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僕は使い魔  作者: 匿名
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魔法の仕組みを教わる。

 《さぁ、起きなさい。》

 蒼蛇さんに起こされた。

 馬鹿デカいベッドから、寝ぼけながら体を起こす。

 明らかに、まだ暗い。


 「まだ、真っ暗だよ。

 こんな時間に何が あるの?」

 まだ眠いから、蒼蛇さんに聞いてみる。


 《やっぱり、精霊の動きが活発な時間にした方が、いいからね。》

 う~ん……言ってる(鳴いてる?)意味が分からない。

 暗い中を蒼蛇さんに連れられて、城の廊下を歩く。


『どちらに行かれるんですか?』

 廊下を巡回してる兵士や見張りの兵士に同じ質問をされるが


 「さぁ?」

 としか答えれず、蒼蛇さんに従って城の外に出る。

 火トカゲさんは、まだ寝てるんだろう。

 フカフカの枕をベッドに気持ちよさそうに丸まってたから。


 《ここなら、いいわね。》

 そう言って止まったのは、城からは少しだけ離れた池の側。

 と言っても城の敷地、堀の内側なんだけどね。


 「こんな場所で、何をするんですか?」

 何の説明もないし、何をするのか位は教えて欲しいよ。


 《魔法について、教えてあげようと思ってね。》

 蒼蛇さんの言葉は嬉しいよ。

 魔法使えたら、少しは自分を守れるから。

 でも何も、こんな時間にしなくても……


 《わざわざ、こんな時間にって思ったでしょ?》

 俺の考えなんて、お見通しですね。

 スゴいです。蒼蛇さん。


 《この時間は、この世界と精霊界との繋がりが、最も強い時間帯なの。

 簡単に言うと

 精霊に頼みやすい。

 って感じかしら。》

 そう言ってから、スルスルと池の中に入る蒼蛇さん。


 《アナタも入りなさい。》

 えぇっ、マジですか?

 結構、寒いのに水に入ったら、冷たいよ。

 躊躇っていると


 《コツを掴むまで、毎日するからね。

 早くした方がアナタの為よ。》

 蒼蛇さんは、やっぱり女王キャラですね。

 履いてた靴を脱ぎ、ジャブジャブと蒼蛇さんが、いる辺りまで池の中を進む。


 冷たいぃ。

 さむっ。


 愚痴しか、出てこないが口には出さなかった。

 だって蒼蛇さんが、こぇぇんですもん。


 《いいコね。

 アナタは、水の構成って知ってる?

 水って意外と、どんな場所にも、あるのよ。

 例えば、体の中にも水分はあるし、木の中や吸ってる空気にも含まれてる。

 お分かり?》

 コクリと頷く。

 だって、返事すると寒くてガチガチと歯が鳴りそうだったから。


 《じゃあ、続けるわね。

 その、どこにでもある水分は、水として存在するけど実際は違うモノ同士が、くっ付いて水として成り立ってるわ。

 それも、お分かり?》

 また、頷く。

 水って『えいちつーおー』だから、水素と酸素が、くっ付いたって事でしょ。

 この世界に来てまで、化学の講義を受けると思わなかったよ。


 《本当に理解出来てるの?

 もし、そうなら意外と早くコツを掴めるかもね。

 その水として、構成されているモノには、精霊が干渉してるの。

 その精霊に呼び掛け、力を借りる。

 それが、魔法よ。》

 最後の辺りは、化学を超越してますよ。

 話が、ぶっ飛び過ぎ。

 でも、やるしかないでしょ。

 だって、寒いし眠い。

 こんな事を何回も、してらんない。


 要はイメージなんでしょ?

 そこから、スタート。

 色々なモノの事柄、起こる事象を理解して、それに働きかけやすい精霊さんに、お願いすると魔法が発動。

 そんな感じかな?


 脚に触れる水を感じる。

 かなり冷たい。

 目を閉じて、更に深く感じる。

 池だから、流れなんかない筈なのに、何だか動いてる様な気がする。

 この動いてる感じのが精霊さん?

 それなら頼めば、いいんだよね?


(精霊さん。

 少しだけ力を貸してよ。

 そうだなぁ。

 池の水を浮かせて、丸くして。)

 頼んでみた。


 《へぇ~。》

 蒼蛇さんは、それだけ言った気がする。

 もしかして、素質アリ?

 デッカい球状の水が、空に浮かんでるのを期待して、ゆっくりと目を開く。


 ‥‥‥


 何の変化も、ないです。

 やっぱりね。


 はぁ~……

 そう上手くいく筈ないよな。


 《イメージや呪文は、なかなか筋が、いいわよ。

 魔力も少しは、動いたし。

 後は、繰り返しね。〕》

 蒼蛇さんからは予想外の、お褒めの言葉。

 でも 何の変化もなかったから、筋がいいとは、自分では思えないよ。

 それでも空が明るくなるまで、同じ事を繰り返した。

 何回しても、目に見える変化は、何も起きなかったけど。


 《もう少しって感じなんだけど‥‥

 まぁ、今日は止めましょう。

 続きは、また明日ね。》

 待ってましたとばかりに池からあがると、さっさと部屋に戻る。


 「ふぁ~‥寒かったぁ。

 それに眠い。」

 独り言の様に、呟くとベッドに倒れ込み、ウトウトする。

 この瞬間って、メチャ気持ちいいんだよなぁ。


【コンコン】


 「起きてますか?

