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黒のメイド  作者: 藤本 寛那
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落下

 ここから下まで約10m。先ほどの地下10階までの高さだろうか?私の頭はアンドロイドの能力を活用し、フル回転していた。考えろ。下になにがある?どうすればいい?

下を見ると、どうやらクッションなどはなさそうだ。打ち所が悪ければ、ご主人様が骨折してしまうかも。助けなきゃ、助けなきゃ。ご主人様の足を掴み、素早く手繰り寄せた。

ドンっ。

痛覚はないのだが、ぐっと、声が漏れそうになる。私は、ご主人様を守るように抱きしめながら下敷きになっていた。

かちっ。何かが鳴る音がした。しまった。また罠だ!

飛んできたのは、幾つもの槍だった。人形の部屋でセイから借りた内をを使って払いのける。かきん、かきんという音が周囲に響いた。早くここから上がらないと。……いや、もしかしたらこれでいいのかもしれない。一応、あの部屋からの脱出は出来たのだから。この先にも、どうやら道は続いているようだ。なんとかして、このまま脱出しよう。もしかしたら、この先にも連れてこられて人がいるかもしれない。

「私達はこちらから脱出します!お嬢様達は他の道も探してみてください。」

大声を出して上を見上げると、泣きそうな顔をしたお嬢様の顔が見えた。

「私の……私のせいでっ……。」

お嬢様は泣き出してしまった。困ったものだ。こんなところで泣かれても、足手纏いになるだけなのに。

セイは優しくする、という約束を守ろうとしたのか、お嬢様横まできて、お嬢様に声をかけた。

「大丈夫ですよ。楓様。楓様のせいではありません。探様の為に先へ進みましょう。きっと、また後で会えます。」

お嬢様を泣かせるくらいなら。ああ、でも。槍をうまく使って上へ登ってもいいのだが、疲弊しているご主人様を連れて、となるとと少し難しいかもしれない。

「私たちも、このまま進みましょう。」

ご主人様に手を差し出すと、今度は素直に手を取ってくれた。素直なのが一番よね。

「姉さん。」

頭の中に直接声が響く。通信機でセイが話しかけてきたのだ。

「大丈夫ですか?」

人間であるご主人様を心配しているのだろうか?私はアンドロイドだし……。

「大丈夫よ。私が下敷きになったから。」

人間を心配するなんて、どんな心境の変化があったのか?

「そうではなくて、姉さんが、です。どうして私がそいつの心配なんか……。」

むすっとした声をしているが、顔はいつも通りの無表情なのだろうと思うと、なんだか笑えてくる。

「大丈夫よ。ありがとう。ヤミにもそう伝えて。」

かしこまりました、という返事を聞き、ふう、とため息をつく。

さて、ここからは別行動だ。愛しい愛しい家族とはしばしのお別れだが、元気を出して頑張ろう。大切なご主人様もいることだし、ね。

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