20話 なんかクライド、クズっぽいんだが?
すいません、2話でエクセラ過去話を終わらせるつもりだったんだが・・
次で終わります。
私が剣の腕でクライドを越えてしまったあたりから、わたしとクライドの関係は変わってしまっていた。最初のうちには一緒に鍛錬していたのに、まったく鍛錬をせず、隣町まで行って遊ぶようになっていた。挨拶しても無視されるようになったし、会話も少なくなった。
やっぱり体も大きくなって、女らしくないからなんだろうと思ってはいたけど、もうクライドにあんな目にあってほしくない一心で、そしてきっといつかはまた昔のように戻れると信じて修行を続けた。でもいくら努力しようとも彼は見向きもしなかった。
彼の母であるミランダさんの前では一応挨拶などはするけれど、いないときは完全に無視されるようになったし、一緒に遊ぶことも完全になくなった。
1年がたち、16歳になると、冒険者になるためにクライドは町へ出ることになっていた。そのころにはすでに隣町の女の子二人を引き連れていて、その二人とは冒険者になったら結婚すると周りに言っていることを私が最近知ったときは結構ショックだった。連絡すらないとは、私のことは本当にどうでもよくなったのだと思った。彼女たちとは随分前から旅の準備をしていたみたいだったようで、私以外はみんな知っていることだったのだ。16歳になったら冒険者になれるから、そろそろだろうとは私も思っていたが、一言もないし、誘われてすらいないのだから本当にどうでもいいと思われているのだろう。そんな時だった。出発するほんの数日前に私はクライドに呼び出された。
「久しぶりだね、クライド」
同じ町にいるのにクライドと私の関係が関係なので、彼の家にもほとんど行かなくなってしまい、ここ1年はほとんど会話をしてこなかったので少しぎこちなく挨拶する。彼は特に表情をかえることなく無表情で
「冒険者になるんだがお前もくるか?こっちの条件飲んでもらうけど」
といった。なんで今更誘われているのか訳が分からなかったが、とにかく誘われているという事実が私の思考を乱したのだろう。条件も聞かずに即答してしまった。
「い、いくよ!」
「そうか、まあ条件は2つだ。まずパーティーのリーダーは俺でおまえの取り分は1割。あとは俺と俺の彼女達で分ける。文句ないだろう?」
「う、うん」
この時も自分の割合が一割とは少ないとは思ったけど、誘われたうれしさで通常の思考状態ではなかったのだろう。普通に考えれば、9:1なわけだから。なにせほかの二人はクライドの女なのだから、残りを3人で分けるというのは都合のいい言い訳だったのだろう。
一番近い町で冒険者登録するためにいく馬車でも一応一緒の馬車だが3人で話していて、出発前に軽く挨拶してからはクライドも、そして二人の彼女も接触はまったくしてこなかった。この時はまだ私はきっと努力がまだ足りない、そしてクライドになにか嫌なことをした私のせいなのだろうと思っていた。
「すごいです!初登録でCランクレベルからなんで何十年ぶりでしょう!エクセラさん!あなたは特例でCランクからとなります。」
冒険者登録するためにギルドに向かい、冒険者になるための試験を私たちは受けた。
試験は非常にわかりやすい、試験官と戦うというものだった。いわゆる模擬戦というやつだ。担当者Bランクだったので、クライドたちをはじめ、ほとんどの受験者はすぐにやられてしまっていたが、私だけは善戦できた。試験官にも褒められ、今こうして受付嬢にCランク冒険者カードを渡されていた。ジェイク達は一番下のFランクだった。周りの人の視線が集中している。耳をすますと、あいつパーティーに誘おうぜとか、エクセラってことは女なんだよな? どんだけ鍛えたらああなるんだ? と特にパーティーに誘うなどの話が聞こえた。 これ全部断らないといかないのかと思っていると、私の顔をみて察したのかはわからないが、受付嬢が
「パーティーはどうしますか? いきなりCランクなんて引っ張りだこだと思いますけど、なにか希望ありますか?」
「私はクライドと組みますので、大丈夫です」
「クライドさんですね。なるほど同じ村出身とのことでしたが、そういうことでしたらパーティー申請受諾いたしますね。」
「ありがとうございます。」
====
「じゃあ、明日からクエストやっていくから、Cランクやるからそのつもりでな。じゃあ俺たちはいくから。朝8時ここの宿の食堂集合な。」
「・・・ああ。」
結局クライドからはおめでとうの一言もなにもなかった。
この時点で私は徐々にだが、気づき始めた。もうなにをしてもクライドと私は元の関係に戻れないのだろうと。悲しい気持ちになりながら、切り替えようと宿をとり、明日に備えてすぐに眠りについた。
コメントありがとうございます。
コメントまじ助かる




