アンドロイドの恐怖
緊張の海に浸される。人間のころなら、冷や汗が流れて止まらなかっただろう。
もう、どうすればいいのかわからなかった。一番頼っている家族は倒れ、ここから動くこともできない。このまま拳銃で撃ってしまってもいいのだが、その場合、真悟を傷つけてしまうことになる。私としてはそれで問題はないのだが、それをご主人様の前でやっていいのか?たとえご主人様からみえなくてもら音でバレてしまうだろう。
いや、もう、そうするしかない。それしか私達に道は残されていない。殺すわけではないのだから。大丈夫、ちゃんと急所を外して撃てる。
私は覚悟を決めて、銃を握り直した。
ヒュッ。慎吾の腹に、一歩のナイフが刺さる。
「があっ!?」
真悟は汚い声を漏らしながら腹を押さえ、その場に尻餅をついた。
いったい誰が投げたんだ?私は投げていない。
「遅くなって申し訳ありません、姉さん。」
そこには立ち上がっているヤミとセイがいた。先ほどまで倒れていた2人は、いつの間にか2人立ち上がっていて、私の前に庇うように立ち塞がっていた。
「実は私達の体、改良してありまして。」
「主人の声に反応して電源が入るようになっているんだよな。」
そんなこと聞いていない。いつの間に?
考えるのはあとだ。今は早く慎吾を捉えないと。
3人で一斉に走り出す。けれど、あと少しということろで。
2人はどうやら千春様の救出に成功したようだ。銃を構えていた男を慎吾に気をとれているうちに捕縛し、千春様を抱えて後ろで待っているみんなのところに戻る。
私は、痛がっている真悟を捕まえればいいだけのはずだった。けれど、馬鹿な私にはそれができなかった。頭が良くないが故に、隠されていた罠にはまってしまったのだ。
「姉貴!」
上から何かが降ってきている。気づいたはいいが、避けれない。それは私の頭に直撃した。
それは大きな鉄球だった。何か部品が外れてしまったか、歪んでしまったか。頭がボーッとする。簡単には壊れない設計になっているはずなのだが、いったいどういうことだ?何が起こっている?
頭がパニック状態になる。グルグル、グルグル。思考が回って、わけが分からなくなる。
そして、私が立ち止まったている間に真悟が銃を持ち直し、私に向けた。
そんなことをして何の意味がある?私は壊れても直せるアンドロイド。人質にはなれない。人質にはなれないはずなのに。何をしているの?何を感じているの?この恐怖は何?元人間としての感情なの?何も怖くないはずなのに、どうしてこんなに怖いの?




