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異世界で気ままな研究生活を夢見れるか?  作者: tinalight


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2-58.宣戦布告

闇の魔術師が何かわからないけど、

戦争が始まってしまった。

「ただいま~。みんな調子はどう?」

「おねえちゃん、みてみて~。ステラとシルフに教えてもらって、属性石をつくってみたんだよ。」


お~い~。

金貨3000枚サイズの大型の属性石が並んでるの。

地、水、火、風、そして、光、闇

これで1万8000枚相当と。


「ヒカリさん、私も魔石作りに挑戦してみましたわ。シルフとユッカちゃんに血流とか脳内作用のお話を聞いたので、効率よく作れるようになりましたの。」


ステラも化け物だね・・・。

10個ぐらいの大型サイズの魔石が並んでる。

これで3万枚相当と。

もう、十分戦争に勝てそうな勢い。


「シルフは?」

「僕が作ると部屋が埋まるから、足りなければ、足りない分だけ当日だすことにしたよ。だから、ユッカちゃんとステラさんにコツを教えてた。」


「みんなありがとうね。助かるよ。一応、当日までに袋一杯分くらいは積み増しはしておこうか。

ベッセルさんは?」

「はい・・・。その・・・。」

「うん?」

「知り合いを通して、宮廷魔術師に魔石を渡したのですが・・・。」

「うん。」

「まだ、返事も物も返ってきておりません。」

「<果報は寝て待て>って言ってさ、焦らず他の事を先にしようよ。」


「フウマ、みんなに報告して」

「うん。王子、レナードさんと合流して王様とお妃様にお会いしました。結論から言いますと、婚約者選びの方法と場を設けることに助力頂けることになりました。また、個人が出来る範囲での支援も頂けるとのことです。」

「「「「お~~~」」」」


「うん。そういうことで、作戦は順調に進んでるよ。あとは私の命と闇の魔術師対策になるね。」

「「「「「ハイ」」」」」


ーーーー


「うん。じゃぁ、闇の魔術師サクリファイについて知ってる人はいる?」

「僕が知ってる闇の魔術師はナイトメアだね。その人のことは知らない。最近力をつけてきたのか、それともナイトメアが名前を変えて生活しているのかは、今ある情報だけでは判断できないね。」

「私もナイトメアは聞いたことがありますが、サクリファイは知りませんわ。」

「私がサクリファイの名前を聞くようになったのは、ベニス卿が財務大臣に就任した時期に近いと思います。丁度あの頃は<肺の病>が活性化している時期で、レナード・バイロン卿も重篤な状況に陥ったと聞いております。関係性は分かりませんが、今朝からの話の流れからして、関係が全くないとも思えませんので参考までに。」


「フウマとユッカちゃんは?」

「王子がジャガ男爵と会うときに、傍にサクリファイという魔術師が居たきもするけど、別人かもしれない。」

「お母さんがレナードさんを治したんだよ。それで小屋と狩りの権利を貰ったの。」


「え~と。強力な闇の魔術についての内容とかわかる?」

「闇の魔術というと、毒とか暗闇化などの状態異常系が多いわ。呪いの類も多くは闇系統と他の系統の融合で作られるらしいですね。」

「シルフは何かしってる?」

「僕は風だろ。闇はどちらかというと、日が届かない、空気の流れが無いところを好むんだ。だから僕の作用と闇の作用が同時に成立することは殆どない。逆にいうと、僕が出来ることを裏返しにしたことが出来ると考えて貰えばいいよ。」


「例えば?」

「空気を動かすより、空気を止める。体外への排出より、体内への吸着。あと、ヒカリなら分かるだろうけど、僕は単純に温度を下げる側は不得意になる。闇は温度を下げる側が得意かもしれないね。」


「ありがとう。相手が仕掛けてきそうなことは大体当たりがついた。<肺の病>にさせて、弱体化や命を奪うように仕掛けてくると思う。私だけならまだしも、誕生会の場でそれをされたら、大臣や貴族が全滅に近い状態になる。それはエスティア王国自体の危機にもなるかもね。」


「ヒカリさん、そこまでしてきますか?」

「過去の危機は運よく逃れてきたにすぎないとおもう。あと、私の想像範囲を最大にしただけ。特殊な時間を掛けた魔術だから、対象は一回に付き、1人限定とかあるかもしれないのだけど、どうだろうね?」

