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短編

コメントを削除するボタン

作者: 小沢琉祢

「ねえねえ、このボタンめっちゃ怖い」

「ん?何々…」

彼女がそう言って見せてきたのは彼女のブログにあるこのコメントを削除するというボタンだった。

「これめっちゃ怖い。私の意思で善意あるコメントっていうか善意であふれているであろうコメントが消せるってことだよね?怖い怖いめっちゃ怖い…」

彼女はガタガタ震えている。

何もそこまで怖がらなくても…

「でもさ、逆に言えば誹謗中傷されるコメントを消せるってことじゃないの?それなら別に怖くなくない?逆に誹謗中傷される方が怖くない?」

「それとこれは話が別なの!!確かに怖いよ?誹謗中傷。いつ攻撃されるかびくびくしてるよ?でもさ、その人だって時間割いて書いたんだよ?そんなコメント消せると思う?」

「いや、消そうよ」

「嫌だよかわいそうに」

誹謗中傷する人が悪いと僕は思うけど彼女はそうではないらしい。

批判する人は大抵暇だと僕は思うけど…

「あーどうしようっ!!!間違って押しちゃったら!!!バカボケクズ死ねってめっちゃ叩かれるうううう!!!!!怖いよおおおおおおおおおお!!!!!!!!」

発狂する彼女。やっぱり批判されることを恐れてるじゃないか。

いいいいいいやあああああああああああと彼女は叫ぶ。

今は夜だから静かに静かに!!!そう言うと彼女は僕の耳元でささやいた。

「怖いよー怖いよーなんとかしてー」

「…じゃあコメントを見ないってのは?」

「それは無理…返さないと失礼」

「じゃあ僕が操作するってのは?」

「…それいいね。あ、でも私のブログ見られるの恥ずかしい」

「大丈夫、いつも見てるから」

「は!?!?!?」

「だって検索したらすぐ出てきたからさ。面白いからずっと見てたよ」

「どえええええええええええええ!!!!!!!!!!」

顔から煙が出そうなくらい真っ赤になる彼女。

かわいいなあ…

「え?え?嘘。え?マジで?」

「マジです。前ネットで名乗ってる名前教えてくれたからもしかしてって思って検索したら一発だったよ」

「このストーカーっ!!!!!!!!」

殴られる。

「なんで!?!?!?」

「だってあれじゃん恥ずかしいあれやこれやが見られてもおおおおおおおおおお!!!!」

「落ち着いて!!!!!静かにしないと近所迷惑だから!!!!!!落ち着けえええええ」

「はっすすすっすいません…」

しゅんとする彼女もかわいい。

「じゃあ頼もうかなあ…でもさ、コメント返信する内容とかコメント読むのも私じゃん?となると絶対コメント削除ボタンを見ることになんない?」

「確かに…」

「…………怖いよー」

彼女の悩みは続く。


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