2-33.お別れパーティー
タコ焼きパーティーとかダメかな。
お魚もお肉もおいしいんだけどさ。
「タコタコ揚がれ~♪」
「ユッカちゃん、タコ捕れたの?」
「おねえちゃん、お仕置きね」
「なんで。」
「歌につっこまなかった。タコ痛かった。」
「歌って?」
「凧揚げの歌だよ」
「私しらない。お母さん何歳だったの?」
「48歳って言ってた。」
「昭和の人だね・・・。って43歳で異国の地で子供産むって・・・。」
「若返りの魔法使っていたよ。」
「その話は今度聞かせて。いろいろと難しいから。」
「タコが痛い話は?」
「どうして痛かったの?」
「あのね。頭がお腹なの。血が青いの。心臓がわからないの。グニャグニャで止める場所が分からなかったの。」
「そして、どうなったの?」
「掴んで、引っ張った。」
「そしたら?」
「岩に張り付いて、取れなくなった」
「うんうん。」
「引き剥がした。」
「うんうん。取れた?」
「しがみつかれた」
「痛かった?」
「おねえちゃん、知ってた?」
「海の試練だね。」
「おねえちゃん、お仕置きね」
「タコ焼き作ろう。美味しいから。」
「クッキーより?」
「私は食事なら、断然タコ焼きだね。
あ。粉と鉄板とキャベツがない。」
「お仕置き?」
「いや、もう一匹捕まえて、冷蔵庫に入れよう。
冷蔵庫に入れておけば、後で作ってたべられる。」
「私の鞄に入れる?」
「考えもつかなかった。なにか別の袋にいれないとエライことになるよ。」
「このタコはどうするの。」
「刺身、茹で、干す、空揚げ。いろいろ美味しいよ。許して。」
「美味しく無かったら、お仕置きね。」
「いいよ。」
「もう一匹はおねえちゃんが捕まえてね。」
「いいけど、今日は皆で船運ぶから、今度でもいい?」
「美味しかったら、誕生パーティーはタコ焼き」
「いいよ。喜んで。」
ーーー
「ステラ、フウマ、夕飯なんだけど。どう?」
「ヒカリさんの言いたいことが判りました。」
「ねえさんのこれまでの発言の意味に近づけたよ。」
「うーん。なんかわかんないけど、がんばってるね。
で、ご飯どうする?できればみんなで食べたいんだけど。」
「休憩します。」
「魚なんでしょ。俺あまりたべたことないんだ。」
「じゃ。皆の所にいこうか。」
調理器具は難破船に積んであったものと、<森のおうち>でユッカちゃんの鞄に詰め込んだものを使ったし、薪は森をちょっと伐採して使わせてもらった。調味料は塩なんだね。
しかし、大人数だ。料理も山ほどあるけど、食べきれちゃうんだろうね。
「長老、皆に挨拶して。」
「ゴホン。
皆よく助かった。そして助力してくれたヒカリの領地の者たちに感謝するのじゃ。ワシは今回の縁でヒカリの領地を助けに向かうが、海人達はこれまで通り、エイサンを中心に元の生活を立ち上げて欲しいのじゃ。
今日が皆の新たなる旅立ちの良い日とになることを願って、
かんぱい!」
皆が乾杯の挨拶と拍手を返す。ちょっと日本式でビックリだね。もう、立食というか車座というか、地面にある皿から好き勝手にとって、好き勝手に持っていくスタイル。そういえば、こっち来てから、こういうパーティーみたいなのって私は経験なかった。メイドで参加したときはあったけど、あれは食べられなかったからね。
もし、領地の運営が安定したら、こういうの開ける力を持ちたいな。
「おねえちゃん、タコ!」
「あ、食べた?」
「透明、ぐにゅぐにゅ。初めての触感。」
「だんだんと味が染み出てくるよ。茹でたのもまた味があっていいよ」
「次、茹でたの食べる。」
「ヒカリ!酒だしていいか?」
「あるの?」
「船の積み荷にあった。」
「どれくらい?」
「20樽」
「まさか、全部飲むの?」
「1樽で我慢してもいいぞ。」
「船を運ばないで、寝てるだけだからいいんじゃない?」
「2樽いいのか?」
「いや、1樽で。別のお祝いのときに、また開けよう。」
「わ、わかった・・・。酒も領地で作ろうな。」
「そうだね。」
「モリス、皆の様子はどう?」
「あ、ヒカリさん。今回のパーティーは盛況ですな。前の男爵ではパーティーが開催されなかったので、こういう賑やかなのは経験がないんです。」
「みんなが、それぞれ手伝ってくれたからね。」
「ヒカリさんの人徳ですよ。」
「そんな褒めても何も出ないよ。タコぐらいしか。」
「タコですか・・・。美味しいので?」
「ユッカちゃんの所へいこう。」
「ユッカちゃん、タコ分けて。」
「無い」
「無いわけないよ。食べきれないでしょ」
「無い」
「うそ?どこかに隠した?」
「・・・。」
「まさか、鞄?鞄が臭くなっちゃうよ!」
「え、ほんと?」
「さっき、言ったじゃん。ダメだって。」
「じゃ。だす・・・。」
なんか、でろ~~んって、鞄から出てくるのね。
え?え?2匹も入れたの?