「ヒカリ、ナイトメアはそれで地下王国を作ったという話だよ。闇の精霊の力を借りてね。今の感じからすると、サクリファイはナイトメアより小物な感じだね。」

「ヒカリさん、シルフと同じことを聞いたことがあります。死者の街とか、地下迷宮とかそういった物を作ったとか伝説と噂が混じった内容です。魔術ランクや魔力で作用できる大きさは変わるので、対象が1人という可能性も十分にありますね。」


「とすると、サクリファイとその弟子を捕まえるなりして、魔術ランクを確認するしかないかな。油断大敵っていうからね。」

「姉さん、ヒロキを使ってサクリファイと連絡とか、会えたりしないかな。」

「ヒロキには魔石を見られてるんだよね。」

「ベッセルさんに、<実は魔石でなく、石ころに着色したもの>ってネタばらしをしてもらえばいいんだよ。逆に、魔石だと信じてくれるなら相手も死に物狂いで金貨を積み上げてくるだろ?」


「あの子、その・・・。味方からも信用されないんだよね。<大きな魔石を見た>って、言えば言うほど相手にされなくなりそうで・・・。」

「姉さんが爵位授与の場で、<仕掛け>れば、相手は念のため上乗せを準備してくると思うんだ。どっちにしろ悪い方向には転ばないと思うよ。」


「みんなどう思う?」

「僕は魔術ランク3くらいの小物なら気にする必要はないけど、魔術ランク5以上の大物が気配を消しているとなると、相当厄介だとおもうよ。街中を索敵してもその差は分からないしね。」


「おねえちゃん、<べにすきょう>に教えてもらえば?」

「ユッカちゃん、凄いこと考えるね。」

「だって、今日の夕方会うんでしょ?」

「そうだけど・・・。そっか・・・。その場に魔術師を呼び出さざるを得ない状況を作ればいいか。」

「ベッセルさん、<風の属性石>をベニス卿に鑑定してもらうって、おかしなことかな?」

「手数料を支払えば、見て貰えるとは思いますが・・・。あるいは、婚約者発表のための価値査定だとすると、財務大臣として無償で引き受けざるを得ない立場だと思います。」

「よし、じゃ、ヒロキ解放は無しで、直接ベニス卿に鑑定してもらおう。当然、魔術師を使って真偽の判断をすることになるだろうし、値段が付けられないサイズだったら、上級魔術師も参加するだろうし。いいかな?」

「「「「「ハイ」」」」」


ーーーー


その日の夕方、エスティア王国の大臣達が緊急に招集された。王子の誕生会が近いこともあって、大臣達は皆が城下町の別荘や宿屋に滞在していたのですぐに集まることができたみたいだね。


<<ナビ、ベニス卿が魔術師を連れてきていたら、片っ端から魔術ランクと魔力測定をおねがい>>

<<了解です>>

<<シルフ、ベニス卿を最優先で思考の漏れを拾って。サクリファイが登場したらそっち優先で。>>

<<お安い御用だ>>


会議の場では国王が私を伯爵に陞爵しょうしゃくする発意があった。最初は王子かレナードさんが言う予定だったけど、お昼の打ち合わせの件があったからね。国王自ら取り仕切っていたよ。で、想定していたとおり、ベニス卿からの質問が出るかな?


「国王。関所の男爵が伯爵に陞爵するとなると、他の貴族が黙っておりません。それなりの理由をお聞かせ願えないでしょうか」

「うむ。大臣達は領地情報を確認できる魔術が使えるな。ヒカリ・ハミルトン卿の領地範囲を確認して欲しい。」


ざわざわざわ・・・。


「で、ですが。この辺りは未開墾の森だけで、以前にも開拓団がとん挫した土地でございます。財務大臣としては国益にならぬ事柄で安易に爵位を昇格することには・・・。」


「バイロン卿、辺境自治および騎士団を編成する侯爵として、未開墾の土地の領地に対してどのように考える?」


「はい。財務大臣とは異なる立場での発言をさせて頂きます。エスティア王国は資源国でありますので、未開の土地を探索することを奨励しています。この規模の領地拡張であれば、十分に賞賛に値し、エスティア王国の埋蔵資源の発掘に向けての調査が進むことになるでしょう。」


