血を流した警官
妹のセイを先頭に、罠の間を潜り抜けて進んでいくと、ようやく出口にたどり着いた。
「開けよう。離れてくれ。」
2人をドアから少し離れさせると、ドアの死角に隠れながら慎重にドアを開ける。
危険な役目は俺の仕事だ。この仕事に、俺は誇りを持っている。どうしてかなんて愚問だ。大切な家族を守れるのだ。これ以上の誇らしいことなんてあるだろうか?
ドアを開けるが、何も反応がない。なんの気配もない。そりゃそうだろう。いつも通りなら、この先は階段のはずだ。
「大丈夫だ。行こうぜ。」
楓の足音だけがパタパタと響く。足元を見てみると、楓はサンダルを履いていた。
「なんでサンダルなんだ?」
聞いてから、あっ、しまったと反省する。いつも聞いてから聞かなければよかったと後悔する。どうしてそんなこともわからないの、と、セイに馬鹿にされるからだ。
「兄さん、どうしてそんなこともわからないのですか?」
ああ、ほらやっぱり。セイは呆れたように、はあ、と小さくため息をついた。今日はなんだかため息をよく聞く日だな……。
「あ、あの。玄関で探を出迎えてそのまま意識をなくしちゃったから……。」
場の雰囲気が一気に明るくなる。楓がいてよかった。楓は探にとって希望だが、俺たちにとっても癒しとなる人間だ。セイはなんだか少し気まずそうな顔をしていた。いいすぎた、とでも思っているのだろうか?
俺はセイの頭を優しく撫でた。セイはたまに可愛いところがあるから嫌いになれない。まあ、大切な妹であり相棒であるセイを、嫌いになることなんてないがな。
「もうっ。なんなんですか?」
ふんっと、向こうを向いてしまったセイ。こんなところも可愛いくていいが、敵地にいるにしては緊張が少なく見える。楓を安心させるために、わざとそういう演技をしているのだろう。よしっ。俺でもわかったぞ。
階段を上り終わると、またいつもの扉が見えてきた。
また2人を少し離れたところに行かせて、開けると、次の瞬間には大変な事実が目に飛び込んできた。
「大変だな、こりゃあ。」
「何言っているんですか!早く行かないと!」
飛び出して助けに行きたいのは山々なんだが、いきなり飛び出していくのは危ない。どうな罠が仕掛けられているかわからないのだから。
「どうしたんですか?」
後ろからひょっこり顔を覗かせた楓が、
「ひっ。」
と声を漏らした。仕方がない。俺達の目の前には、倒れている人がいた。足から血を流しながら、気を失っている、警官が。




