2-30.念話(2)
念話の話には誰も寝んわ。
なんか、そう思えるぐらい熱くなったね。
「みんな、<念話>って知ってる?」
「おねえちゃん、私知ってるよ。」
「なになに?」
「<いしんでんしん>っていうの。喋らないでも相手の気持ちが判る。」
「確かに、それは一種の念話かもしれないね。
だけど、遠くの声だと聞き取れないとかあるでしょ」
「あ、それ知ってる!」
「なになに?」
「『三里先に落ちる針の音をも聞き分ける』でしょ?」
「それは、お母さんの影響でしょう?
『フウマノコジロウ サーガ』のお話だよね。」
「おねえちゃん、なんでも知ってるんだね?」
「トモコさんと波長が合うのかもね。」
「ん?フウマなに?」
「ひょっとして、それ、俺の名前の由来の吟遊詩人の話か?」
「そうだよ。」
「すごいカッコいい。三里ってどれくらい?<念話>も覚えたい」
「そのサーガの国の距離を換算すると、ここからキリギスの街より、ちょっと遠いぐらいだね。あと、この部分は<耳が超人的に良い>って話で、相手や物と念話で会話するシーンは別の章にあったと思うんだ。」
「そうか、念話とはちがうのか。でも、念話もできるのか」
「モリス、ニーニャ、ステラ、話が脱線してごめん。
何か知ってることはある?」
「子供の頃に母から聞かされた吟遊詩人のサーガぐらいしかないですね」
「私も知らんぞ。ユッカちゃんの<以心伝心>は鍛冶する場合に非常に重要な技だがな。」
「私は妖精や精霊に<お願い>はするけれど、<会話>は、したことが無いわ。なので、念話とは少し違うことを言ってると思う。」
「なるほど。次の段階に進むよ。
もし、念話が使えるとしたら、便利だと思う?不便な点はあると思う?」
「ヒカリさん、発言よろしいでしょうか」
「モリス、なにか思いついた?言ってみて。」
「両面があると思います。ただ、仕組みをしらない仮定の話になります。
普通の会話は、相手がそこに居て話しかけるため、相手の表情や忙しいかによって、話しかけるタイミングをうかがうことができます。
ところが念話の場合、例えばヒカリさんに用事があって、寝室にいるときにノックもせずに話しかけられたら困ると考えます。
利点としては、体を移動させることなく会話ができることです。」
「なるほどね。他のみんなはどう?」
「私が突然頭の中に話しかけられて、作業をミスしたら泣くぞ。」
「<ノック>してから話しかければ便利」
「カッコいいから、つかいたいなぁ」
「深く考えてなかったので、皆の意見をいろいろ聞きたいわ」
「私が考える念話は、他にも問題があると思う。
1.その人の思考を一方的に読める可能性があること。
これは<シルフ>限定の能力かもしれない。
念話を応用すると、そこまで能力が解放される危険性があるよ。
2.1:1の通話になるとおもう。
いま、皆に一度に話をしてるけれど、念話の場合は同時に全員に話が出来ないように思える。仕組みを作って機能を拡張すれば解放できるかもしれないけれど、よほど通話の仕組みをうまくしないと、全員が同時に喋って、全員が同時に話を聞かなければならなくなるね。
3.<念話>を使える人と、使えない人でのギャップや不信感が生じないかということ。『あいつら、裏でこそこそ何かやってるんじゃないか?』みたいな。
このあたり、どうだろう?」
「ねえさん!
1.シルフに聞く
2.仕組みを考える
3.普通の会話でもおこる
だから、念話を皆で使おう」
「おねえちゃん、シルフは人の心が読めるよ。
以心伝心みたいの。一方通行だったけど」
「ニーニャ、ステラ、モリスは?」
「私はさっきも言った通り、いきなり邪魔されたくないな。一品物を作っているとき失敗したら誰も責任をとれんだろ?直接会いに来て話をしてほしいし、私は会いに行って話をしたい。」
「個人的にはシルフと話が出来ればとおもっていたけれど、いろいろと考えることが多くて、大変に思えてきたわ・・・。」
「私は導入できるなら、導入して頂きたい。今後皆の仕事が分散したり、毎晩夜に集まれない場合、音信不通で助けが必要な場合などに、非常に有効に作用すると考えます」
「わかった。いろいろありがとう。で、最後の問題が全員が<念話>を使えるようになるか、わからないんだよね。魔術ランクで6ぐらい必要だと思う。」
「ニーニャはいいとして、モリスは魔術ランクいくつ?」
「<算術><記憶>は魔術ランク6を所持しております。他は全く使えませんが。」
「一応、私は魔術ランク5だぞ。<装備作成>に限るが。<念話>を覚えられないでよかったぞ。」
「そっか。だったら、長老のところへ皆で訪問してみようか。いろいろ話が聞けて、<念話>の習得もできるかもしれない。よし、明日はこのメンバー全員で長老に会って話をしよう。いいね?」
「私は嫌だと言ってるんだが。」
「<念話阻止>が出来ないと、邪魔されるかもよ?話し声が漏れ聞こえて、気が散るかもしれないし」
「それは困る・・・。」
「じゃ。決まりで。」
いつも読んでいただきありがとうございます。
頑張って続けたいとおもいます。