「ベニス卿、財務大臣としてのお主の立場も判るが、辺境自治や領地拡張を専門とする者ではなかろう。どうだ?」

「わ、分かりました。」


「よし、では満場一致でヒカリ・ハミルトン卿を伯爵へ昇格することとする。」


パチパチパチ・・・。

ここまでは挨拶を済ませてお終い。

特に問題なし。宣戦布告はここからだ。


「では、続いて、リチャードより発表があるので聞いて欲しい。」

「皆さま、国王より皆に事前に公知するべきとの助言があり、この場を借りて発表させていただきます。ヒカリ・ハミルトン伯爵を私の婚約者として明後日の誕生会の場にて発表します。」


ざわざわざわ・・・。


「お、王子!そこに居る粗末な格好をした女性を婚約者とするのは、エスティア王国の名にかけて、考慮すべき点が多々あると進言せざるを得ないと思います。」


「ベニス財務大臣、どのような点が気になると?」

「一つ目は爵位についてですが、本日決まったばかりであり、実績を伴いません。

二つ目はその人物の保証でしょう。」


「なるほど。まず、1つ目に関して国のルールに基づき、確認をとりますしょう。

ガウス法務大臣。婚約者は伯爵以上の爵位を持つ家系の令嬢であるはずだが、本人が伯爵である必要はあるのか?」

「ございません。」


「バイロン辺境自治大臣、未開拓の領地を拡張した場合、その実績はいつから当人のものとなるのか?未開拓のままでは実績が伴わいものなのだろうか?」

「いいえ。未開拓の領地を拡張する意思と行動が実績となります。そこで開墾が進めば次なる成果を授与する必要がございます。」


「ベニス財務大臣の指摘となる、<伯爵の実績>についてであるが、本人が伯爵でなくても家柄などで保証されればよく、また、本人自身が<伯爵を名乗るに値する実績がある>ということなのだが、どなたか問題があれば挙手を願いたい。」


シーン・・・・。

ここまでは誰も覆しようがないよね。

よしよし順調。


「二つ目の保証についてであるが、私はヒカリを大事に思っているし、素敵な女性だと思う。彼女が私を裏切るなど信じられないのだが。」

「王子、貴方はエスティア王国を継ぐことになる人です。庶民の男女のように恋愛感情のみで相手を決めては大事な物を見失う恐れがあります。恋は人を盲目にするとも言いましてな。」


「なるほど。ベニス卿は何が言いたい?」

「例えば、その婚約者の後ろ盾が非常に重要な要素となるかと。」


「ヒカリ自身に爵位があるのだから、国に貢献しているではないか。」

「それは将来のことでしょう。例えば婚約の儀、結婚の儀と進めるにあたり、財務大臣としては祭事の資金を捻出する必要がございます。それは1年以内に必要なのです。」


「具体的には?」

「そうですな。例えば財力による国への貢献を数値化することでしょうか」


「俺の心を金で売れというのか?あるいは、金持ちが俺を落札すべきだと。」

「そこまでは言っておりませんが、王子が国王の後を継いだタイミングで、果たして、どれほどの大臣が貴方に付き従うか、国の将来を案じる次第であります。」


「二人とも、やめい!!見苦しい!リチャードもその年になって政略結婚が何かも理解できぬ年齢であるまい。またベニス卿も国政を預かる者であり、各種式典で費用がかさむことも良くわかっているからこその進言だ。

とは、言うもののだ・・・。

リチャードにもチャンスをやらんと、このまま出奔されてもこまるでのう・・・。ベニス卿もどうだろう?お主も知り合いが婚約者候補を立てていたのではなかろうか?それを突然蹴られては理由も知りたいと。」

「は、ま、確かに・・。王子に相応しい婚約者候補を広く探してはおりましたが・・・。」

「よし、ベニス卿の意見と王子の自尊心を救う方法を考えてみたぞ。

<国庫へ多くの財産を積み上げた陣営の候補者を婚約者とする>

どうだろうか?あくまで、王子や王家ではなくて、国庫への寄付だ。ベニス卿にとっても、これなら問題なかろう?」


「父さん!それではヒカリがあまりにも不利だ!」

「お前がそれを言うか!実績もあり、保証できるのだろう?それが出来なくては、親族のコネを利用してヒカリを伯爵に押し上げたと思われても致し方あるまい。」


「ベニス卿は如何だろうか?」

「は。非常に公明正大なご意見であると思います。ただ、僭越ながら申し上げたいことが何点かございます。」


「申してみろ。」

「ハッ。

1つ目、財産は目録のようなものでなく、その場で数値化できるもの。例えば金貨などです。広大な未開拓の領地の権利書を持ち出されても、国庫は膨らみません。

2つ目、提示した財産は、勝敗に関わらず国庫に必ず納めることとしたい。途中で離脱する場合にも提示した物は全て国庫に計上されるものとする。借金でかき集めた見せ金を提示するだけなら誰でもできますからな。