 朝食の準備が出来たみたいです。

 行きましょう。」

 扉をノックする音。

 その後は、エリスの声。

 もう少しで、寝れそうだったのに現実に連れ戻された。

 タイミングわりぃなぁ。

 無視して、寝ようとしたら


 《おい、起きろ。

 腹減ったぞ。》

 火トカゲさんまで、起こしにかかってきた。


 起きますよぉ。

 起きれば、いいんでしょ。


 はぁ~‥‥

 どうして、僕の周りは自由な方達なんでしょ。

 思っていても絶対に口に出さない。

 それが平和。

 この世界に来ても、僕の望む物は、目立たず平和に過ごす事なんだから。


 にっこり笑って


 「ご飯行きますかぁ。」

 そう言って、ベッドから体を起こす。

 部屋を出てエリスと城の中を歩く。


 「今日は、天気がいいなぁ。」


『そうですね。

 穏やかな日が続けば、街の方達も、よい日々が過ごせますね。』

 なんて、朗らかに言うエリス。姫は、言う事が違うな。

 僕は昼寝日和なんて思う位なのに。


 豪華な食卓では


『こんな天気のいい日は、お母様の育てた、お花も綺麗に咲いてくれそうです。』

 エリス親子は、朝食の度に、こんな会話を繰り返し、まさに平和そのもの。

 イメージのファンタジー世界とは、思いっ切り違う。

 僕の理想の平和家族。

 いいです。

 この感じ。


 「なぁ、今日も何もないんでしょ?」

 エリスに聞く。


『そうですねぇ。

 特に何も、ありませんよ。

 どうぞ、ご自由になさってください。』

 ほぼ 毎日同じ答え。

 何かある時が来るのだろうか?

 そう思いながらも、部屋に戻ると 、いつも通りに二度寝しようと布団に潜り込む。

 こちら世界の方が、のんびり過ごしてる。

 いいかも。

 そんな事を考えながら、ウトウト。


 《おいっ、修行だ。

 修行つけてやる。

 起きやがれ。》

 火トカゲさん‥‥朝から蒼蛇さんとしました。

 何て言えず


 「はぃ。」

 とだけ返事をして、ベッドから這い出した。

 クスクスと笑う蒼蛇さんと、小さくて短い前脚を器用に腕組みする火トカゲさん。

 左右の肩に載せて、エリスの部屋のドアをノックする。


【こんこん】


『はいっ。

 あれっ?どうしたんですか?

 いつもみたいに、ぐ~たら過ごさないんですか?』

 ドアを開けるなり、失礼なヤツだ。

 言ってる事は、間違ってないけど。


 「修行したいから、どこか、いい場所ないかと思って。」


『魔法のって事ですよね?

 修練所があります。

 案内しますね。』

 そう言って、エリスが案内してくれる。

 今日のエリスは、ラフバージョン。

 やっぱり姫だけあって、たまに豪華なドレス姿で、過ごしてる日もある。


『ここです。

 少し位、派手にやっても大丈夫な様に結界が展開してますから、お好きなだけ修練してください。』

 そう言って、部屋の隅にあった椅子に座るエリス。

 見てくんだ。

 面白くないよ。

 多分‥‥


 部屋の中央まで行くと、火トカゲさんが


 《魔法の原理は、聞いたんだろ?

 それなら火や熱は、どうして起こるか知ってるか?》

 朝から、蒼蛇さんと修行したの知ってるんじゃん。

 寝させて欲しいのに。


 「えっと‥‥確か分子が揺れて、それが熱に換わるんじゃなかったかなぁ。」

 学校で習った気がする事を答えてみる。


 《何か難しい事知ってるんだな。

 ………まぁ、そんな感じだ。

 お前‥‥やっぱり、ただの馬鹿じゃないんだな。》


 はぅ~。

 火トカゲさん、言い過ぎですよ。


 《そこまで分かってんなら、あとはイメージだ。

 この世界の、あらゆるモノを構成してる、小さな一個一個を想像して、それを振動させる。

 それを精霊に頼んでさせる。

 それが魔法だ。》

 火トカゲさんの言葉に頷いて、目を閉じイメージ開始。


 《精霊に働きかける時に、言葉に力を乗せる。

 それが呪文。

 難しく考えるな。

 怒り、喜び、悲しみ。

 人間は、感情豊かだろ?

