艇の空港なんてそんなもんさ、と。



 ………そうこうしているうちに、空港の天候は急に悪化していきました。


 濃い霧が、空港全体を覆い始めたのです。



『いやな天気だ。飛べなくなるかもしれない』


 ワイバーンの飛行は、計器類に頼らず飛空騎手とワイバーンの感覚が頼りのため、気象条件がかなり厳しく決められています。

 特に視界の良し悪しは最も重要で、飛空艇と違い雲霧の中を飛ぶことは禁じられています。

 ただし地上を移動する分には、その限りではありません。


『予報では、霧はそれほど長く続かないらしい。悪いなアレックス、生徒がそろそろ来る。Bプランのせいで打ち合わせをやり直さないといけない』

『滑走路に着いたらちゃんと報告しろよ。迷子の呼び出しをされたくないなら』

『よしてくれ、訓練生じゃあるまいし……そろそろ行くよ。ケールにも覆いを付けないといけないし』

『ケール? 今日のワイバーンの名前か?』

『ああ。いい子だから後で会ってくれ』

『分かった。霧には気を付けろよ。俺の生徒はもっと後になる。終わるまで待っててくれるか?』

『いいとも。美人のいる店を見付けてあるから、勝手にどっか行くんじゃないぞ』

『君が落ちなきゃね』


 お互いに笑い合って、それじゃ、って別れました。


(そこで、彼は目を手で覆った)


 ……今でも後悔しています。どうしてあんなことを言ったのか。


 頭の中で、誰かが言うんです。

 お前があんなことを言ったせいで、あの事故は起きたんだ、って。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。