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黒のメイド  作者: 藤本 寛那
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名前

 進んでも進んでも罠ばかりですね。これはかなり厄介です。私たちだけならまだしも、楓様を連れてとなると、少し面倒……いえ、頑張りましょう。幸いにも、出口はもう見えてきていますからね。

姉さんは大丈夫でしょうか?今ごとあの男と2人きりかと思うと、寒気がします。ですが、きっと姉さんも頑張っていることでしょうし、私たちもくじけずに前に進んでいかないと。

「まだですか?」

不安げな声で楓様が話しかけてきました。私ではなく兄さんに話しかければいいものを。私が先頭に立っているから私に聞いたのでしょうし、仕方がないのですが。

「もうドアは見えてきていますから、ご安心くださいね。」

姉さんが優しくして、と言ったのを思い出しながら笑顔を作ってみました。私の笑顔は、うまくできているでしょうか?

心の中で話すのは慣れませんね。兄さんが頭の中の情報を整理できるよ、と言って進めてくれたのですが、あまり長文を話すのはどうしても慣れません。そもそも独り言をいうタイプでもありませんし。ですが、まあ。続けてみましょうか。姉さんとの話題になるかもしれませんし。

「お二人のお名前を伺っても?」

それに反応して、兄さんがすぐに

「ヤミだ。妹はセイという。」

と私の代わりに答えてくれました。おかげて、私は罠探しに集中できます。

「それって、本名なんですか?」

確かに、こういうところでは偽名を使うべきなのだろうが、私たちは使いません。なぜなら、焦っている時に誤って本名が出てしまわないようにするためです。

「偽名、ですよね?危険ですもん、こんなところで名前なんて使っちゃったら。」

危険、確かに危険かもしれませんが、私たちはアンドロイド。戸籍もありませんし、名前から追跡される可能性も少ない。基本買い物などで外に出るのは私と兄さんだけですし、外で名前を呼ぶことも少ないですから、私たちの名前がバレることも少ないでしょうし。やっぱりそれでも危険はありますが、姉さんにはいつでも名前で呼んで欲しいですしね。それに、名前から私たちを追ってくるものがいたとしても、全て姉さんのために返り討ちにして見せますわ。

「本名だぜ?」

戸籍に書かれている名前が本名、と呼ぶのであれば、少し違うかもしれませんが。

「ええっ。」

ガーン、と、驚いた顔で私と兄さんの顔を交互に見る楓様。私達に戸籍がないのを知られるわけにはいきませんし、私たちの姉さんへの愛も、恥ずかしくて語れませんし。楓様にこの言い訳を聞いていただく日は来るのでしょうか?ふふっ。

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