2-31.念話(3)
みんなで長老を訪問。
どんな話が聞けるかたのしみだ。
「モリス、出発前に一応確認だけど、関所の運営は新しい管理者でいいんだよね?」
「問題ありません。私が飛べないこと以外は。」
「ニーニャもイワノフさんとレイに任せれば問題ない?」
「問題はいっぱいあるぞ。飛びたくない、念話使いたくない。」
「それは、わかったから。」
「フウマ、モリスさんを抱えて飛べる?無理ならステラさんに協力してもらってもいいけど。」
「ねえさん、大丈夫だよ。」
「ありがとう。フウマとモリスさん上手く飛行してね。」
「ユッカちゃん、シルフはどこいったか知ってる?」
「しらない。昨日帰ってきてない。」
ちょっと、念話を試してみるか。
<<シルフ!シルフ!!クッキー食べる?食べないなら、全部長老のところへ持っていくよ。>>
<<今行く。ユッカちゃんのところでいい?>>
<<いいよ>>
「みんな、ちょっとまってて。シルフが戻ってくるから。」
どこにいたのか全然わからないけど、ユッカちゃんを目標に帰って来たらしい。帰ってきたというか、光学迷彩を解除した。
「シルフお帰り。はい、クッキー」
もしゃもしゃと食べ始める。
うんちも、おしっこも出ないのに。
そもそもこの子はクッキー食べる必要があるのかと。
霞でも食べてれば生きていけるのでは?
<<食べる必要ないよ。カスミは味がしないから面白くない。>>
<<あ。私の頭の中を読んだ?>>
<<読むんじゃなくて、漏れてるんだよ。>>
<<念話と似たスキル?>>
<<念話を知らないと、だだ漏れになるよ。ただ、漏れてるからといって、興味本位であらゆる思念波を読もうとしないけどね。面倒だから。>>
<<ふ~~~ん。ありがとうね。>>
「じゃ、みんなで出かけよう。シルフも連れて行こう。」
ーーーー
途中ニーニャがワイワイ騒いだり、トイレとか言い出したりする以外、何も問題なかった。あっという間に長老とエイサンが待つ島に到着。
「エイサン、長老、みんなと一緒に戻ってきたよ。」
「お~~~。ヒカリさん待ちわびたぞ。クッキーをおくれ。」
「長老もクッキーが好きなんだね。妖精さんだったり。」
「・・・。お主、そこのシルフから何か聞いたか?」
「何が?」
「いや、何でもない。」
<<シルフ。あの爺さん誰?>>
<<水の妖精ウンディーネ>>
<<可愛くない。>>
<<ジジイに直接聞け。僕はしらない。>>
<<ウンディーネさん、もう一つクッキーいりますか?>>
<<うむ。ハッ!お主!>>
<<何か?>>
<<くやしいのぅ・・・。>>
<<二人は喧嘩しないの?>>
<<しない。僕が嫌なのは土の精霊だ。>>
<<ワシが嫌いなのは火の精霊じゃ。>>
<<ふ~ん。どこにいるの?>>
<<土はどこかの洞窟に引き籠るって言っておったのじゃ。>>
<<火はどこかの火山に行くって言ってたね>>
<<そう。ありがとう。>>
<<シルフは声出して喋ってくれないの?念話だけだと不便なんだけど>>
<<この体では、喉と口で音を出す機能をつけてない。>>
<<作ってよ。クッキーあげるから。>>
<<クッキーぐらいで、そんな面倒なことするか!>>
<<じゃぁ、もう、ユッカちゃんに言いつけて、遊びもクッキーも禁止にする>>
<<分かった!今すぐ作る。ちょっと待って!>>
<<ありがとうね>>
「みなさん、おまたせ。シルフが喋れるまで、もうちょっと待とうか。
で、この長老さんはウンディーネっていう水の妖精さんなんだって。
エイサンも妖精さん?」
「俺、違う。海人。妖精と交信できる。長老大事。守る。」
「一応、みんなに自己紹介しようか。
私がヒカリ・ハミルトン男爵。領地で領主をやってる。
こちらが家族のフウマとユッカちゃん。
そして、領地の執事長をやってるモリスさん。
ドワーフのニーニャ・ロマノフさんと
エルフのステラ・アルシウスさん。
で、
いま、声帯つくってる子が風の妖精シルフ
この長老さんが水の妖精ウンディーネ
エイサンが海人だね。
みんな、おっけー?」
「声帯できたよ。ユッカちゃん、これからも一緒にあそぼう。」
「うん。いいよ!」
「じゃ、今日の本題ね。私たちに念話の使い方とルールを教えて。」
「ワシは念話を使えるが、ルールなんて聞いたことがないんじゃが。」
「僕も知らないな。」
「え?使い方は?」
「頭の中で、ぎゅ~~ってやって、会話するイメージにして、話したい人のことを思い浮かべる。相手から会話が返ってきたら、念話が成立じゃ。」
「僕も同じだね。頭の中でぎゅ~~って、会話をイメージして、あとは相手と話すだけ。」
<<おねえちゃん!>>
<<なに?>>
<<できた!>>
お~い~~!
