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僕は使い魔  作者: 匿名
11/13

ただいま戻りました。

「門開けて~~。」

 修行に出てった時は、ちょうど交代時間だったから、すんなり通れたけど帰りは叫んでみた。


『んっ?

 おぉっ、使い魔くんじゃないか?

 開けてやるから、待ってろ。』

 つっ‥‥使い魔くんって‥‥

 門番さんにまで、その扱いされちゃうんですね。

 嫌な有名になり方だなぁ。


『随分と早い、お帰りだなぁ。』

 余計なお世話だよ。

 と門番さんに、心の中でツッコミ。


『ははっ。』

 と苦笑いして、小さな扉の方を通り抜け街中を歩く。


 早朝の街中は、空気が美味しいなぁ。

 颯爽と大通りを歩いて行くと


『おぉっ、使い魔くん。』


『使い魔さんっ。たまには、食べに来てね。』


『お使いは、ウチに来てよ。

 使い魔くん。』


『今日は、パシリか?』

 エリスと通った時と同じ様に街の人から、多数の声が掛けられる。

 でも 何か酷い扱いだよねぇ。

 もう慣れてきてる感は、否めないけど。


「おはよぉ。」

 城の入り口を護る衛兵に挨拶。


『おぉっ、使い魔さんじゃないですか。

 おはようございます。

 お出掛けだったんですか?

 何の、お遣いだったんです?

 ちゃんと、頼まれたモノ見つかりました?』

 ココでも完全に、パシリ扱い。

 丁寧なのは、言葉使いだけだしなぁ。


「お遣いで出掛けてないですから。

 ははっ。」

 苦笑いしながら、うなだれて、そのまま城の中に。


 城に戻って速攻で、バトって勝ってやろうと思ったけど、何だか凹んでしまったよ。

 だって、扱い悪すぎ。


『あらっ、おかえりなさい。』

 いつも、ご飯を食べてる広い食堂に入ると、朝食中のエリスの家族。

 王族なのに気軽に声掛けてくれるし、いい人達なんだけど、まだ微妙な心境なんですよ。


「ただいま戻りました。」

 ぺこりと頭を下げてから、エリスの隣に座る。


 修行中は、魚と固くなったパンだけだったから、あったかいスープと焼きたてフカフカのパンは、美味しかった。

 いなかった数日の事は、聞かないんだね。

 やっぱり微妙な感じ。


「あの~‥‥

 もう一回やらしてくれませんか?

 次こそは、勝ちますから。」

 食べ終わってから、王様が席を立つ前にと思い、慌てて言った。


『もう一回って、勝つ自信あるのか?

 無理しなくても、エリスに何とかさせるぞ。

 エリスなら、命を奪われる事もないだろうしな。

 キミは、エリスの話し相手にでも、なってやってくれ。』

 王様‥‥

 それって、かなり馬鹿にしてませんか?

 流石に怒るよ。


 僕だって。

 ………

 僕だって……


『んっ?

 体調悪いのか?

 ゆっくり休んで、早めに治した方が、いいぞ。

 医者も必要か?』

 俯く僕に、王様の優しい言葉。


「違いますから。

 僕が、やると言ってます。

 誰が何と言おうと、やりますから。」

 俯いたまま。

 それだけ言って、無意識に部屋を出た。


 ‥‥‥

 うわぁ~、言っちゃったよ。

 どうしよ?

 王様怒ってないかな?

 勝てなかったら、やっぱりカッコ悪いよなぁ。

 言わなきゃよかった。


 そりゃあ、勇者になんて、なりたくないよ。

 だって、痛いのや怖いのなんて、経験したくないし、平和でノンビリしてて、目立たずに。

 そんなのが僕の理想なんだから。


 でもね‥‥

 カッコつけたい時だって、あるんだよね。

 思春期の男の子なんだし。

 女の子の前でくらいは……

 ちょっとだけ。

 ほんの少しだけ。

 いいとこ見せたいんだ。


 僕が勝ったら‥‥

 エリス‥‥

 笑ってくれるかな?

 ベッドに横になって、四角い天井を眺めながら、ぼんやりとしてた。


『入りますよ?』

 その声と同時にエリスが部屋に


「ちょっ‥‥

 ノック位は、してよ。」

 僕の言葉に


『《《〔何回もノック……》》』

『しました。』

 《あったぞ。》

『してたわよ。』

 エリス、火トカゲさん、蒼蛇さんに同時に突っ込まれた。

 ぼんやりしてたから、気付かなかったんだな。

 きっと。


「そかっ。

 ゴメン。

 んで、何?

 何か用事あるの?」

 エリスを見ないまま、この部屋に来た理由を聞いてみた。

 まぁ、何となく分かるけどね。


『はい‥‥

 もう一度、戦うと言って下さった気持ちは、ありがたいのですが、数日のトレーニングでは、歯が立たないと思います。

 次は命を落とすかも、しれない。

 相手はきっと、万全の状態で来ると思います。


 私なら‥‥

 私なら、命を落とす事もありませんし。

 だから‥‥』


「分かってるよ。

 でもね。

 この世界で生きてく以上は、戦わなきゃいけない時が、あるのは分かったんだ。

 それが今なんだよ。

 僕は、エリスの使い魔なんだよね?

 それなら、僕のやるべき事は、これなんだ。

 さぁ、話は終わり。

 変態さんが来たら、呼びに来て。」

 エリスの言葉を遮って、一方的に話すとエリスの背中を押して、部屋の外に。


 そりゃあ、エリスなら命を落とす事は、ないかもしれない。

 でも、いつまでも、このままって事も考えにくいでしょ。

 だって、あの変態だよ?

『うん』と言わないエリスに業を煮やして、何を始めるか、分かったもんじゃない。

 エリス以外が手だし出来ないのを逆手に取って、王様とか脅し始めたりしたら、それこそ国の一大事だし。

 だからこそ、ここらで分からせてやらなきゃ。

 変態さんには、用はないってね。


【コンコン】


『来ました。』

 天井を眺めてた僕は、エリスの声で現実に引き戻された。



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挿し絵募集したいです。 イメージ図ありますので、描いてもらえる人は、ご連絡下さい。 応援していただけると嬉しいです。 まぁまぁ先まで、書き留めあるので毎日更新頑張ってみます。
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