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黒のメイド  作者: 藤本 寛那
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アンドロイド

千春はいまだに笑っている。忌々しい千春。ご主人様を絶望させ、嘲笑った千春。どう考えても、許すことなどできない。

「やれ。」

私が小さな声でそう命じると、次の瞬間には。

「……え?」

お嬢様の声に反応し、ご主人様が顔を上げる。そこには、千春の頭がなかった。地面には、その頭がゴロリと転がっている。

「母さん!」

千春の肩をガシッと掴むと、千春の体はそのまま崩れ落ちていった。

「か、母さん……。」

がくりと崩れ落ちるご主人様。なにをそんなに絶望することがあるのだろうか。自分を傷つけた人間なのに。……ああ。わかった。それ以上に愛していたのね。その感情は、いくら馬鹿な私にでもわかった。けれど、ご主人様には安心してほしい。

「ご主人様。よく見てください。切った部分を。」

倒れてしまった千春の落ちてしまった頭を指差す。それを見て、ご主人様は安心したように手を伸ばした。

千春、千春様の頭からは、何本もの導線が覗いていた。先程の、千春、は、アンドロイドだったのだ。それはヤミがドアを開けた瞬間からわかっていたことだ。アンドロイドやロボットの音はわかりやすい。もちろん、私やヤミ、セイからも同様に音がしている。そんな音を聞き取り、アンドロイドだとわかったからこそ、私は2人に命令をしたのだ。壊せ、と。

いつの間にかヤミとセイは命令する前の位置に戻っていた。先ほどは確かにアンドロイドの千春の向こう側にいたのに。

「ロボット……?」

お嬢様が驚いたように声を漏らした。正確にはアンドロイドだが。

後ろを振り返ると、ウメとアイビーは平然としていた。2人は私たち3人がアンドロイドだと知っているからだろう。普通であれば驚く。それにしても、このアンドロイドが出てきたおかげであの説が強くなったな。

「問題と敵を探しましょう。」

敵はおそらくこのアンドロイドだろうが、問題がわからない。あの説が本当なのかどうか確かめるためにも早く進みたい。正義がどうとかなんて、もうそこにはなくて。ただ私が気になっているだけで。ああ、これだからたまらない。正義っていう仮面を被って生きていくのは。


 それから私たちは問題を探し、前に進んでいった。何度もアンドロイドは登場した。何度も毒が登場した。けれど、私たちはそれを事前に気付き、倒して、避けて。そして進んでいった。ヘトヘトになりながらも、疲弊しながらも、私たちは進んでいった。進んで、進んで、進んで。そして、私たちは地下2階をクリアした。

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