終章 それから……
……という事で、リヒト様とアマンダ様は仲睦まじいご夫婦として幸せに暮らしてらっしゃいます。お陰で私は現役復活。もう少し頑張ってみるとしますかね。来週、15歳になるAIの男の子が執事見習いでやってきます。彼を一人前に育てませんと。
あ、イブ様はあの鬼道様が引き取っていかれました。なんでも、最高の愛玩AIに作り変えるんだとか。そしてリヒト様とアマンダ奥様にこう言って行かれましたよ。
「お子様が欲しくなったら、お二人のDNAを引き継いだ最高の赤ちゃんを作るお手伝いをしますから、いつでもお気軽にどうぞ」
とね。お顔を赤くされたお二人を、面白そうに眺めていかれました。もちろん私も、涼しい顔をしてチラリとね。
この一連のことを通して私が思いますのは、人工生命体であれAIであれ人間であれ。最終的には「何かを誰かを想う力、意思・意志の力」にはどんな精巧な機械・ロボットであっても叶わない。このことは古今東西時代を超えて、永久に言えることだと思うのですよ。
それではこの辺で。ごきげんよう……
セバスチャンはそこまで「黒皮の手帳」に書き記すと、ワインレッドの万年筆をそっと机に置いた。
~完~