倒れた家族
「馬鹿みたいですね。」
ふふふ、と、セイが口を手で隠しながら笑う。
「何か言ったかい?」
平静を装うとした声。確実に怒らせてしまっただろうが、まあいい。怒っているということは、普段のように判断ができなくなるということだ。隙も生まれやすくなるだろう。
「馬鹿のようだ、と言いました。」
どうしても言い返せずにはいられなかったのだろう。けれど、セイにしては珍しい。簡単に怒るタイプではないのに。
「どうしたの?」
通信機を使って話しかけると、セイは
「兄さんが今にも爆発しそうだったので、代わりに。」
と答えた。ヤミの方を見ると、今にも殴りかかっていきそうな顔をしていた。
「ヤミ。落ち着きなさい。」
「わ、悪い。」
私が声をかけると、何とか少しは落ち着くことができたようだ。
ヤミもセイも優しい子だ。ご主人様に同情して、怒らずにはいられなかったのだろう。
「どういうことかな?」
にっこり笑顔を作ってはいるものの、内心では怒っているのだろう。声が少しおかしい。
「おかしいでしょう?自分の身をわざわざ危険に晒すなんて。自虐ですか?」
まるで嘲笑うかのように真悟を見つめるセイ。確かに、おかしなことだ。わざわざ自分から正体を晒すようなことをしなくてもいいのに。
「……お前たちにはわからないだろうな。俺の考えなど。」
素が出てるわよ、真悟。怒っているのか、悲しんでいるのか。私にはわからないけれど、感情が揺れ動いているのは確かだ。目に手を当てて、慎吾の視界が失われる。捕まえるなら、いまだ。
声を発することなく、指を指すだけで命令は終了した。本当なら、このままうまく行くはずだった。真悟を捕らえて、それで終わり、の、はずだったのに。
一歩踏み出したところで、ヤミとセイがばたりと音を立てて倒れた。顔から地面に突っ込んでいく。本当なら、受け止めてあげたかった。けれど、命令が失敗に終わった以上、私はここから動けない。人間のみんなを、守らなくてはならないから。
「ははは!かかったな。」
どうやら罠だったらしい。私としたことが、うかつだった。
「電源を強制的にオフにする電波だ。さっきの位置ではギリギリ届かなくてね。」
そんなものが開発されていたのか。2人の電源をオフにする方法は、ただ一つ。主人がそう命令をする。それしか手段はないはずなのに。ヤミとセイの親がそうやって電源を切れることを隠していたのか?私たちは、真悟を、ホワイトをみくびっていたようだ。
「さあ、どうする双子の人形の主人よ!どうやって私を倒すのかね?」




