5 初めてのスキルブック製造1/2
「じゃあ、早速ウォーターの本を作りたいから、材料を見せてくれる?」
「おう、いいぜ」
グリモは私に【ウォーター】が載っているページを開いて見せてくれたが、なんだこれは、古代文字か? 全然読めやしない。
そう思っていると、私の思惑に気づいたのだろう、彼は謎の文字を現代語に翻訳してウィンドウへ表示してくれた。ウィンドウというものは、空間に文字や画像を表示できる、誰でも使える便利魔法だと考えてもらえばいい。
「ん、グリモありがと。これは結構簡単な素材なんじゃない?」
―――スキルブック製造―――
スキル名:ウォーター
必要素材:水の魔石(小) ×5
:きれいな水 ×3
――――――――――――――
一般的に魔石というものは魔道具の素材や、高位のスキルを行使する為の媒体として使われ、希少で高価なのだ。
だが、今ウィンドウに示された魔石(小)というのは、弱小モンスターから取れたり、道端に落ちていたりする程度のもので、強い力など持ち合わせておらず、生活用魔道具の消費燃料として用いられていたりする。
つまり、水の魔石(小)なら、そこらの川辺に落ちてるかもしれないって事!
きれいな水も同時に手に入るだろうし。
だって、私たちの村には、直接飲んでもいいくらいに綺麗な清流が流れているのよ。
きっといずれの素材も簡単に手に入るに違いないわ!
この考えをもグリモには聞こえていたのだろう、こっちを見てニヤニヤとしている。
「じゃあ、そういうことだから、小川に行ってくるね。グリモは、いったん帰る?」
「そうだな、オレサマの姿は他人にも見えるだろうから、禍々しいオーラは危険視されかねないし、とりあえずお暇しようとするか。素材が集まったらきちんと呼ぶんだぜ。次呼ぶときも【スキルブック製造】と唱えてくれればいいからな」
そういうとグリモはポンと消えた。
早く素材を集めないとね!
そうだ、せっかくだから、久しぶりにあの場所へ行ってみよう。
私は小走りで、今より小さな頃に遊んでいた水場へとやってきた。
そこは川の本流から少し離れて、小さな湖を形成している。
生命を感じさせる大樹が一本ある存在感は大きく、辺りには微かな光球がフワフワといくつも浮遊していて、幻想的な雰囲気を醸し出している。
そうだ、私はここで昔、何か、大切な約束をした気がする。
なんだっただろうか。
思い出せない。
ここはまったく村人が訪れない場所で、しかも不思議な結界のようなものに守られているらしく、魔物が寄ってくるということがない。
私はここへ誰もつれてきたことがないから、誰とも約束なんて交わしたはずがないのに、どういうことなんだろう。
少し悩むが結論は出ないようなので、目的のモノだけでも探しちゃおうかな。
そういうわけで、私は探し始めたが、数分後に【鑑定】スキルを使うのがいいと気付く。
「鑑定!」
試しにさっき拾った小石を鑑定してみた。
―――鑑定結果―――
水の精霊石 ×1
――――――――――
え、精霊石?
残念なことに私はこれについて詳しい知識を持ち合わせていない。
あとでグリモに聞いてみよう。
でも、水の魔石じゃなかったわよね。
本当にここにあるのかしら?
しばらく辺りの石を手当たり次第に鑑定してみるが、ほとんどが精霊石で、残りはただの石だった。
うまくいかないものだわ。
仕方ないので先にきれいな水を採集しようと思い立ち、湖の水を小瓶に入れ、鑑定をかける。
―――鑑定結果―――
精霊の聖水 ×1
――――――――――
精霊の聖水ですって?
さっきの精霊石のおかげで、もしやと思っていたのだけど、ここは精霊の楽園なのかしら?
精霊の楽園とは、その名の通り精霊たちが身を隠してでもたまに訪れる場所で、そうそうお目にかかれるものじゃない。
人間にとっては金の生る木のように扱われることが多いが、私はこの場と思い出を穢したくないし、私の目的は冒険するだけだからね、他の誰にもここのことは言わないでおこう。
……聖水と精霊石はいくつか貰っていくけどね。
私がここで拾ったものは、すべてアイテムボックスに収納してある。
いつか使う日が来るかもしれないし。
結局私はその場でスキルブックの素材を見つけることができず、元の川辺まで戻ってきたところで無事に目的のモノを採集し終えたのであった。
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