2-40.皮を鞣(なめ)そう(1)
接待の準備はいろいろあるね。
そもそもが娼館が成立すること。
次に、食事の準備
そして、夜のお楽しみとか必要なんだろうね。
最後は、経営許諾もらうための利権の譲渡かな。
さて、なにからやろう。
<<ナビ、前に皮を鞣す資料もらったよね>>
<<はい>>
<<<トモコの毛皮>の技術を確立して、製造できるようにしたいよ>>
<<<森のおうち>のほら穴でトモコが作成されていた革および毛皮の製造でよろしいでしょうか?>>
<<うん>>
<<簡単に説明しますと、トモコは<毛皮>と<革>を別々に作成し、それを貼り合わせて<トモコの毛皮>としてブランド化しています。>>
<<なんで?>>
<<この世界の技術では、毛皮の裏地を作成するための紡績技術がなく、また、非常に高価であるため、<毛皮の裏地>に革を使っています。>>
<<すっごい、高価でしょ>>
<<狩人であれば材料に困らず、人手もかかりません。時間はかかりますが、バッチ処理して仕掛りを増やせば、スループットは出ます。合成繊維で肌触りがよく、革と同レベルの布地をこの時代で入手する方が遥かに高価で困難です。>>
そういえば、フェイクレザーとか、エナメル合皮ってのは見たことあるけど、毛皮の裏地とか考えたことなかったね。よくよく考えると、ランドセルとかも裏地を処理してあるもんね。
<<なんで、<毛皮>と<革>を別々に処理するの?>>
<<以前、ヒカリから頼まれた<皮を鞣す技術>は、現代の工業生産に向いた技術体系になります。そのため、多くは牛や羊の皮から革をつくる技術であるため、<毛皮>を作る技術体系とは異なります。動物の毛は革にとって邪魔であるので脱毛・分解させてしまいます。一方で、毛皮からみればその処理をしてはならないです。>>
<<結構大変じゃないの?>>
<<<毛皮>の作成の方が難しいと思われます。柔らかい革の資料は多々あります。>>
<<なんで?>>
<<検索ヒットする情報が少ないためです>>
<<どういうこと?>>
<<<無用な殺生を止めよう>とか<毛皮を作成するために動物が虐待されている動画>が多々問題提起され、取り上げられているためです>>
<<そこをナビは乗り越えて情報を取ってきてくれる訳だ>>
<<逆に、この時代は個人ブロガーによる情報のアップロードが盛んであるため有利です>>
<<その人たち、結構苦労してない?>>
<<各種理念や趣旨を最初に示し、無用な動物の虐待を意図してないと、明記されています>>
<<横道にそれたね。今の私にとっては貴重な情報だよ。なんかお礼を言っておきたいけど>>
<<残念ながら、異世界データへのライティング機能が備わっておりません>>
<<そっか。それが出来たら、私の家族に連絡したり、通信できちゃうもんね。そこまで都合よくは出来てないか>>
<<じゃ、個人ブログで書かれている<毛皮>の作り方を教えて>>
<<まず、簡単に流れを説明します。
1.本体から皮を剥ぐ
2.皮を剥いだら、血、肉、汚れを洗い流す
3.皮の内側の薄膜を剥ぐ。
4.この状態で<なめし液>に1週間程度漬ける
5.収縮しないように、突っ張った状態で干す
6.オイルで仕上げる
以上です>>
<<3.の薄膜って何?>>
<<個人ブログではゼラチン層を除去としていますが、ここが<なめす>ポイントになりますので、柔軟性を維持するためには、敢えて剥ぎ取りすぎないのが良いようです>>
<<ふむ。<なめし液>の種類と入手方法>>
<<この時代の技術では金属系やミョウバンが簡単に手に入らない前提で話を進めます。技術革新やドワーフの力を借りて達成できる場合は別途ご連絡ください。>>
<<いいよ。続けて>>
<<植物性なめし剤は<タンニン>になります。日本ではお茶や柿渋に多く含まれています。ブドウ栽培が盛んなところでは、ブドウの果皮や種。そして栗の渋皮に含まれています。これを煮出して、<なめし液>として用います>>
<<なるほど。ステラも革を鞣すとか言ってたから、どんな種類使っているかあとで聞いてみるよ>>
<<最後の<オイル>は?>>
<<仕上げがゴワゴワにならないように、また耐久性や艶をよくする目的で加脂されます。素材としては油・脂全般になりますが、内張が牛革であれば、それと同じ動物の油脂が良いとされています。牛脚油との表記があります。>>
なるほど・・・。
私は覚えるのに必死だからいいけど、これをステラに理解させるのは大変だろうね。
<<ナビ、次は柔らかい革のなめし方を教えて>>
<<はい。先ほど同様に概略を説明します。
1.<準備工程>
1-1.洗う。血や脂、汚れを落とす
1-2.脱毛。石灰で脱毛する。コラーゲン繊維もほぐす。余分なものを分解する
1-3.分割。毛があった側と肉があった側に分離する
1-4.脱灰。石灰の成分を除去
2.<なめし工程>
2-1.タンニンに浸す。
濃度の異なる3種類に順番に濃くして漬けていくことで、皮の奥までタンニンが浸透していく。単に時間だけではない。皮の種類や厚さによって、濃度や時間が異なる。
2-2.攪拌。漬けた液で皮が浮いていたり、カビが生えないように攪拌する。
2-3.洗浄。なめし液を洗い流す。
3.<仕上げ>
3-1.加脂。なめしてほぐれた繊維に油を加えることで柔軟性と耐久性を向上させる。
3-2.着色、表面仕上げ。色ムラを無くしたり、傷を埋めたりする。スウェードはわざと表面を紙やすりで削ってザラザラにしたもの。
以上です>>
<<ナビ、ありがとう。ちょっと考えるね。>>
これは、厳しいねぇ。
石灰液につけるにしても、pHとか、時間をコントロールしないと、毛なんて溶けないでしょ。あと、時間を掛けるにしても、攪拌しないと化学反応が進まないだろうし。今度は毛が溶けるような濃度だと人体にも被害がでるし、環境にも悪そう。
さて、どうしようっか・・・。
いつも、いつも問題は山積みだ。
たぶん、これも条件出しを丁寧やれば、技術的なレシピは作れるし、この当地での気候にあった条件出しも進んでいくと思う。
ただ、時間が無いんだよね。一週間で製造権を譲渡とかできそうにない。ステラにちょっと相談して、今回の視察のときには製造技術の譲渡は諦めることを伝えよう。
決断も大事だよね。
ーーーー
「ステラ~。ちょっといい?」
「はい。なにかしら?」
「例の<トモコさんの毛皮>の件なんだけど、相談したいことがあって。」
「ヒカリさんにだったら、出来ることは何でもさせて頂きますわ」
そこで概略をステラに説明する。毛皮と裏張りの革を別々に鞣して、張り合わせてあること。毛皮はともかく、裏張りの柔らかい革を作るには複雑な工程が必要で、私もその製造方法が良くわかっていないこと。今度の視察までに製造技術を譲渡できそうにないことを打診した。
「ええと、ヒカリさんの心配がどこの部分か判らないのですが、材料さえあれば私でも出来ると思います。」
「え?」
皮を鞣さなくてもいいのですが、
エライことになってます。
いろいろ文章構成力がなく、申し訳ないです。
いつも読んでいただきありがとうございます。
頑張って続けたいとおもいます。
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ありがとうございます。
10月は毎日少しずつ22時更新予定。
手間な方は週末にまとめ読みして頂ければ幸いです。




