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ゴッドスレイヤー・俺  TRPGで育て上げた神殺しの戦士、異世界でも超強い  作者: あけちともあき
2,0.プロローグ:シナリオ『シュヴィーツ湖王国に降り立った異貌の神を倒せ』
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英雄の弟子、最後の参加者を仲間にする

「スタンさん行っちゃった……。ううん、私もしっかりしないと!」


 ソフィはグッと胸の前で拳を握りしめた。


「おっ、なんだなんだ? 家に入るの怖いか? おいらが先に入ってやろうか?」

「あっ、大丈夫です! 私行きます! えーいっ」

「むっ、不用心な」


 アンネとトゥーズを従え、漁師の家に入り込むソフィ。

 さっき、ゴールが勢い任せに扉をぶち抜いた家だ。


「ま、また来たな!?」


 そこに突きつけられたのは、漁に使う二又銛。


「きゃっ」


 思わず悲鳴を上げたソフィ。

 ドゥーズとアンネが、彼女を庇うように前に出た。

 銛を持っていたのは、ソフィと同じくらいの年頃の少年だ。

 その肌には鱗のようなものが出来、体の半分が青く染まっていた。


「だ、大丈夫です二人共! ええっと、あの、君、落ち着いて……」

「おおお、落ち着くだと!? さっき、いきなり扉をびりびりーっと破いて入ってきたくせに!!」

「あああ、ごめんなさい! それ、私の仲間でゴールさんっていう、考える前に動いちゃう人で……あ、いや、人じゃないなヴァルキュリアかな……?」

「……」


 少年は、しかめっ面でソフィを見ていたのだが、要領を得ないことをもそもそ喋るソフィに、だんだんと毒気を抜かれて来たようだ。

 銛を下げながら、仏頂面のまま言う。


「ったく……。お前はなんか、悪いやつじゃないみたいだからいいけどさ……。奥で母ちゃんと父ちゃんが寝込んでるんだ。そこにあいつが入ってきたから、すごくびっくりしたんだからな? ただでさえ、頭の中で命題(くえすと)・・・・だかなんだか言うのが、俺に『本当の怪獣を倒せ』とか言ってくるし……」


 少年の言葉に目を見開いたのは、ソフィ。

 そして、ドゥーズとアンネは身を乗り出した。


「それはつまり、お前も」

「あんたもあれか! 探索者ってわけか!」

「おっ、おう!?」

「ちょっと! ちょっと二人とも、迫りすぎー!」


 ということで。

 どうやら目覚めたてらしき探索者である、漁師の少年を仲間に加え、一行は外に出てきたのだった。

 少年の名は、フォルト。

 父とともに漁に赴き、霧の中の怪獣と戦った。

 船は沈められたものの、怪獣の皮を持ち帰り、それを食べたことで人ならざる存在へと変わってしまったということだった。


「なんかさ、この姿になってから、俺って空を泳げるみたいな感じになって……。見ててくれよ」


 フォルトが地面を蹴ると、その体がふわりと浮かび上がった。

 そこまで高くは上がれないようだが、魚が遊泳するほどの速度で人の頭くらいの高さを動き回れるようだ。


「伝説で言う、メロウになったようだな」

「知ってるんですか、ドゥーズさん!」

「物語のようなものとしてだが。遠き北の海に住む、半人半魚の種族だ」

「へえー! 半人半魚なあ! あんま美味そうじゃねーな」

「俺を食う気か!?」


 アンネの感想に、フォルトは目を剥いた。


「ばっか! 冗談だって! うわ、やめろ、空から銛でつつくなよ!」


 慌てて、アンネは己のキャバリアに逃げ込んだ。

 くすくす笑うソフィに、仏頂面のドゥーズ。

 今回の事件に挑むことになった四人が、こうして揃ったのだった。


「じゃあ、まずみんなの命題(クエスト)なんだけど……。明らかに、フォルトくんのが鍵になってると思うの」


 ソフィも、ドゥーズも、アンネも、この湖に降り立つ異貌の神を倒せ、というような命題だった。

 だが、フォルトのみが異質な命題を受け取っている。

 本当の怪獣とは何か。


「おいら、霧の中に出てくるっていう怪獣が、異貌の神だと思ってたんだけどな」

「それが偽物だということか。だが、我々はまだ、怪獣を見てはいない。あれは朝に霧の中に現れると言う」

「なんだお前ら、怪獣が見たいのか? じゃあ、俺の家に泊まっていくか?」

「えっ、いいの!? 迷惑じゃないかな……」


 あれよあれよと言う間に、話が決まって行った。

 無愛想な精霊使い、考えなしの竜騎兵、初心者探索者のメロウ、この凸凹なメンツは、人当たり柔らかで案外押しの強い、ソフィを中心にまとまっているのだ。






「おーいソフィー……って、上がってきてみたら誰もおらんのだが」

「ソフィはソフィで、ちゃんと動いてるみたいねー。あたしら水の底でのんびりしてたじゃない?」

「ばっか、あれはだな、大鮫の槍の使い心地を試してたんだよ。水中だと命中判定にボーナスがあるんだぞ?」

「うんうん、スタンの槍、めちゃくちゃキモい動きで自在に振り回されてたもんねえ」

「キモいとか言うな」


 水底から、当たり前のような顔をして二人の男女が上がってきた。

 一人は村人のような普通の服装をして、しかし筋骨隆々の巨漢。

 端正な顔立ちをしているが、今はその髪が濡れ、ぺったりと額に張り付いている。

 肩には、巨大な穂先を持つ異形の槍を担いでいた。

 もう一人は、青を基調とした甲冑の女性。

 兜の脇には翼の形の飾りが付いており、鎧と一体になったドレスは、水底から上がってきたにもかかわらず、全く濡れてはいなかった。


 エインヘリヤルとヴァルキュリア。

 二人は、連れであった少女を見失い、首を傾げながら街の上層へと登っていった。

 宿を取るのである。

 こうして、新たなシナリオのオープニングが終わる。

 

※最後の参加者

 スタンの与り知らぬところで、実は最後のメンバーが待っていたのであった。


※二又銛

 船上から大きい魚を狙って突いたりする……らしい。


※めちゃめちゃキモい動き

 ここ、伏線です。

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