絶望の推理
ご主人様の絶望したような声は、私たちの心の中に響いた。こうなることはわかっていた。それでも、いずれはわかる真実。知るのが速くなっただけだ。そう、速くなっただけだ。だけなんだ。
「とう、さ、ん?」
「お、じさん?」
ご主人様とお嬢様の悲痛な声が頭の中でこだまして離れない。ごめんなさい。私ではどうしてあげることもできなかった。こればかりは、2人に受け止めてもらうしかないのだ。絶望しないで、なんて慰めることはできない。いくら慰めたって、この事実は変わらないから。それでも、くじけないで頑張ってほしいだなんて、私はなんて無理難題をしいているのだろうか?
「ぼ、す?」
ビオラ様は不思議そうにホワイトのボスを見つめていた。
「いつもの姿じゃないのに、声がおんなじ……。」
いつもはどんな姿をしていたのだろうか?ビオラ様も、真吾様の、ボスの本当の正体を知らなかったらしい。
「おや?来たんだね。探。」
ふふふ、と、そう言って笑う真吾様。真吾様がホワイトの者だなんて、最初は思いもしなかった。けれど、一緒にいたり、進んでくるうちにわかったんだ。
「おお。我が先祖の最高傑作も来てくれたんだね。」
我が先祖の最高傑作。やっぱり真吾様、あなたは、ヤミとセイを作った人の子孫なんだね。
「どうだったかね?私のゲームは。」
ゲーム。今まで、私たちが危険な目に遭いながらも上へと登ってきたのは、どうやら真悟様、いや、真悟にとってはゲームだったようだ。
しんどさにくじけそうになり、傷つき、そして覚悟を決めてここまできた私たちをカメラ越しに見るのはさぞ楽しかっただろう。カメラがあることには気がついていた。てっきり、私たちを監視するためだと思っていたが、ゲームだと思って楽しく見ていたとは、気がつかなかったよ。
「私の可愛い息子は頑張っていたね。もちろん、綺麗なお嬢さんも。」
ご主人様とお嬢様を交互に見た真悟は、次に私の方を見た。お嬢様がご主人様の後ろに隠れるのをみて、真悟はさらに嬉しそうに笑った。
「どうやら私がボスだとわかっていたようだね。」
ニヤリと笑って私の肉を貫くような視線を私に向けてくる。ああ、私には肉はなかったか。
「聞かせてもらおうか、あなたの推理とやらを、ね。」
聞かせてあげようじゃないの。私の推理を。いや、私たちの推理を。




