11 冒険者登録をする
「とうちゃーく!」
「わーい」
私達は門兵へと通行税を払い、リジェールの噴水広場で休憩をしているのだった。
「それにしても、グリモさまさまね、ほんと」
そう、グリモのおかげで私達は普通の冒険者を続けることができるのだ。
何があったのかというと、彼は私たちにとあるスキルブックを作ってくれた。
それは、【制限】のスキル本だった。
【制限】はスーパーレアスキルで、スキル本の素材のことを私は心配していたのだが、今の私にとってその心配はないらしい。
なんと材料は私の未振りステータスポイントだったのだ。
私としても、今はインフレ状態が甚だしいから別にいくら持って行ってくれてもいいと思っていたんだけど、彼が必要としたのは1000ポイントだった。
よく考えたら、アクアの加護なしだと、それだけのポイントを稼ぐのにもレベルを100上げないといけないのよね。
そう思うと、改めて私に起こっているこの非常識な状態が恐ろしく思えた。
そして制限のスキル本を作ってもらった後、私も最初は制限? と思っていたのだけれど、そのスキル内容を聞いて納得いった。
グリモ曰く、これは使用者のステータスを自在に変化させられるんだぜ、と。
自在とはいっても、もちろん虚栄を張ることはできないらしいが。
つまり、私が化け物ステータスだったとしても、いつもはその力を隠した上で普通の生活を送れるのだ!
そして本当に危なくなった時には力を開放すればいいという、ずるい保険持ちになってしまったのは、新人冒険者としてなんとも言い難いが。
でも、アクアを危険な目に合わせるわけにはいかないからね。
当分はそんなことは起こりえないと思うけどね。
その後私はあのときに獲得した、残りのステータスポイント36000は全部振り分けることにした。
「ステータス」
―――1/2―――
《ステータス》
名前:メアリ
レベル:38
HP:9150/9150
MP:9200/9200
筋力:9050
体力:9030
知性:9050
精神:9040
速さ:9030
器用:9050
運 :9030
―――――――――
ステータスは9種類だから、綺麗に割り振れたけど、私の元のステータスが本当にかすんでしまっているわね…。
でも、ステータスポイントを持ってるのに使わないなんて勿体ないし仕方ないわね!
そして、【制限】を使用後の私のステータスはこんな感じ!
スキルブックを右手にとって魔力を注入し、私はスキルを唱える。
「制限!」
よし、これで私が思っている通りにステータスが変化しているはずだわ。
「ステータス」
―――1/2―――
《ステータス》
名前:メアリ
レベル:8
HP:150/150
MP:200/200
筋力:80 (50→80)
体力:60 (30→60)
知性:50
精神:40
速さ:60 (30→60)
器用:50 (50→60)
運 :30
―――――――――
新人冒険者だし、私はレベル8くらいがちょうどいいかな?
と思ってそうしておいた。
そうすると、私はステータスポイント70を獲得する計算になるから、元の私のステータスからこんな感じに振り分けておいた。
魔法を使わない冒険者としては、一般的な数値かな?
よし、懸念を払拭したところで、早速冒険者ギルドへむかって出発だ!
リジェールは地方都市であって、城なんかはないが、貴族の屋敷なんかはあったりする。
冒険者ギルドは、そんな屋敷ほどじゃないが十分に大きな建物だった。
3階建てだろう、白い外壁が美しく、高い位置に窓がついていて中まで光が差し込んでいるようだ。
「アクアも一緒にくる?」
「うん、私は冒険者とかよくわからないけど、となりにいるね」
頑丈な扉を開けて中に入ると、そこは大きな広間だった。
右手には小さな商店があるらしく、そこで道具やちょっとした食事を提供しているようだ。
左手にはクエストボードがあり、冒険者たちがこぞって依頼を眺めていた。
テーブルや椅子はそこらにあって、くつろいでいる者たちも沢山いる。
私は受付窓口へと向かう。
受付嬢は可愛い娘か、屈強な男であることが多い。
私が向かった窓口の担当は前者だ。
「リジェールの冒険者ギルドへようこそ! 何をご案内しましょうか?」
「冒険者カードを発行していただきたくて、私はここに来ました」
私はアクアと手をつなぎながらそう告げる。
「わかりました、ではこちらの用紙に記入をお願いします」
私は渡された紙をみて安堵する。
事前情報で分かってはいたのだが、手持ちのスキル記入が任意のものだった。
私のスキルは他人に明かせないからね。
冒険者ギルドがこういった形式をとっているのは、スキル獲得が運まかせであることが全てだろう。
だって、先輩冒険者が【皿洗い】を持っていたら格好がつかないでしょう?
そういうことなのよ。
私は出身やレベル、ステータスを記入したあと、スキル欄に【鑑定】と書いて紙を提出した。
しばらくして渡されたカードは、青銅色に光っていた。




