16話 言わせねえよ?
ぎりぎり間に合った・・・
「・・・なあ?」
「どうした?ジェイク?」
エクセラさんとかいう謎の冒険者を見た以上、俺は確かめないといけない。エイダならわかるはずだ。
「エクセラさんって女性だよな?」
「なに言ってるんだ?見ればわかるだろう。どうみても女性だろう、彼女は?」
「・・・そうだよな。」
「おかしなこと言ってないでどんどんいくぞ!」
「お、おう・・」
とりあえず謎が解けたのでよしとするか・・。
「はぁ!」
まだまだ浅い層なので今のところはエイダに任せてというか、エイダが張り切っているのでさくさく敵を倒している。
このダンジョンは上層に上がるにつれ難しくなるとはいえ流石に中層手前くらいからは俺も手伝わないといけないだろう。 とまあこのダンジョンの復習をしていたらエイダが敵を殲滅したようなので言葉をかける。
「おつかれ。下層だとまるで問題なさそうだな。この調子ならすぐに中層までいけそうだな。」
「そうだな。上層付近までなるべく私に任せてもらうぞ! すこしでもジェイクに近づきたいからな!」
「わかった。まあ問題ないとは思うが、危なかったら参加するぞ?」
「もちろんだ。油断せずにいくつもりだから、危なくなることがないと思うがもしもの時は頼む」
そう言って、やる気十分そして冷静に前へと進んでいく、エイダを追いかける。その背中を見る限りは問題はなさそうだが。
「・・・そろそろ帰らないか?」
「ふぅ。そうだな。 一日で中層まで来れるとはな、思ったより難易度が低いようだな」
「・・いや、そういうわけじゃないと思うが。」
問題ないどころか、一日で40層までたどり着いてしまった。2時間程度で10層の計算だ。まあ各層がながいわけではないし、迷いそうなところもないが、敵はある程度でてくる。
誤算だったのはエイダの上達ぶりだ。すべて一撃、しかも瞬殺だった。まあ週に何度か手合わせをするが、モンスター相手だと勝手が少し違うようだ。強くなっているとは思っていたが、
どんどん強くなっている。クエスちゃんはすでにこのレベルのエイダと毎日稽古しているわけだから、かなりなまっているといっていたがクエスちゃんもやばいな。
エイダもSランクになるのもそう遠くなさそうだ。おれ?ちゃんと金になる素材を確保してましたよ・・?まったく働いてないわけではないです。はい。
「よし~!じゃあ帰るぞジェイク。 」
「お、おう。」
機嫌よさそうに転移フロアに移動するエイダを見て俺が頼もしいとおもいつつ、俺いらない子?っと思う俺だった。
「んだよこれだけかよ!もっと稼いでこいよ!」
日も沈みかけ夕方、ダンジョンで出た素材を売るため、俺とエイダはギルドに来ていたのだが、入って早々に見覚えのある冒険者がなんか割とイケメンの冒険者であろう男に怒鳴られている。
それに気づいたエイダはなんか怒り出しそうな雰囲気だし、やっぱりもう一回見ても怒鳴られている冒険者はムキムキのエクセラさんだし。とりあえずエイダが早まらないように手で制しておくけど
どういう状態なんだ?
「ご、ごめんなさい、これでも60~70階層あたりでいろいろ狩ってきたのだけど・・・」
「なに言ってんだよ俺たちパーティーはすでに85階層まで行ってんだぞ? 75階層以上で狩れよ。」
「で、でもさすがに私ひとりだと」
「言い訳はいいんだよ。おまえみたいなのを居たいっていうから置いてやってんだぞ?だったら俺たちよりもっと働かないとだめだろ?」
あれ?勘違いじゃなければ彼、結構屑っぽいんですけど間違えてますかね?ちらっとエイダをみるとあの冒険者A君を睨み殺すくらいの形相で睨んでいるんですけど。これ離したら絶対殴り掛かるよね?最近どんどん強くなっているエイダがAランク程度の冒険者を思いっきり殴ったら大変なことになるよね?
そんな心配をよそに冒険者A君はどんどんヒートアップする。
「いいか?抜けたきゃ抜けろ? だれもいてくれなんていってないからな? いさせてもらってんだから俺たちがダンジョン休暇をとっている間働くのはおまえがするべきだ。そう思わないか?思わないなら
パーティーやめるなり好きにするんだな。」
「・・・・・。」
おいおい。なんてこと言うんだよ。おまえ。エクセラさんは女性なんだろ?おまえそれでも男かよ。というかそんなこと言ったらうちのエイダさんが黙って・・・・あ・・。
「・・・だれだか知らんが一発殴らせろ~!」
あ、いつのまにか離してしまったようですね。ごめんなさい。そして死なないで冒険者A君・・・。すごい速さで冒険者A君のところまで移動してなぐりかかるが、お?
止めただと?いや、ああエクセラさんが止めたようだ。後ろ向きだってのに止めるとは。やるなぁ・・冒険者A君なんて完全にビビってるんじゃん。
「なぜ止めるんだ?エクセラさん!」
「・・いいの。エイダちゃん。私のせいだから。」
「て、てめぇ。いきなり殴りかかるなんて。ん?お、おおぉ。なかなかの上玉じゃねえか。今の謝礼代わりににおれとねr・・・ヒィぃぃ・・!」
スッと冒険者A君の背後から剣が首ぎりぎりをすれすれで通る。少し頭に血が上っていたようで、狙いが余ったらしい。少しだけ首にあたってしまったらしく、少しだけ流血してしまったようだ。
まあどうでもいいことだ。エイダに向かってそんなこと言わせねえよ?
「なあ、冒険者君。俺の女に向かってまさかと思うが俺と寝ろとかふざけたこと言わねえよな?」
「は、はいいい。 す、すいませんでした・・!」
俺が剣を首から下げると、彼はすぐにあとずさりそのまま逃げて行った。いやそこまでビビるか?
てかエクセラさん置いていくなよ。
「すいませんでした。クライドが迷惑をかけて・・」
「あ、いえ・・「エクセラさんはなぜあんなやつと!」」
「エイダちゃんもごめんなさいね。近いうちになにかお詫びさせてもらうわね。今日は本当にごめんなさい。」
「エクセラさん!!」
「・・・ごめんなさいね。」
「エクセラさん・・・」
困惑しているエイダの横でおれは、エクセラさんの大きいのだが、なぜか小さくそして寂しそうに見える背中をただ見つめていた。
すいませんね。なかなかモチベが・・・。 長い目で見てください!