3つ目、候補者と支援者のほかに、荷物運搬などの人員を参加させることを許可願いたい。これは金貨の積み上げ数量が増えると、流石に私一人では対応できなくなる恐れがございます。そうはいっても、多すぎると居場所に困るので、候補者の他に5名ぐらいが適当かと。

4つ目、王族および<御三家>の皆様は、中立であると宣言した上で、その場に立ち会って頂きたい。

5つ目、今より国庫の金貨等の持ち出しを一切制限させていただくための、双方立ち合いで封しの印を貼ることを希望します。

以上ですが、如何でしょうか。」


「ヒカリ殿、勝負を受けられるか?それとも婚約者候補を辞退するか?」

「このような私にチャンスを頂きありがとうございます。こちらの勝負の前にですが、王子の婚約者候補はベニス卿の推薦と私の2名でよろしいのでしょうか?」


「ふむ。そうだったな。他に婚約者の候補を考えておる者は居たのか?居る場合は、同じ勝負条件で臨んでもらうことになるが?」


しーん。返事がない。屍じゃないけど。

そりゃそうさ。ベニス卿と競って、そのお金が戻ってこないんだもんね。


「ふむ。当日の参加も受け付けるとして、今のところお主とベニス卿の候補の2人になるが、他に問題はあるか?」

「あ、あの・・・。私はこのような身なりですので、その・・・。金貨をそれほど持っていません。しかし、魔石であれば、用意ができると思うのです。このような・・・。」


と、担いでいた汚い大きな背負い袋を降ろして、中型サイズ5個の魔石と属性石をとり出して王様へ手渡す。袋一杯分の魔石が手持ちと思われれば、そこそこなプレッシャーにはなるからね。


「ふむ。確かに換金性は高いし、このまま用いれば国力の増強にもなる。ワシは構わん。ベニス卿、これはどういう扱いになる?」

「先ほど金貨などと申したのは価値が算定できている物。すぐに換金できる鉱石なども含んでの意見でございますので、問題ございません。ただし、道端の石ころを魔石として計上されても困りますが・・・。」


「ヒカリ殿、<魔石>なら良いが、<偽物>はダメだそうだ。良いか?」

「ありがとうございます!では、ルールに追加して頂いても宜しいでしょうか。

6.魔石や鉱物など、換金性が高く価値が判っている物は国庫へ寄付して良い。

7.寄付したものが<偽物>であった場合、提示額の10倍を別に支払う。

これであれば、私もベニス卿も問題ないと考えます。」


「他に、誰か何かあるか?」

「宜しいでしょうか。」

「名乗ってから発言すると良い。」

「城下町で商人をしておりますベッセルと申します。この度、縁ありまして、ヒカリ殿の支援をさせて頂くことになりました。我が一族に伝わる秘宝がございまして、これも今回の勝負にて寄付できるものか、鑑定をして頂きたく。」


「ふむ。一族の秘宝を寄付してよいのか?その意気込みがどうなるかは判らぬが、国庫が潤うに越したことは無い。見せてみよ。」

「こちらにございます。」


ざわざわざわ・・・。


古びた皮の箱にビロードの布に包まれた2つの大型サイズの魔石と属性石が載っている。まさに、宮廷魔術師にそれぞれ金貨3000枚の算定を受けて、戻ってきたばかりのものだ。慌てて、箱とか用意したんだけどね。


「魔石だとは思うのだが、見たことが無いので価値が判らぬ。ベニス卿どうだろうか?」

「拝見しても宜しいでしょうか。」


その魔石を後ろに控えている人物に渡す。


<<ナビ、あの人物の魔力測定!>>

<<シルフ、読めれば、あの人の心を読んで>>


魔術師っぽい人物は魔石から状態を確認し始める。

探査とかもしてそうだけど、どうなんだろう?

