愛
そんなものを真悟に聞かせるつもりはない。ホワイトは、そこまで凶悪な組織ではない。人を殺したという話も聞かないし、私たちが今まで捕まえてきた奴らに比べれば可愛いものだろう。だから、そこまで軽蔑はしていない。けれど、やはり聞かせるものではないと思うのだ。自分の息子をゲームのコマとしか思っていないような人に、私達の関係を聞かせてやる義理はない。私は、ご主人様が大切だ。だから、ご主人様との思い出も大切にしたい。どうせ、長く一緒にはいられないんだ。
「教えるつもりはありません。」
私がそうあしらうように答えるも、真悟は笑顔を崩すことはなかった。
「では、私の話を聞いていただこうか。私の、君への愛の話を。」
真悟が私を愛している?ありえない。私たちがあったのは昨日だ。それも、ほんのひとときだけ。そんな短い時間で、いったい私の何がわかる?
「私は君を愛している。」
馬鹿な話だ。そんなわけがないのに。また嘘か?どうせ、嘘なんだろう?
「私達のホワイトは、君の天使の姿を模したものなんだ。」
私の天使の姿は、確かに白色の衣装を見に纏っている。天使といえば白いイメージだからだ。同じように、ヤミは黒色、セイは薄くいろいろな色が混じっている。その白を、その白が、ホワイトの元となった?ということは、つまり……。
「君から生まれたんだよ、ホワイトは!」
私の、せいで?私がこの人たちに影響を与えて、犯罪をさせてしまった?
「君のために、君を愛するが故に生まれたんだ。」
私のために、こんな組織が……?私が、私が、ワタシガ……?
心の中で首をブンブンと横に振る。ありえない。こんな精神攻撃に惑わされてはダメだ。大丈夫。そんなことはない。それに、真悟が言っていることは少しおかしいのだから。
「私を愛するなら、どうしてそんなことを?私が正義のために怪盗として活動していることは、あなたの頭なら簡単にわかったでしょうに。」
そして、真悟はその言葉にそぐわない行動をもう一つしている。
「それに。私を愛しているのなら、どうして私を攻撃するのです?どうしてライオンに、蜘蛛に、私を狙わせたのでしょうか?」
私はいったいどうして狙われていたのか。それだけはどうしてもわからなかった。私を狙って、何になる?どんな利益が得られるというのだ?
「簡単なことじゃないか。」
真悟が、また、笑った。
「君を愛しているからさ。」
そう言って、また、ニヤリと。作られた笑顔は、私達の視線を独り占めしていた。




