10.すべての元凶は思う(神視点)
……。
暇だぁぁ……。天界には何も無い。ただ永遠に続く空間が広がっているだけ。
「……ルマは何してるかな」
最近する事と言ったら自身の愛し子にしたルマが何をしているか下を眺めるくらいだ。
「……あぁ」
今日はルマの誕生日か……。
あれから10年かぁ……。人からしたら10年は長いかも知れないけど僕からしたら10年なんて一瞬だ。
……。
眺めているだけじゃ例の事に進展もないし僕と通信できるものでも渡そうかなー。……暇潰しにもなるし。
スッ
「ただいま戻りました」
「げっ……!ユーリ!」
ユーリは僕の補佐をしてくれている者で僕に唯一会える特別な存在だ。
ユーリが居なきゃ今頃僕は暇すぎて屍と化していたかもしれない。
「『げっ……!』とは何ですか。貴方から仰せつかった仕事を終わらせてきたのですが?」
「!そうか。助かった」
「暇だ、暇だと仰るなら自分でやられたらどうですか」
「やだ」
「はぁ……。貴方って人は……いえ、それよりも愛し子の件はどうなりました?」
「んーとね。ユーリが居ない間……丁度10年前に決まったよ。……選ぶのが面倒臭かったから同じ時期に地球で死んだ人の中から抽選会して当たった人にしたー」
「はぁ!?変な奴が当たったらどうしたんですか!?」
「その時はその時〜」
「まったく貴方は……!」
……。
あーあ。ユーリの説教タイムが始まっちゃったー。いくら暇でも説教で時間を潰すのは遠慮したいなー。
てか、ユーリ。君さ、日に日に僕の造った世界で言うところの母親(?)みたいになってきてないかな?
でもそれで言ったら僕は子供になるじゃん?僕って神様なはずなんだけどな。何なら僕が君を造ったんだし。
「じゃぁ神らしくしていて下さい!」
「……勝手に思ってることを当てないでくれるかな」
「貴方が普段考えていることは分かりやすいです!」
「……」
何それ。僕にしか考えていることが分かる能力はないはずなんだけど……そんなに分かりやすいかい!?
「ま、まぁそれは後で良いよね!?……愛し子のこと知りたいでしょ?」
「はぁ……」
「まぁ、とにかく変な女の子じゃなかったから大丈夫!」
「……女の子ですか?」
「あ、うん。享年19歳の『坂井千鶴』ちゃんって子」
「それは……そんな若くして亡くなった女の子では混乱していて話をするのが大変だったのでは?」
「ううん。余裕〜!」
「では、無駄に偉そうで交換条件で色々要求してくる奴ですか」
「ううん。転生とか愛し子のこと割とすぐに承諾してくれて要求もしてこなかった。むしろ僕から『希望ない?』てな感じで聞いちゃった♪」
「は?……普通地球の女の子なら信じたくなくて混乱してずっと泣いているか、開き直って異世界転生のテンプレだかなんだか知りませんけどめちゃめちゃな要求をしてくる図太い精神な奴の二択だと思うのですが」
ユーリ……君なんだかんだで言ってることが酷いね。その通りなんだけど。
「あぁ……うん。ある意味図太い精神の子だね。凄く逞しいというかサバサバしててね?……日本人なんだ」
「あぁ……日本人ですか」
そう、日本人。地球の他の国の人と比べたら変わってる人多いよね。
特に自分の好きなものへの探究心とか。
例えば食。何故あのネバネバした腐ってそうな豆を食べようと思ったのか……。何故毒のあるものを食べようとするのか……。
まぁ、良い事ではあると思うけど度が行き過ぎたら引くよね。
「千鶴ちゃんはアニメとゲーム大好きなヲタクらしく『転生っ!?』てな感じで目をキラキラさせてウェルカムムードだったよ」
「……そうですか。……愛し子に頼んだ事は進展していますか?」
「う〜ん。それがねぇ色々あって進展してないから今から天界に来ることができるアイテムあげる事にした。まぁ詳しい事の説明は面倒くさいから頭の中に情報送るね〜」
「まったく……はい、分かりましたよ」
仕方ないじゃん。面倒くさいものは面倒くさいんだもん。
「……転生先はジゼル国のローレル家ですか。妥当だとは思いますが愛し子……ルマの負担が大きいのでは?」
「ん〜でもなぁ。頑張って貰うしかないね」
「……結局、聞いた希望も貴方は叶えてないみたいですし?」
「……」
や、やだなぁ〜。僕は聞いただけで叶えるとは一言も言ってないよ〜。
「わざとですよね」
「まぁ、それは良いでしょ。近々ルマを呼ぶからよろしく」
「……承知致しました」
うん。なんだかんだで僕の言うとおりにしてくれる良い右腕だ。
「さてと……どうしようかな」
「……貴方も自分を出せるようになると良いですね……」
「……なんのこと?僕はいつも自分勝手してるじゃん。そんなことユーリが一番知ってるでしょ」
「……違う。貴方は…………っいや……何でもありません……」
……。
ごめんね、ユーリ。僕はこれで良いんだよ。
だからそんなに悲しい顔をしないでくれ。お前は何も悪くないんだから。
全ては僕の判断ミス。ルマも巻き込んでしまった。
『荷が重いです。…………でも……分かりました。やりますよ』
面倒くさそうにしながらも僕の思いを薄々感じ取ったらしいルマはやってくれると……そう言ってくれた。
「……ルマ、ありがとな…………」
「……」
きっと本人には伝えられる事のない言葉。
神がついこぼしてしまったこの言葉を知っているのは悲痛な顔をしているユーリただ一人だった。
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