 感情が高ぶった時に話してる様に、言葉に気持ちを乗せろ。》

 目を閉じ、イメージを展開しながら、火トカゲさんの説明に頷く。


 何だか、少し分かった気がする。


 「#$&%$」

(火の精霊さん。

 僕の魔力は小さいけれど、あげるから力を貸して。)

 口から出た言葉は、今まで発した事のない言語。

 エリスが魔法を使った時に言った呪文に似てた。

 それを僕が、自然に口にした。

 その驚きよりも‥‥


 「うわっ!あちっ。」

 小さな火が、僕の手の中に出来てる。


 《おぉっ!やるじゃないか。》

 火トカゲさんが感心してる。

 ちょっと調子に乗りそう。


 《お前‥‥調子に乗ったろ?》

 火トカゲさんの的確なツッコミ。

 早いっす。


 《まだまだ調子に乗るのは、早い。

 さっさと続けろ。》

 もう少しだけ、いい気分でいたかったのに。

 はぅ~。

 でも、そんな事は言えず、同じ様に集中していく。

 イメージなんだ。

 大丈夫。

 だって、映画やゲームの世界観に浸るのが得意なんだから。

 妄想好きを舐めるなよ。


 頭の中でイメージを膨らませ、さっきと同じ要領で進める。

 でも、さっきよりも、もう少しだけ具体的に。


 火球を作るんだ。

 あとは手から、もう少し離れた所に作らなきゃ。また熱いし、自分の魔法で火傷しそう。


 そして‥‥


 「&%$#%&$」

 自然と口から紡ぎ出される呪文。

 そして、ゆっくりと目を開けると、手のひらに小さな小さな火球がある。

 ライターの火よりも小さい位。


 《うふふっ。》

 それを見て笑う蒼蛇さん。


『可愛い火。』

 エリスは、馬鹿にしてんのか、よく分からない。


 《今度は、ビビっただろ?

 火力抑えやがって。

 そう言うのは器用に、こなしやがるのに。

 よく聞けよ。

 お前は、精霊に働きかけて火を操るんだぞ。

 自分の魔法が発動する時に、精霊に余分の魔力をやれば、自分の出した魔法でダメージを負わない位の防護は、してくれる。

 レジストって、やつだ。

 分かったら、魔力ケチんな。

 さっさと続けろ。》

 今日は、説明多いよ。

 頭がパニクりそうです。


 でも確かに、もう少しで何かを掴めそうな気には、なってる。

 もう一度イメージ。

 そして、呪文。

 少し余分の魔力。


 こんなもんか?

 熱くないし、特に変化を感じない。

 また失敗したのかなぁ。

 恐る恐る目を開くと、手の平に野球のボール大の火球。


 成功した?

 でも気を抜くと、大変な事になりそうなので、そのまま集中。


 《やりやがる。

 おいっ!!

 そのまま飛ばせ!》

 何となく、火トカゲさんの声が聴こえた。

 集中してんだし、話し掛けないで欲しいよ。

 と思いながらも、手に乗った火球を前方に飛ばすイメージをする。


 そして目を開けた。

 ‥‥って、火球の前にピョンと飛び上がる火トカゲさん。


 当たる。

 と思った時、口を大きく開けて火球を丸呑み。


 《じゅるっ‥‥

 ご馳走さん。

 味も密度も初めてにしては、まぁまぁって事にしといてやる。》

 言葉の割には満足そう。


 「はぁ‥‥ありがと ござます。」

 あまりの事に、火トカゲさんに間の抜けた返事を返す。

 火を食べちゃったよ。

 でも火を出す位なんだから、食べても、お腹壊さないんだろうなぁ。


 ‥‥あぁっ もう訳分からん。

 その後も何度も練習したけど結局は、あの一回が、まともだっただけで、他は不発。

 そう簡単には、いかないです。


 「あぅ~‥‥疲れたぁ。」

 疲れ果てて、座り込んだ。

 もう、クタクタだよ。


 《だらしない。

 まぁ今日は、この辺にしといてやる。》

 火トカゲさんも、やっぱ厳しいよ。


『まだ、 数日しか練習してないのに、一回でも形になったんですから、凄いです。

 私なんて、精霊に働き掛けたり、魔力を高めるだけで、数日かかっちゃいましたから。』

 そう言って、恥ずかしそうに俯いて話し掛けてくるエリス。

 ヤバくないですか‥

 だって、メチャ可愛いぃ。


『でも私の魔力使って、その程度なんて、まだまだですね。』

 さっきの却下毎回。

 やっぱり可愛くない。

 エリスなんて、嫌いだぁ。


 「はぃはぃ。

 精進しますよ。」

 適当に返事して、ダルい体を起こして立ち上がる。


 さっさと部屋に戻る。

 部屋に戻るなり、倒れる様にベッドに横になった。


 気がついた時は、辺りが薄暗くなった頃。

 随分と寝てたみたいだなぁ。




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