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ゴッドスレイヤー・俺  TRPGで育て上げた神殺しの戦士、異世界でも超強い  作者: あけちともあき
2,5.ミドルフェイズ:シナリオ『シュヴィーツ湖王国に降り立った異貌の神を倒せ』
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英雄の弟子、黒幕である漁師を探す

 まずは、ゴメスの足取りをたどる所からスタートだ。

 精霊使いのドゥーズは、人探しなどの仕事は苦手らしい。


「当方は、シュヴィーツ人の顔の見分けがつかん」

「ひでえな」


 これにはアンネも茶化さず、大いに呆れた。

 そしてこういう仕事が得意だったのが、意外と言うか何と言うか。


「よし、任せとけ。魚の群れを追うのも、人を追うのも似たようなもんだ。みんな癖とか習性ってのがあるんだ」


 フォルトが床に這い(つくば)り、そこに残ったゴメスの痕跡をたどる。

 ソフィは、彼に対して導きの特技を使用した。


「おおっ、なんか目が冴えてきやがる! ソフィ、なんかしたか!? すげえな!」

「どういたしまして。私、色々なお手伝いは得意だから、何でも言ってね」

「分かった! おっ、さっそくあったぜ……」


 フォルトはゴメスの足跡を見つけたようだ。

 彼はいつも履いているサンダルも履き潰していて、壊れかかったそれを引きずりながら歩くのだとか。


「こっちだ。サンダルの底が削れて、続いてる」


 フォルトに続いて、一行は外に出てきた。

 足跡は、一旦浜辺に向かい、湖に沿って続いている。

 かなり先に、岩場があった。

 当然ながら、硬い岩場で足跡は途絶えている。


「ゴメスの奴、なんだって岩場なんかに行ったんだ? ここらなんて入り組んでて、怪我しちまうだろうが」

「漁師は岩場に入らないのかよ?」


 アンネが尋ねると、フォルトは頷いた。

 岩場は入り組んでいて、小魚がその隙間に逃げ込むことはあるらしい。

 だが、近くはあちこち暗礁のようになっていて、小型の漁船でも近づくのは危ないのだとか。

 だから、漁師は岩場近くで漁をしない。


「ならば、むしろ怪しくなってきたな」


 精霊使いが文字通り、目を光らせた。


「ひえっ」


 ソフィはそれを見てびっくり。

 ドゥーズは目に精霊の力を宿らせ、異貌の神の痕跡を探しているらしい。

 彼が使役する雷の精霊スプライトは、探索には不向きだ。しかし、戦う相手である異貌の神を探すことには長けている。


「……かすかな痕跡だが……!」


 ドゥーズが唸った。

 アンネはパン、と手を叩く。


「よっしゃ、なら行くしかねえだろうがよ。キャバリアなら楽勝さ。おい、ソフィ!」


 竜騎兵が、ソフィを車両の後部に招く。


「ええ……またですかあ」

「あんた、軽いしぎゅっとしがみつくから危なくないし、一番載せやすいんだもん。ちょっと尻の下がガタガタするけど、そこは探索者精神で我慢な! あっという間に岩場を突っ走るからよ!」

「ひええー」


 お尻の下がガタガタと聞いて、思わず自分の尻を押さえてしまうソフィ。

 だが、責任感のある彼女の事だ。

(が、がんばる! スタンさん達がいない分、私ががんばらなくちゃだし!!)


 ぐっと決意を固めると、ひしっとアンネにしがみついた。


「よっし! んじゃ、ドゥーズにフォルト。適当に追いかけて来い!」

「適当とはなんだ」


 顔をしかめるドゥーズの横で、フォルトはふわっと空に浮かび上がった。

 空を泳いで追いかけるつもりなのだ。

 ドゥーズは、岩場に向かって一歩を踏み出す。

 彼の足裏が放電し、足元にあるでこぼこを破壊して均す。

 こうして、探索者たちはゴメスの後を追うのだった。


 少しばかり走った所で、ソフィは妙なものを発見する。


「アンネさん! あの、さっき岩陰にチラッと、船が……!」

「マジか!」


 がたんがたんと岩場を疾走していたキャバリアが、慎重な動きでターンする。

 その動作は、まるで生物のように滑らかだ。

 どうやらアンネのキャバリアは、不整地走行向けにカスタムされているらしかった。

 二人は、ソフィが見かけた岩陰まで移動する。

 すると、そこには隠れるように、舟が係留されているではないか。


「この舟につけられたマーク……。今朝見かけたやつだぜ!」


 アンネはキャバリアから降りると、舟へと近づいた。

 その時だ。

 周囲の岩陰から、小さな影が幾つも飛び出してくる。

 それらは、舟を守るように控えていた、小型の深淵のもの(アビス・ワン)達だ。


「ちいっ!?」


 慌てて身構えるアンネ。


「光の障壁を!」


 ソフィの特技が、アンネを守る障壁を作り出す。

 それと同時に、岩を飛び越えてフォルトがやって来た。


「せえいっ!!」


 突き出された銛が、エネミーを刺し貫く。

 さらにドゥーズも顔を見せ、雷精を辺りに呼び出す。


「竜騎兵、調べろ。こやつらは当方らが仕留める」

「おう! 恩に着るぜ!」


 守りをソフィ、攻めをドゥーズとフォルトに任せ、アンネはしゃがみこんで舟の検分を行った。


「食料に、毛布……。ゴメス、この舟で寝泊りしてやがったのか。それに……まだ毛布が暖かいぞ。おい、どうやらゴメス、近くにいるっぽいぞ!」


 アンネは振り返った。

 そこに、仲間達の防衛網を潜り抜けたエネミーが飛び出してくる。


「うわっ!?」


 舟の上にいたアンネは、態勢を崩している。

 深淵のもの(アビス・ワン)の攻撃を回避できない……!

 と思ったところで、まるで時間が逆戻しになったような感覚に包まれた。

 目前まで迫っていたはずのエネミーが、少し離れたところにいる。

 アンネは慌てて、舟から飛び降りる。

 さっきまで彼女がいた場所を、深淵のものが直撃したのだった。


 キャバリアの上で、ソフィがホッと息を吐き出す。


「良かった、間に合った……!」


 特技、幸運の女神の効果だ。

 アンネの失敗を無かったことにして、もう一度やり直させたのだ。

 どうやら、アンネに突っかかっていった深淵のものが最後の一匹だったようだ。

 竜騎兵の銃弾を受けたエネミーが消滅すると、岩場に静寂が戻ってきた。

※魚の群れを追うのも~似たようなもんだ

 フォルトの人探しの才能は、キャラクター作成時に得られるライフパス特技によるもの。


※目を光らせた

 精霊がいればなんでもできる。


※お尻の下がガタガタ

 ソフィももうちょっと大人になり、お肉がつくと衝撃によるダメージは軽減されるであろう。



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