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黒のメイド  作者: 藤本 寛那
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セイとの合流

「すみません。少し出てきますね。」

ご主人様とお嬢様に声をかける。もうセイがそこまできているらしいので、さっさと以上な部分を直してしまいたいのだ。

「どこに行くんですか?」

まるでリスのようにほおに朝食のパンを頬張りながらお嬢様が私に尋ねてきた。

「そんな奴のことなんか放っておけ。」

なんだか今日のご主人様は冷たい気がする。まあ、私のことを軽蔑してらっしゃるのだ。無理もないだろう。

「少し買い出しに行ってきます。」

ああ、こう言ってしまったからには今晩の食材くらいは買っておかないと。たしか、お嬢様がご用意してくださっているのは朝食だけだったはず。

「では、行ってまいります。」

お嬢様に見送られながら、主探偵事務所を後にする。待ち合わせ場所は近くの公園のはずだ。

「まあ、姉さん。」

驚きの声が、公園についた私を出迎える。さんさんと太陽の光が私たち2人を照らしていた。

「メイド服、素敵です!」

子供のように笑うセイ。彼女は、私とヤミにだけこの姿を見せてくれるのだが、それがなんとも可愛い。けれど、そんな笑顔はすぐに悔しそうな表情に変わった。

「あんな奴のためにそんな服を着なくても……。あんな奴に仕えるなんて、姉さんはお優しいんですね。」

私が面白がってやっているのだから、私が優しいわけではないのだが。

「私だったらやめてますよ。……ああっ、あの男、姉さんのメイド姿を独り占めだなんて、羨ましい!」

あの男、とセイがご主人様のことをそう呼ぶのは、先ほどの会話を通信機越しに聞いていたのだろうか?少々本音が漏れているようだけれど、気にしないでおこう。

「それより、人目のつかないところに早く行きましょう。さっさと修理を済ませなくちゃ。」

公園の出口を指差す。セイのことだから、もう場所は確保してあるのだろう。

「分かりました。」

少し急ぎ足で歩くセイの後について歩く。少し歩いてセイが立ち止まったのは、大きな一軒家の前だった。

「姉さんが住めるように買っておいたんです。まあ、あの男の護衛をしなくてはならないのなら離れられないでしょうし、あまり使う機会もないかもしれませんが。」

けれど、今回はその家が役になったのだから、買った意味はちゃんとあったようだ。手渡された鍵で玄関の鍵を開け、中に入る。家の中にはある程度の家具が揃っていて、人が住める環境が整えられていた。

「さあ、点検を始めましょう。」

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