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ゴッドスレイヤー・俺  TRPGで育て上げた神殺しの戦士、異世界でも超強い  作者: あけちともあき
2,5.ミドルフェイズ:シナリオ『シュヴィーツ湖王国に降り立った異貌の神を倒せ』
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英雄の弟子、岩場に隠された洞窟を発見する

「ううむ……驚くほど順調に手がかりを発見できたな」


 戦闘が終わり、舟の近くに降りてきたドゥーズ。

 周囲で消滅していく、深淵のもの(アビス・ワン)を見やりながら呟く。


「いつもであれば、数日がかりになることも珍しくない。だが今回の捜索は、まるで何かに導かれてでもいるかのようだ」

命題(クエスト)が全員にあるからじゃねえの? 神様とかがさ、おいら達を導いてくれてんのさ」

「?」


 事情が分かっている風なアンネと、理解できていないフォルト。

 ソフィは、ドゥーズとアンネのやり取りに目を丸くする。


「あのっ、普通、皆さん命題を授けられて、こういう事件に挑んでるんじゃないんですか?」

「いや、全員が命題を得ているという状況の方が珍しい。当方が経験した十数年に及ぶ異貌の神との戦いの中で、このようなことは二度も無かったように記憶している」

「ええっ! わ、私、前の初めての事件も、みんな命題を持ってて」


(スタンさんは違ったけど)

 内心でそう続けるソフィ。

 だが、ドゥーズもアンネも、この少女の言葉におおいに驚愕する。


「二回立て続け!? そりゃあんた、異常だって!」

「うむ。まるで、ソフィ。君こそが何かに導かれてでもいるかのようだ。……しかし、なるほどな。全員が一つところへ向かう命題を有し、共に力を合わせたとき、探索者の能力は何倍にも強化されるようだな。先ほどのゴメスを探る一連の動きは、我らがあたかも一つの生物であるかのようだった」


 精霊使いは唸った。

 だが、機嫌は良さそうだ。

 何より、異貌の神の代言者であるゴメスが、まだ遠くに行ってはいない可能性が高いのだ。

 アンネが探った舟の中で、残された毛布がまだ暖かかった。


「まあ間違いなく、この感じなら岩場から出てねえだろ。ってか、普通、岩場に舟をつけたりしないんだろ?」

「ああ、そうだ! 見えにくい岩とかが水面ギリギリに突き出してるからな。引っかかって舟を壊されちまう。俺達漁師なら、絶対にここには近付かねえよ」

「ってことは、だ」


 アンネが、仲間達の顔を見回した。

 ソフィは頷く。


「この岩場に、ゴメスさんが来なきゃいけなかった理由があるっていうこと……だよね」





 周囲は、濃厚な霧に包まれている。

 この調子では、フールの街全体へ霧が広がっていることだろう。

 不思議と、深淵のものを倒したあと、その辺りだけは視界が開けた。


「この霧そのものが、異貌の神と繋がっているのだろう。ゴメスか、あるいは裏で操る本当の黒幕がいれば、それを倒すことで状況は解決できる」


 霧の中、異貌の神を感じ取る力を持ったドゥーズを先頭に、一行は岩場を行く。

 入り江の部分を中心として移動を行っている。


「どうだ、精霊使いのおっさん。なんか見えてるか?」

「うむ。徐々に奴らの痕跡が強まっていく」


 邪魔になる石や岩は、ある程度ならばドゥーズが纏う精霊の力によって弾ける。

 その後を、フォルトとソフィが続くのだ。

 一番後ろを、不本意そうな顔をしたアンネ。

 キャバリアでトロトロ走るのが不本意らしい。

 ちょっと進んでは、ドゥーズに状況を聞いてくる。


「ああー。おいらが先行できりゃ、ずばーっと走っていっちゃうんだがな」

「キャバリアの速度、凄いですもんね。だけど、速過ぎて注意しなくちゃいけないものまで見落としちゃうかも」

「うっ、そ、それはまあ、細かいことは気にしないのがおいらの性分だし」

「ゴメスの隠れ家探すんだろ? 細かいことじゃねーじゃん」

「ううっ」


 ソフィや、フォルトにまで突っ込まれて、顔が引きつるアンネ。

 結局は、精霊使いを先頭にしたこのゆっくりとした行軍が一番いいのだという話に落ち着いた。

 やがて、一行は入り江の奥深くに到着する。

 そこには、半ばまで湖に沈んだ洞窟があった。


「この中だ。一気に奴らの気配が濃くなった。精霊達が騒いでいる」


 ドゥーズの周囲で、金色の精霊が漏れ出て、バチバチと音を立てている。


「よっしゃ、じゃあ突っ込もうぜ!」


 アンネの提案に、今度は誰も反対しなかった。


「俺は空から行く!」

「無限に深い洞窟と言うわけでもあるまい。竜騎兵、先駆けは任せる」

「おうよ! ソフィ!」

「あっ、ま、また後ろですか?」


 本日三回目。

 キャバリアの後部に引っ張り上げられ、ちょこんと横座りするソフィだ。


「あんまり、のんびりもしてられない雰囲気だぜ。ほら、見てみろよ」


 アンネが、湖の対岸を指差す。

 そっちには、斜面に作られたフールの街がある。

 深い霧に包まれて何も見えないはずの彼方から、叫び声や、轟音が聞こえてきていた。


「異貌の神の手下が暴れてやがる」

「やべえじゃん!?」


 フォルトが慌てる。

 だが、ソフィは落ち着いたものだ。


「大丈夫だよ、フォルト君。だって、あっちには……スタンさんがいるから」


 それは、確信めいた言葉だった。

 フォルトには、ソフィが抱く、スタンなる人物への信頼が理解できない。

 だが、ソフィの言葉に、ドゥーズが深く頷くのだ。


「あの男がいるならば、どれだけの深淵のものが押し寄せたとしても、物の数ではあるまい」


 その言葉は、事実であった。

※ソフィ。君こそが何かに導かれてでもいるかのようだ

 (ΦωΦ)フフフ…


※「あの男がいるならば、どれだけの深淵のものが押し寄せたとしても、物の数ではあるまい」

 ということで、次回はスタンvs深淵のもの軍団!

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