誰かに考え方というか、説明の仕方が似てると思ったらユッカちゃんだったね。
そっか~。そうなのか~。
フウマ、ステラが怒りだすな・・・。
「モリス!できそう?」
<<ヒカリさん、こうでしょうか?>>
<<できたね!やったね!>>
「ニーニャは?」
「ちょっと苦戦中。でもいけそうだぞ。」
「ふむ。」
「ステラ、フウマは?」
「わかりませんわ・・・。」
「ねえさん、ねえさんの教え方でお願いしたい。」
「二人は魔術ランクが4だからね。あと2段階必要だもん。
ニーニャはランク5あるから、ちょっとしたコツでいけそうだけどね。」
「「え?他の人は出来たの?」」
<<ヒカリ!できてるか!>>
<<おめでとう。できてるよ。>>
「うん。二人以外出来たみたい。
出来た人は適当に念話で会話してみて。私はこの二人に教えているから。」
「モリス、念話もそうだけど、船の移動について長老とエイサンとで、話を進めておいて。希望は今夜に移動開始。」
「了解です」
ーーーー
「前にフウマには一度説明してるけど、ステラには未だだったと思う。もう一度、私の魔術の使い方を説明するね。
この空気や体、ありとあらゆるところに<エーテル>があるの。
この<エーテル>を操作することを<魔術>と呼ぶと私は理解している。
<エーテル>は、頭の中で考えるときに発生する<脳波>とか<思念波>によって、エーテルを動作させることができる。
ここまでは、いいかな?」
「俺は、呪文や印で魔術を起こすけどな。ピュア以外。」
「私は、簡単なものはフウマさんと同じ。複雑なものは妖精さん達に手伝って貰うわ」
「うん。二人とも<無詠唱>という魔術スキルを身に着けたから魔術ランクが4に上がってるんだよね。知ってた?」
「「え?」」
「魔術ランクは3が上限なのではなくて、今までの教科書通りの考え方では魔術ランク3が頭打ちの技術っていうこと。そこを解放されたから魔術ランク4になったの。
ここまでは、いい?」
「教科書を否定されると、自分のこれまでの経験がゼロになるみたいで怖いわ」
「俺だって、凄い特訓して魔術ランク3まであげたんだぞ。嘘だっていうのか?」
「そうだね~。怖いかもしれないね~。嫌だね~。
でもね?
今までも始めてのことにチャレンジするときってあったでしょ?
高い木に登ってみたり、高めの崖からジャンプしてみたり。
どう?」
「あったわ」
「あるに決まってる。」
「二人はさ、普通の世界の魔術最高ランクに居て、完成したと思い込んでいる。当然自慢できることだし、努力が認められて当たり前。
でもね?
もっと、上があるとしたら、今からチャレンジしてみる勇気はまだある?」
「う・・・。そういうことなのね・・・。」
「またか・・・。特訓なぁ・・・。」
「無詠唱ピュアでランク4なんだけど。」
「そんな、楽でいいんですか?」
「それは出来るようになったって」
「無詠唱魔石生成で多分ランク5になるよ。」
「「ピュアと違う?」」
「やればわかる。短時間に扱う魔力量が格段に増える。
そのためには、今までの詠唱や印に頼っていては<エーテル>を集めきれない。補助にはなるかもしれないけどね。
慣れれば、こんな感じだよ」
二人の目の前で掌を差し出して、無詠唱で魔石生成を行う。
目に見えるスピードで極小の魔石から小型(ピンポン玉サイズ)まで成長させる。ステラが全てを駆使して限界だったサイズだ。
「どう?」
「やってみてもいいかしら?」
「俺、やってみるね。」
「一応、注意ね。
私は欲張って大きな魔石を作ろうとして2回魔力切れを起こしてる。だから、この小型サイズで止めておいてね。二人の魔力ならこれくらいなら枯渇しないと思うから。」
「「わかった」」
ほんとかね?
まだ、脳内でのエネルギー交換とか活性化の方法を教えてないんだけど。
センスがあれば考えなくてもできるのかもしれないね~。
あるいは過去の経験と合わせてアレンジする能力が高いとかね。
ま、見守るのも大切なことだね。
いつも読んでいただきありがとうございます。
頑張って続けたいとおもいます。