ユッカちゃんも、タコ好きか・・・。
良かった。
「ユッカちゃん、鞄を拭いておこうか。タコが腐った匂いになって、とれなくなるよ。」
「やり方教えて。」
「モリス、タコを片づけて。あと私とモリスの分を取り分けておいて。フウマに鞄掃除させるから。」
「分りました。」
「フウマ、楽しんでるところごめん。ユッカちゃんの鞄が大変なことになっちゃった。助けて。」
「え。いいよ。どうしたの?」
「タコをそのまま鞄に入れた」
「なんで?」
「美味しかったらしい。」
「ユッカちゃんがそんなことするなんて珍しいね。」
「2匹も入ってたよ」
「そりゃ大変だ。直ぐ行くよ。」
「ありがとね。」
この後、海人たちとも社交辞令のつもりで一通り周ったら、えらく、感謝されまくった。何かの機会によろしくって言っておいたけど、何かの機会ってなんだろうね。タコ焼きパーティーのタコくださいとか?
さて、そろそろ船を移動させないと。
「エイサン!そろそろ中締めの挨拶お願い。」
「はい。
今宵の宴もたけなわではございますが、ここらで中締めとさせていただきます。皆さまお手を拝借~~!一本締めで!
よ~~~!」
<パンッ>
なんて、日本風なんだ。
なんでエイサンが流暢なんだ。
気にしちゃだめだ。
私が酔ってる?いや、飲んでないし。
あ、エイサンが酔っ払って、海人族の人に介抱されてる。
私がおかしくなっちゃったかと思ったよ。
「飛べる人!領地まで船うごかすよ。船を動かし始めたら透明にするからね。持つ場所に気を付けて。飛べない人は船に乗せて運ぶから、準備して」
「私、船上な。樽も一緒に運んで。」
「ヒカリさん、私も船上でおねがいします」
「シルフとウンディーネは?」
「僕は外がいいな。」
「ワシは船上に運んでおくれ」
最後にもう一度海人族の人たちに挨拶をしてから船を浮かせる。
今日は雲一つ無い、いい日だね。
空気全体が青白く光ってるような感じ。
とても幻想的で素敵だね。
<<シルフ、今日はいい天気だね。何かしてくれてる?>>
<<僕はしてないよ。何か必要?>>
<<強風とかで飛ばされなければ問題ない。とっても静かな船出でさ>>
<<そうだね。ここらは気候はいいんだけど、湿度が高くなりやすいから、
こんなに綺麗に月が見えることは少ないよ。特に大きい月はね。>>
<<ありがとう。このまま先頭で誘導してくれるかな?>>
<<いいよ。領地の中に作った<森のはしけ>へ置くよ>>
<<うん。よろしく>>
ーーーー
<<ナビ、月の数!>>
<<1個、12か月、地球の重力の1/6、地球から38万km>>
<<こっちの世界は、この惑星の周りを何個の衛星が回ってますか?>>
<<3個です。非常に複雑な軌道をとります。>>
<<うん?ひょっとしてなんだけどさ、太陽系みたいな概念はあるの?>>
<<天動説が主流ですが、一部の宮廷魔術士により、地動説が提案されています。>>
<<公転周期、一月の概念、1年の概念。あ、こっちの惑星のね。>>
<<360日、30日、12か月=1年>>
分かりやすくていいね。地球の1年との差も小さいから、肉体年齢的な概念も一緒でいいし。端数が無くて、ゲームみたいにスケジュールが立て易い。
<<念のために端数はあるの?>>
<<生活する上では誤差の範囲です。宇宙飛行や世界標準時をつくると、各種誤差補正が必要になります。月が複数あり、軌道が複雑なため端数の算出は暗算ではできないでしょう。>>
<<地軸の傾きは?>>
<<地球=23.4°、こちらの惑星=0°>>
<<四季は?>>
<<ヒカリの言う、日本の四季はありません。>>
<<一月の区切りと1年の区切りは?>>
<<大きな月の新月から新月までを30日としています。
3つの月全てが新月になるタイミングが、ちょうど1年になります。
太陽の日の出ではなくて、月を中心に暦が形成されています>>
<<なるほどね>>
<<四季はないけど、季節変動があるの?>>
<<月の位置で潮の満ち引きが変わり、海流にも影響します。
そのような意味での温度変化はありますが、緯度や地形により、通年で一定となっている地域が多いです>>
<<地球より、イージーモード?>>
<<ヒカリの背景を推察するならば、農業は通年して収穫可能です>>
<<ナビ、頭いいね!>>
<<ヒカリと会えて、こちらも嬉しいです>>
<<いつも、いろいろありがとう。これからもよろしくね>>
さ、領地に戻ってきたよ。
明日からなにしよっかな・・・。
いつも読んでいただきありがとうございます。
頑張って続けたいとおもいます。




