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ゴッドスレイヤー・俺  TRPGで育て上げた神殺しの戦士、異世界でも超強い  作者: あけちともあき
3,5.ミドルフェイズ:シナリオ『神州に暗躍する影を討て』
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英雄の弟子、城攻めを考える

 彼らが見上げる先に、この地の城がある。

 幾つも、丘を連ねたような坂道が多い国だ。

 この国の城は、自然とそれらの丘が集う中心になる。

 すなわち、最も高い場所である。


「これは、なかなか突入のしがいがある」


 侍、暮撫刃五郎は不敵に笑った。

 だが、もはや又佐は騙されない。この男、ポーズだけで中身は何も考えていないのだ。

 実にそれっぽい外見と、たちの悪いことに態度に見合った並外れた剣の腕があるため、相手が勝手に勘違いするのである。

 実際、別行動を取った際にも、行動指示をしていたのは巫女の梔子だったという。


「少しはソフィを見習って欲しいものだ。年端も行かぬ娘が、自ら考えて動いているというのに。あれは剣を振って敵を倒すことしか考えておらぬな」


 それはそれで使いようがあるのだが。


「うむ。戦闘特化型のキャラはな、あれはあれで助かるんだ。今回のような規格外の相手がいる場合、刃五郎のような奴がいて丁度いいかも知れないな」


 スタンの助の語りに、納得する又佐。

 確かに、今回の敵は尋常ではない。

 一見して人間ではあるのだが、人心を操る奇怪な能力と、焼いても穿っても死なない不死性。

 高位のあやかしであろうというのが、又佐の見立てである。


「私もその点は同感ですね。あのあやかしは、少々たちが悪いです。ですが、刃五郎様は楽しそうでしたね」


「なるほど、戦闘狂……」


 又佐が刃五郎を見ると、ニヤニヤと一人で笑っている。

 何やら口が動いている。

 唇を読むと、


「うわ、今の拙者、かなりかっこいいのでは? 城攻めとか夢でござったなあ。剣術指南役では、城を攻めることもできぬし、何より今は平和な時代。戦国に憧れておったがこのような形で叶うとは……。誅魔に選ばれて良かった……! そして、そうなるためにひたすら剣の修業に邁進して良かった……。拙者の仲間、平和な時代に剣を選ぶなんてお主は阿呆じゃのう、とか言ってみんな政治や経済の方に行ってしまったからなあ」


 凄い早口だ。


「相当歪んでおるなあやつ」


「ええ。ですけれど、私は彼のような方は嫌いではありません。自分が格好良く刀を振るい、敵を倒す。それだけに特化した方だからこそ、頼りになりますし、その一途な姿勢には好感が持てます」


「ほう……」


「実際、彼の戦いぶりを見れば、又佐殿も理解できると思います」


 怖いような、楽しみなような。


「あ、あのー、皆さん。これからどうやって潜入するかっていう話ですよね?」


 話が脇道に逸れているところで、ソフィがおずおずと突っ込みを入れてきた。

 ハッとする又佐と梔子。


「すまぬ、ソフィ殿」


「ついつい、目的を忘れてました」


 そんな彼らの横では、スタンの助がうんうんと頷いている。


「あるある。セッション中でも、雑談に夢中になって脇道に逸れちゃったりするんだよな」


「っていうかスタンの助、これはセッションじゃないから脇道逸れると問題なんじゃない?」


「あ、あのー。私はどうしたらいいんでしょうかー」


「あ、エリリンはお留守番な。お前さん、ワールディングで無力化するだろ。さっきの町中でも無力化していたらしいじゃないか」


「ぐぬぬ……」


「ということでだ。突入作戦は任せてもいいか、又佐」


「ああ。任せておけ」


 この程度の城、入り込むのは容易い。

 何より、内に魔の者を何人も抱え込んでいるためか、警備の手が薄い。

 門番に立っている者も目に生気はなく、操られていることが丸わかりだ。


「かと言って正面からは入れまい。しばし待て。既に調べてあるのだが、そろそろやってくるものがある」


「やってくるもの?」


 ソフィが首を傾げた。


「まあ、見ていよ」


 静かにするように、又佐が指示する。

 やがて、がらがらという音が響いてきた。


「城の中に食材を運び込む車だ。近頃、城主が美食に目覚めたとかでな。高給な食材を次々に買い込んでいる」


「すごい! いつの間に調べたんですか」


 ソフィが目を輝かせる。


「茶店でもどこでも、ちょっとした日常的な話の中に、示唆が紛れているものだ。特に、城主の元に敵がいるとなれば、たかが噂でも集めていけば正確になっていく。さて」


 ぶらり、と又佐が荷馬車の前に出た。


「うおっ! あぶねえな!」


 荷馬車を引いていた男が驚き、馬を止まらせる。


「いきなり出てくるなよ!」


「へへっ、済みませんねえ。ところで旦那、随分美味そうなもんを積み込んでますけど、こいつは一体?」


「あ、ああこれな。城主様が美味いもんをどんどん持ってこいって言っててなあ」


 男と話しているうちに、又佐が後手に指示する。

 すると、荷馬に音もなく乗り込んでいく者たちがいた。

 いや、音はしているのだが、


「おっと! 荷物が!」


 又佐が背負っていた薬箱を落とした。

 がらがらと音がする。


「おいおい、大丈夫かよ……」


 男が驚き、薬を回収する手伝いをし始めた。

 又佐は男の肩越しに、仲間たちが乗り込み終わったのを確認する。

 そして手早く薬を回収した。


「いや、済みませんね! じゃあ、あっしはこれで……」


 へこへこ頭を下げながら、去っていく又佐だった。

 荷馬車はその後、ゆっくりと城門をくぐっていく。

 荷物を検める事もない。

 ぼーっとした顔の門番たちは、そのまま車を素通りさせてしまう。


「やはりか」


 これを確認した又佐、音もなく壁を駆け上がった。

 着地すると、素早く荷馬車に駆け寄り……。


「ふっ」


 懐から取り出した吹き矢で、馬引きの男に痺れ矢を打ち込む。


「うっ」


 倒れる男。


「今だ、出ろ!」


 食材の下から、仲間たちが飛び出してきた。


「あっ、なんでエリリンがいるんだ」


「えへへ、つい……」


 留守番を言い渡されていた会留府までいる。

 だが、とりあえず侵入は成功と言ってよかろう。

 城の守りは極めて手薄。

 だがそれはつまり、敵に侵入されたとしても気に留めないという、この地に巣食う者たちの自信を現しているように思えた。


※戦闘特化型

 優秀なアタッカーである。

 これをサポートすることで、パーティの対ボス戦力となる。


※彼の戦いぶり

 乞うご期待。


※ぶらり、と

 又佐の本領発揮。

 忍者はこの辺の器用さが肝なのだ。

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