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黒のメイド  作者: 藤本 寛那
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友人の監視

 私たちを同情させるようなことを話して、私達に何をさせたいのかしら?仲間に入れて、とでも言いたい……。

「仲間に入れて欲しいんです!」

あーあ。また厄介ごとか。敵を仲間に入れるというのは、戦場でもかなり難しいことではないだろうか?何が難しいかなんて簡単で。その人を信じることだ。捨て駒として使うにしろ、本当の仲間にするにしろ、その人に重要な役割を与えたり、近くに置くのであれば、信頼関係がないと成り立たない。それはすごく難しいことだ。

「いいぜ。」

そうそう、これはいくら何でもダメ……って、いいの!?

「いやいや、駄目ですよ!裏切られたらどうするんですか?」

私が慌ててそう尋ねると、ご主人様はまた不機嫌そうな顔になって私を指差した。

「それはおまえが考えろ。」

はあ!?何を言っているのよ、この馬鹿……じゃない、ご主人様は。

自分のしたいことだけして、後のことは全部人任せだなんて、どうかしてるわ。自分がしたいことがあるのなら、責任を持って最後まできちんと面倒を見ないと。

「俺にはどうにかできる能力がない。あるとしたら、お前だ。だからお前に頼んでいる。」

ちゃんと説明をしたのは褒めてやってもいいが、もう少し可愛く頼めなかったのかな?

悪態をついても仕方がない。ご主人様は、今は私の主人なんだから、その主人が何かをしたがっているのであれば叶えてやるのが筋ということだろう。

ビオラも、表情や焦り具合を見ても、嘘をついていそうには見えない。少しくらいなら、信じてやってもいいかもしれない。

「が、ゆり。ビオラさんは俺の友人として扱ってやってくれ。」

それって……敬意を払えってことかしら?そのくらいなら別に構わないけれど、私からもひとつお願いをしたいものだ。

「構いませんが、ビオラ様は私から離れないようお願いします。」

ご主人様は何のために私がそう言っているのか気がついたようで、静かにうなずいた。けれど、ビオラ様にはわからなかったようで、

「なぜですか?」

と私にきいてきた。なぜって、そんなのわかり切っていることだろうに。

「ビオラ様を監視するためですよ。守って欲しいのであればもちろんお守りしますが、私たちを裏切ったときにはその首、いただきますので。」

冷たくなってしまっただろうか?まあ、いい。信用するつもりはないが、側に置いておくくらいはしてもいいだろう。ご主人様とお嬢様、そして私の家族に危害を加えさえしなければ、ね。

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