表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で気ままな研究生活を夢見れるか?  作者: tinalight


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/334

05.観察と出会い

第一村人発見!

なんて、気軽にいえればよかったんだけどね。

 視界に投影されたナビに導かれるままに目的の家までやってきた。森の木々につかっかって擦り傷とかできたけど、危険な生物に出会うことがなかったのは、ナビ機能の情報が正しかったってことで信用できるね。

 それにしても主神さんは非常にピンポイントな選択をして、私を転移させてくれたんたと思うよ。これも大きな<オマケ>の一つだよね。いきなり洞窟の中とか、食料の調達も困難な無人島だったらと思うと、こわいこわい……。


 到着した目的とする家を観察する。

 ログハウス?

 なんか、木を組み合わせただけの小屋。

 窓にガラスとかない、木の窓。

 扉も木。屋根や檜皮葺ひわだぶきみたいな何か。


 私が会いたい人は、この小屋の中にいるみたい。

 窓が無いから、外から小屋の中の様子を観察することはできないね……。

 待ってても仕方ないし、危険があっても殴られても死なない程度だし……。


 え~い!いっちゃえ、いっちゃえ!


「(コンコン)誰かいませんか?」


『(ドタドタタタタッ)』


 え?足音?走ってくる?

 小屋の木製の扉が勢いよく開くと、私の顔面にガツンとぶつかる。


「おかあさん!?」


 と、開けた扉から5歳くらいの少女が顔をのぞかせて、キョロキョロ見渡す。


 いや、待って。いろいろ待って。

 先ず痛い。立ち直るまでの時間頂戴。


 次に女の子だから、ちょっと安心した。この子に殴られるより痛いかもしれないけど、これ以上酷く痛めつけられる心配はなさそう。そいで、最後に<おかあさん>ですか。とにかく、会話をすすめてみよう。


「こんにちは。初めまして」


 女の子は悲しそうな顔でこちらを見る。

 次に見知らぬ人のせいか、不安そうに開けた木の扉をからだの半分まで閉めてしまう。


「誰ですか?おかあさんの知り合いですか?」

「いいえ。道に迷ってしまいました。こちらに小屋が見えたので助けてもらいにきました」


 道からこの小屋は外れてるのに、助けを求めてこの小屋に来たとか、そういう辻褄合わせは考えないことにする。とにかく、この子と会話を続けないと!


「悪い魔法使いですか?」


「いいえ。ただの旅人です。荷物もなくなってしまって、困っています。中にお父さんかお母さんはいらっしゃいませんか?」


「おとうさんはもういません。おかあさんは、5日前から帰ってきていません。(ヒック、ヒック……。)」


 少女が泣き出してしまったよ。

 っていうか、こんな森の中で少女が一人で5日間も待てるの?

 なんで村に助けを呼びに行くとかしなかったんだろう……。


「お母さんが帰ってくるまで、お姉さんが一緒に待っててあげようか?」


「(ヒック、ヒック)うん……」


 と、泣きながら小さく頷く。私はそっと少女の頭を抱えて、軽く抱きしめて、片方の手で背中をさすってあげる。


 そして、私の頭の中は途方に暮れている。

 私にとって、衣食住全てが手に入るチャンス!

 いや、そういう話じゃない。一個ずつ進めよう。


<<この子と、この子の家族の情報を頂戴>>


<<(ぴろろん)>>

<<父親はハンス:狩人。3年前に魔物討伐中に死亡。

母親はトモコ:10年前に異世界からの転移者。7年前にハンスと結婚し、約6年前に長女を出産。

5日前よりデータベースへのアクセス無し。

少女:データベースの記録なし。>>


 う。かなり不味い状況だね。


<<トモコの最後のアクセス場所と記録内容の情報を頂戴>>


<<(ぴろろん)>>

<<朝にハンスの墓前にて、いつも通りの狩りの無事を祈るための挨拶。その後、狩場へ向かう途中の崖にて、フルアクセス。その情報は膨大なためダウンロードしきれません>>


 うわ……。

 ダメなパターンでしょ……。

 いきなり重たいな……。


<<ありがとう。その最後のアクセスの崖の位置、そこの行程、危険生物の検索をお願い。

情報は後でお願いしたタイミングで表示して>>


<<(ぴろろん)>>

<<検索後、待機します>>


「もう、夕暮れでお外は寒いね。おねえさんと一緒におうちの中で待ってるのはどうかな?」

「うん。おねえちゃんも中に入っていいよ」

「ありがとう」


 少女に手を引かれて、家の中に入る。机の上には木でできたお人形のようなものがある。机も椅子もすべて木製。少女が私に声をかける。


「おねえちゃん、そこに座って。どんぐり茶をいれるね」


と、木製のコップにどんぐりの粉と思われる物を少し入れると、少女は言葉を発した。


「エーテルさん、コップにお湯を頂戴!」


 さきほどのコップの7分目くらいのとこに湯気が立ったお湯が現れる。そして少女はそのどんぐり茶を私に差し出す。


「はい。おねえちゃん、どうぞ。あ、私はユッカ。おねえちゃんのお名前は?」

「あ、ありがとう。私はヒカリだよ。ユッカちゃんか。素敵な名前だね」


 私はもらったどんぐり茶を両手で包んで温まりながら返事をする。


 もう、内心ドキドキだ。

 エーテルってなに?

 この子のお母さんのことどうしよう。

 私はユッカちゃんと、この世界でどうやって生きていけばいいんだ?

文体等の些細な修正をしました。本筋に影響するような内容の変更はございません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