ライオン
ヤミ以外の全員がドアから少し離れたところで、ヤミを見守る。危険なものではないといいのだが。いちおう、非戦闘員のご主人様とお嬢様は、戦える私たちの後ろに隠したが、それでもやっぱり心配だ。人間の仲間が増えたからには、傷つけられる可能性が増えたとも言える。ここからは、慎重に進まなくては。
キイイ、という音とともにドアが開いた。
「下がれ。何かいる。」
ゼンマイの回る音が聞こえてくる。向こうにいるのはロボット?また動くお人形かしら?
「……眠っている。ライオンだ。」
ライオン。ライオンのロボット?普通のライオンも怖いけれど、ロボットとなれば相当硬い。私たちだけならまだしも、みんなを守っていては戦えない。
「わかったわ。ヤミ、セイ。2人で倒せる?」
戦闘においては、私はただの足手纏いにしかならないだろう。私の中には必要最低限の知識しか詰め込まれていないらしいし、戦闘経験もほとんどない。ここは2人に任せて、私はみんなを守るべきだ。
「わかった。」
「大丈夫です。」
ヤミとセイは私に笑顔でそう告げると、静かにドアを通過し、ドアを閉めた。
俺たち2人がライオンのいる部屋の中に入ると、ライオンはそっと目を開けた。ライオンには立髪があり、どうやらオスのライオンを模して作られたロボットのようだ。
「……どうか殺さないではくれまいか。」
ライオンは口を開けることなく、話し出した。いや、これは耳に届いている音ではない。俺たちしか使えないはずの、俺たちの体に内蔵された通信機に向かって話しかけているのだ。
「どういうことだ?ここを通してくれるのか?」
セイを後ろに隠しながらその声にそう返事した。ライオンの目は、俺の目をを見つめていた。静かに、ただ、静かに。
「かわまんぞ。私も殺されたくはないからな。」
ライオンは起き上がることなく、横になったままセイを見た。
「私では君たちには敵わない。」
ロボットでここまで高性能な物は久しぶりに見た。殺さないでくれ、というのであれば殺さなくても構わないのだが、この後姉貴たちにここを通らせるのは少し心配だ。急にこのライオンが噛み付いたりしないだろうか?
「この後、俺たちの仲間がここを通る。そいつらも通してくれるか?」
後ろにあるドアを指差しながらそう尋ねると、ライオンはやっと首を持ち上げ、起き上がった。
「ああ。」