<<なんだ、このサイズは。本当に魔石なのか?確かに魔力を感じるが、ちゃんと芯まで魔石で形成されているなら、えらいことだぞ?船の動力源や魔道兵器を作って攻めてこられたらロメリアだってただでは済まない。金貨5000枚でも買い取りたいところだろう・・・。>>


次は風の属性石の鑑定に移った。

ころころと転がしている。

魔石のときより雑な感じだね。

<<これはなんだ?魔石じゃないのか。属性石だとこんな色合いになるのか・・。何属性なのかよくわからないが、少なくとも闇の波動は出ていない。よくわからないとは言えないな。魔石と同じ5000枚にしておこう>>


魔術師がベニス卿へ、ベニス卿が国王へ魔石と属性石を戻す。

「どうだ?」

「うちの魔術師の算定では2500枚。2個で5000枚。王宮の魔術師にもご確認頂いて算定した方が宜しいかと。」

「分かった。2日後までに宮廷魔術師に算定書を書かせる。また、本物の魔石や属性石はその算定書に従って価値を計算することとする。ベッセル殿、ベニス卿、良いか?」

「「ありがとうございます。」」


「よし、他に問題が無ければ、2日後に開催される王子の誕生会の前に、この場で勝負を行うこととしよう。また、立ち会による国庫の封印はこの会議の閉会後、直ぐに行う。双方1名以上立ち会に残ること。

以上だ。解散!」


<<<ぴろろ~ん>>>

<<魔術ランク3、魔力180と算出されました>>

<<どういうこと?ヒロキは<すごいんだぞ>とか言ってたけど、宮廷魔術師と変わらないでしょ。>>

<<普通の宮廷魔術師の魔力が100ですので、それより2倍近くありますね。また、魔術ランク3への到達速度はステラやフウマが異常に速いペースと申し上げておきます。>>


え~~~。

なんだか、がっくし。

あの付き人がサクリファイかどうか国庫封しの立ち合いのときに確認しておこう。


国王、王子、ベニス卿、魔術師、私、シルフの6人で向かう。

シルフにはベニス卿を優先で思考の漏れを拾ってもらうことにした。


<<<国庫>と<御三家>さえ押さえてしまえば、市場の流通通貨の殆どは私が押さえている。積み上げられる金貨自体が無い。ここだけは邪魔させない。

ベッセルの持ち込んだ魔石が本当に2個で1万枚の査定がついても、十分に余裕がある。後から付いてくる小娘の持つ魔石なんぞ、袋一杯あったところでたかが知れてる。金貨1万枚用意するのに、どれだけの体積になると思ってるんだ。お笑いだな。

当日はロメリアの財務大臣が令嬢を連れて同席することになる。万が一に備えて話を通しておかざるを得まい。何せ私に奴隷の印が付いている以上、私の利益も損失も全てロメリア国王の物になるのだからな。

ここだ。ここだけ押さえれば必ず勝てる・・・。>>


なるほどねぇ。財務大臣だから金貨の流通量を把握してるんだ。流石だね。流通量が限られてて、それ以上の規模の魔石が出てくれば国家が破綻するもんね。そんな常識外の魔石が出てきたらファンタジーの世界でも滅茶苦茶になる。

っていうか、お前が5年もかけてこの国を滅茶苦茶にしてきたんだろうに。私がそこをひっくり返す。5年分の負債を一度に返済してもらおう。ついでにロメリア王国の奴隷の印を利用して、そちらにも返済してもらおうね。


さて、あの魔術師がサクリファイでさえあれば、勝負が始まる前から結果は見えそうだね。


「あ、あの・・・。ベニス様?」

「なんだ。」

「私にチャンスをくれてありがとうございます。」

「まだだ。準備が終わってから勝負開始だ。封しが終わるまでは勝負は始まっていない。おかしなことが起きていれば、勝負は無効だ。」

「は、はい・・・。すみません。」


結構、きっちりしてるね。慎重で着実に勝ちを拾いに来てる。あの勝負のルールの半分以上が、こっちが予め考えていたものだけど、逆に、その曖昧な部分の負けが起きないように、徹底的に自分に勝ちが転がり込むように条件付けをしてくる辺りは流石だね。下手にサクリファイのことを持ち出すと、無用な勘ぐりをされないか危ないね・・・。


