2-12.魔石を売ろう
久しぶりに魔力切れを起こした。
ニーニャとステラはどうなったかな……。
「おねえちゃん、朝だよ」
ん……。
体中痛い。筋肉痛どころの騒動じゃない。
目が開かない。ユッカちゃんの声が聞こえるけど反応ができない。
「う~ん、ステラさん、お姉ちゃんはまだ魔力切れみたいです」
「そうですか、お二人には参りました。なんなりとご命令ください」
そっか~。ユッカちゃん勝てたかぁ。
私は勝てたのかなぁ……。もうちょっと寝かせてね。
しばらくすると、またユッカちゃんから声が掛かる。
「おねえちゃん、お昼。ご飯たべよう。パン作って」
瞼が開いた。声も出そう。
「ユッカちゃん。おはよう。魔力切れ起こした。でも、体はまだ動かない」
「うん。わかってる。でも、ステラさんに勝てたよ。良かったね」
「他のみんなは何してる?」
「モリスさんとフウマお兄ちゃんは、二人で関所の中を見て周るって言ってた。
ステラさんは、森を散しつつ、お世話になるので食料とってくるって。
ニーニャさんは、私が冷蔵庫のための穴をほって貰うようにお願いしたよ」
「みんなすごいね。私がやりたいこと全部進んでる。私もがんばらないといけないけど、体が起きない。
あ、ステラさんと勝負したときの魔石の大きさはどんな感じになったの?」
「ステラさんが小型を何個か出してギブアップしたよ。私は中型で止めて、様子見てたよ。おねえちゃんは、大型まで大きくして倒れたよ」
「あれ?ユッカちゃんは、本気ださなかったの?」
「おねえちゃんと二人一緒に倒れる訳にはいかないでしょ?ステラさんより大きいのが出来たから、後はおねえちゃんを応援してたよ」
「いろいろ、ありがとうね。ちょっと体が動かないから、モリスとフウマを呼んできてくれる?」
「わかった~」
ーーーー
「「ヒカリ様、お呼びでしょうか」」と、モリスとフウマがやってきた。
「うん。寝たままでごめん。体が起きないから勘弁してね」
「いえいえ。着任そうそう、いろいろとお疲れ様です」と、私を気遣うモリス。
「無茶して、魔力が切れただけ。気にしないで」
「姉さん、要件は?」と、魔力切れを知っているフウマがビジネスライクに切り出す。
「これから3つの大きな改革を目指します。
1.メルマを迂回する街道を海まで作る
2.この領地を起点にエスティア王国の食料自給率の向上
3.自由貿易組合メルマを潰す
いいかな?」
「「はい」」
「でも、そういったことに着手する前にこの領地の整備をしたい。
1.冷蔵庫、パン焼き窯、パスタ製造機をつくる
2.魔石を売って、現金化する
3.昨日解放した奴隷に仕事を与える。
ここまでいい?」
「「はい」」
「モリス、メルマでの魔石の売値の相場はどんなもん?」
「正確な相場は判りませんが、城下町より2割ほど高値で取引されていると聞きます」
「流通量は?それと出所を調べられることととかある?」
「港が近いので、大量に購入される場合もあり、流通量は多いです。また、商人が辺境から大量に持ち込む場合もあるので、出所に関しては金貨500枚程度の量であれば問題にはならないと思います」
「ありがとう。フウマ、あとでユッカちゃんと二人で魔石売りに行ってもらうからよろしく」
「それでモリスに領地運営のための資金について相談があります。大部屋の奴隷さんたち10人を使用人として使えるようにするための初期投資はどれくらい必要ですか?」
「1人当たり金貨5枚程度が必要になるかと」
「奴隷小屋は立て直すのと、この館の大部屋を改築するのでは、どちらが管理しやすいですか?」
「本人達の適性を見る必要があるので、最初は大部屋管理とさせていただきたいです。その後、従来の雇用者と合わせて、いったん分担を整理して、それに合わせて別棟を立てると無駄がなさそうです」
「その準備に掛かる直近で必要な金貨の量は?」
「大部屋を使えれば金貨5枚。別棟を立てるときは追加で金貨100枚が必要でしょう」
「従来の雇用者で、人以外で不足している設備、物、老朽化が進んでいるものは?」
「今すぐに直す必要がある物は金貨5枚ほど。大きな改造が必要なものは、やはり金貨100枚単位で必要になります」
「食費に関しては?」
「材料が不足していると料理長が嘆いています。詳しいことは分かりません」
「食費に関しては、別途料理長と相談することにします。冷蔵庫がでれば、狩りをしてある程度は補充できるはずです」
「モリス、明日までに金貨60枚を準備します。10人の奴隷が働けるようにケアしてください。そして、緊急に修復する必要があるものの修理をすすめてください。
それと、日々の通行料の分配ですが、昨日モリスの説明したとおりのままでしばらく続けます。ただし、男爵の取り分は0枚で結構ですので、他の管理者と使い道を決めてください」
「わかりました」
「フウマ、ユッカちゃん。金貨への両替するお使いは気を付けて行ってきてね。昨日3人で出した魔石で金貨100枚分ぐらいはいくと思うけど、例の100年生成級の魔石がどれくらいの相場か分からないんだよね。ユッカちゃん、小型を20個くらい足しておけるかな?」
「できるよ。ここのと合わせて売ってくるね」
「フウマ、
1.命
2.メルマの情報
3.目立たないこと。
そこの一番大きい魔石は、例の斧を持ってた敵が出す魔石と同等クラスだからね。
ひょっとしたら値段がつかないかもしれない。良く様子を見てね。
4.1~3が守れる範囲でなるべく高く魔石を売ってくる。
この優先順位で行動してね」
「姉さん、了解だよ」
ーーーー
「姉さん、ただいま。」
「おねえちゃん、<砂糖>があったよ。ニヒヒ……」
「あっ。『しばらく砂糖禁止』って、言い忘れた……」
「姉さん、そんなに怒らないで。ユッカちゃんのおかげで、一番大きな魔石を売らずに済んだ訳だし」
「そうなの?」
「行きの道中でユッカちゃんが魔石を作ってくれたんだよ。中型の魔石を5個も。あと、ステラさんが作ってた小型サイズも20個。中型が1個金貨20枚、小型のは1個小金貨7枚。合計で金貨114枚になったよ。」
「ユッカちゃん、無理しなかった?」
「おねえちゃんに教わった作り方だと簡単だったよ~」
「そっか。それならよかったよ。二人ともありがとうね。
それで、金貨と砂糖は?」
「金貨60枚はモリスさんに手渡し済み。残りの50枚がここの革袋にあって、金貨4枚分で砂糖を購入したよ」
「ユッカちゃん。砂糖はどれくらい買えた?」
「これくらい!」
って、500gぐらいあるかな?この前リチャード王子から貰ったのより少ないけど、ピンポン玉サイズの魔石6個分の分量じゃないよね。なんか、メルマの中と関所からこっちでは物価が違い過ぎる。早いところ、メルマの利権を押さえたいね。
「ユッカちゃん、元気になったら、それでクッキー作ろうね」
「うん!」
あ~~。体動かない。
魔石作りは無理しないようにしよう。
そうしようっと!
誤字、文体の修正などです。本ストーリーへの影響はありません。




