21話 なんかクライド、クズなんだが?
エクセラ過去話終わりです
次の日、予定を大幅に過ぎた朝9時ごろになってようやく食堂に降りてきたクライドたちは謝るわけでもなく、私が取っていたテーブルに座り、朝食を食べ始め、食べ終わったあとギルドにきていた。そしてめんどくさそうに掲示板を見ていた、クライドはcランクのクエストを手に取った。
「よし、これにするか。」
「いきなりそれは危険じゃないか?もう少し低いランクがいいんじゃないか?cランクは私しかいないのだし。」
いくらなんでもいきなりcランクを受けるのはどうかと思ったので私はクライドに危険ではないかと伝えた。
「え?なに自分だけcランクだからってリーダーに逆らうわけ?ありえないんですけどー」
「い、いやそういうわけじゃ・・・」
「別に問題ないだろう、というか言ったよな俺がリーダーだと。文句があるなら抜けていいぞ?」
結局クライドや取り巻きに押し切られ、そのクエストを受付嬢に提出、受諾しに行った。最初、これはCランクですよ?といった感じの受付嬢だったが、私を見ると、エクセラさんがいるなら大丈夫ですね。と最後は承認していた。
「は!」
剣を下から振り上げて、切り裂き、敵を一刀両断する。これで何体目だろうか。休憩する暇もない、なぜなら・・・
「あーもう全然魔法きかないんですけどぉ!エクセラはやくこっちも倒してよ!」
「いまいく・・」
「っち。全然攻撃がきかねぇ。おいエクセラこっちもやってくれ」
「・・・ああ」
今回のクエストはマーベルゴーレムというゴーレムの中では弱めの魔物の討伐クエストだった。比較的弱いといってもゴーレム、それにCランクだけあって防御力はなかなかに高い。私以外の攻撃はなかなか通らず、ほとんど私が倒していた。結局最後までほとんどすべて私ひとりで倒し、クライドたちが倒したのは1匹で、私ひとりで、20匹ほど倒して、ギルドに戻った。
「す、すごいです!マーベルゴーレムなんでCランクの中でも防御力だけはトップクラスでなかなか倒せないんですよ!この数ならBランクの人でもないと・・」
「へえーそうなんですか、割と簡単でしたよ」
ギルドに帰ってきた私たちはマーブルゴーレムの魔石を討伐証拠として提出した。自分が倒したわけでもないのに、クライドはさも自分がやったかのような口調で報告していた。
「これならみなさんのランクをあげないといけないですね。みなさんのランクをDランクにあげるように推薦しておきます。おそらくすぐに通るとおもいます、なにせこの量ですから」
「そうですか、それは助かります。」
「はい、明日までには新しいカードも用意できると思いますので」
「わかりました、よろしくお願いします。」
と言ってクライドはギルドを後にした。なぜかこちらに振り向いた瞬間のクライドの笑顔が妙に頭から離れなかった。
宿に向かう間もクライドは上機嫌だった。報酬もすぐ分配したし、私のために武器屋で魔石を売ってそのお金で割といい剣を買ってくれた。だが私はなんとなく嫌な予感がした。
宿につくとすぐにクライドたちの部屋に向かった。クライドがこれからのことで話があるといったからだ。
「今日思ったんだが、俺たちはもっと装備揃えたほうがいいと思う。たがエクセラおまえは十分いける。だからおまえが稼いで装備代をためて、おまけにクエストの納品のときだけ俺たちもいってランクをあげてもらうってのはどうだ?」
「「いいじゃん、それ!」」
クライドの彼女たちもクライドの意見に賛成する。
「・・な!そんなことがいいわけ・・」
「おいおい、このパーティーのリーダーは俺だぜ?」
「・・・」
「反対意見なしということで明日から頼むぜ。基本ソロでランクを上げやすいクエストだけ俺たちも同行する方針だ。ソロの時でもおまえの取り分は1割だからな?」
「・・・わかった」
この時私ははっきり理解した。クライドにとって私は道具のようなもの。そして自分はクライドのことを好きでもなんでもなくて、小さいころの罪滅ぼしというか、助けてもらったことに対して恩返しがしたかったんだと。思えばかなり前からひどいことされていたのにどうしてそんなことをとかそういう気持ちがなかった。いつからだったんだろう。変わってしまったクライドを自分の瞳に移しながら私は自分がいつのまにかかわっていたのに気が付いた。
それからは今と同じ状況だ。。Sランクになるには特別な試験が必要だからこれ以上はめざせないだろうが、Aランクまでクライドたちはあがった。最近は私が一人で冒険にいって、装備や、必要なものがそろったらクライドたちもダンジョンや高難易度クエストに同行する。私は毎日クエストだがクライドたちは数か月クエストを受けないなんてことも多々ある。でも私は償わなければならない。耐えなければなれない。私がクライドを変えてしまったのかもしれないし、私のせいで彼が死にかけたのは事実なのだから
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