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黒のメイド  作者: 藤本 寛那
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捨て駒

 それにしても、さっきの男はかわいそうな男だ。人間にしては相当強い方なのに、捨て駒に使われるなんて。

「姉さん。さっきの答えって……。」

セイがあざとく首を傾げながら横から私の顔を覗き込んできた。やっぱり私の妹は可愛いなあ。弟はかっこいいし。

「ああ。さっきのやつな。俺もそうだろうとは思ってたけど、かわいそうなやつだよな。」

どうやらヤミもセイも分かっていたようだ。さすが、優秀だな。

「私たちに武器を渡して、誘導する……。それが先ほどの男に託された役割。」

「人を殺したことある俺らに近づけるくらいだ。つまり……。」

「殺されてもいいと思われていた、捨て駒ってわけね?」

2人の顔を交互に見つめる。セイはいつも通りの無表情だが、ヤミは今にも崩れ落ちてしまいそうなほど疲れ切った顔をしていた。

「そんなヤバい組織に立ち向かうんだろう?面倒だなあ。」

ヤミは面倒だ、が口癖だ。こういう時、セイはいつも、

「こらっ!姉さんの命令なんだから、ぐちぐち言わずに従いなさい!」

と、ヤミを叱り付ける。セイの方が後に作られていて、ヤミはお兄ちゃんのはずなのに、ヤミはよくセイに叱られている。仲がいいのは何よりだ。

私はふふっと笑って、2人の間に入り、2人の肩にぽんっと手を乗せた。

「そうよ。これは姉としてではなく2人の主人としての、命令、なんだもの。頑張りましょうね。」

2人は私の手を取り、幸せそうに私の手を見つめながら楽しそうに笑っていた。私の手、何かついているのかしら?

さあ、早く前に進まなくちゃ。ご主人様がどこにいるのかもわからない今、スピード重視で進むしかない。

「作戦なんてないわ。でも、進まなくちゃ。」

進めば、守れる命があるかもしれない。……あれ?そういえば。あのエレベーターで上には上がれないのかな?

「あのエレベーター、使えなくなってた?」

私とした事が、うっかりしていた。これが人間の感情に影響された、という事なのだろうか?

「おう。使えなかったぜ。それに。」

「1階、1階。ちゃんと見ていかないと、途中の階に皆さんがいらっしゃったら大変ですからね。」

ああ、もう。私ったら、どうしてそんなことにも気がつかなかったんだろうか?私も2人と同じアンドロイドのはずなのに。これが経験の差ってやつなのかしら?今までいろんなことを2人に任せきりだったからなあ。こんなで、2人の主人としてやっていけるのだろうか?心配だ……。

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