「では、それぞれ2名ずつと王族2名の合計6枚の封しを行う。6枚の封し紙を確認してくれたまえ。」


それぞれ、封し紙の確認を行う。私には何が何だかわかんないけどね。日本で使ってるみたいな開封するとシールの粘着がはがれて<開封済み>みたいな仕掛けでもあれば分かり易いけどさ。


「では、この扉に6枚の紙を貼り、封印の魔術を施す。紙がはがれていたり、勝負が決まるまでに、封印の魔術が解除されている場合は解除跡から陣営を特定し、厳罰に処すこととする。よいな?

念のためではあるが、この封印を解いた場合に防御機構による災厄がその人物と指令者に降りかかる。死より恐ろしい追跡が起こるので、<知らなかった・許してくれ>などという戯れ言は聞き入れない。ベニス卿、これで良いな?」


「国王、念のため、財務大臣として中に入り、国庫の状態を確認してもよろしいでしょうか。今日の会議の前に既に準備が終わっている可能性もありますので。」

「ああ、構わない。このまま6人で確認しても良いが?」

「では、私が盗んだ嫌疑が掛けられぬよう、このまま6人で確認をしたいと思います。」


うん。本当に真面目っていうか、あのルールで勝負を成立させることに命かけてるね。


「私の確認では国庫の財産が大きく移動された形跡はございませんでした。概算に近い金額が蓄えられていることを確認しました。また、我々二人が何も持ち出していないことをご確認ください。」

「私たちも、何も持ち出してないことを確認して。」

「私も王子も、当然何も持ち出してない。よければ、各自封印をするぞ。」


6枚の封しが貼られると、なにか特別な結界が張られた。よくわかんないけど、やばいやつなんだろうね。


<<よし!これで勝った!2日間で金貨を積み上げたら、あとは自然に国が手に入るようなものだ。王子が死なずに1年経てばいいだけだからな。1年程度私の財産が国庫に眠ってもなんら問題ない。この国の実質的な支配権を得られればロメリア王国の侯爵も夢ではないな。>>


「あの、ベニス様、魔術とか結界のことが良く判らないのでご質問させて頂いても宜しいでしょうか。」

「うん?なんだ?勝負は始まって準備をしたいのだが。」

「こういった封印は、お連れの魔術師殿であっても、解除したり出来ないものなのでしょうか?先ほどの魔石鑑定のときも体から染み出るオーラのようなものを感じましたので、一応念のためにと。」

「なるほど、我々が不正を働くことを恐れておるのだな。封印の解除に関しては、貴方達の為にも詳しく説明しておこう。この封印は伝説の魔術師が編み出した方法で魔術師ランク3を極めたぐらいでは理解ができない。ここにおるサクリファイも伝説の魔術師には及ばぬものの、そこいらの宮廷魔術師よりは才能がある。この封印を行使することは出来るが、原理を理解して安全に解除するすべはもたない。なので、貴方達が高名な宮廷魔術師を連れてきて解除を依頼してもその災厄は本人と依頼者全てに降りかかるのは、先ほど国王が説明済みだ。わかったかな?」


「ありがとうございます。魔術師のサクリファイ様は、高名な魔術師でございましたか。」

「私の古くからの付き合いだ。王室の宮廷魔術師のトップクラスの実力を持つ。縁あって、私の元で働いてもらっている。」

<<まさか、ロメリア王国の魔術師って言う訳にはいかないからな>>


「そうでしたか・・・。私は田舎娘で何も知らず申し訳ございません。この封印には気を付けるように皆に必ず伝えます。」

「そうだな。それがいい。2日後が楽しみだな。」


そうか・・・。

一応、サクリファイは問題無いレベルってのは安心できるけど、ロメリアの財務大臣が来たり、ロメリアの魔術師がエスティア王国内を平然と歩いているのは早いうちになんとかご退場いただかないとね。

よし!一歩ずつ進もう!


いつも読んでいただきありがとうございます。

頑張って続けたいとおもいます。

また、ブックマークや評価を頂けることはとても励みになります。

ありがとうございます。

10月は毎日少しずつ22時更新予定。

手間な方は週末にまとめ読みして頂ければ幸いです。

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